視覚障害と共に生きる者からのお願い 2011.03.16 18:00版 (1)こんにちは!私たちは視覚障害と共に生きる者(視覚障害者)です。 一般に視覚障害者/視覚障がい者と呼ばれる私たちですが、視覚障害のかたちも多様で、一人ひとりに違いがあります。先天盲(生まれた時から目が見えない者)から中途失明(人生の途中で失明した者)まで、障害と共に生きてきた年数に違いがあれば、弱視から全盲まで障害の軽重も人によって違いがあります。目から入ってくる情報が少ないことを、白杖や盲導犬の力を借りて補う人もいれば、拡大鏡で補う人もいます。「歳を重ねて小さな字が見えづらくなった」というのも、広い意味では「視覚障害」と言えるかもしれません。 そんな様々なかたちで視覚障害と生きる私たちも、みなさんと共に力を合わせてこの大災害を生き延び、長い避難生活をより良いものにしたいと願っています。一人ひとり違いがありますが、一般的に言えることを基に、私たちが苦手とすることや得意とすること、その他にも知っておいていただけると嬉しいことなどを以下にまとめました。 (2)目からの情報が入ってこないため、こんなことが不安です。 一般に、人が外界から情報を得るとき、約83%を視覚から、約11%を聴覚から得ていると言われています。 普段であれば私たちは、目からの入ってこない情報を、耳や白杖/盲導犬からの情報で補うことで普通に日常生活をおくることができます。しかし、避難生活ではそれが難しく、災害時には「情報弱者」になってしまいがちです。こんなときは特に困ったり、不安になったりしているので、一声かけてもらえるととても助かります! * 食料や物資の配給情報、安否情報、ライフライン情報、交通情報・・・避難所の壁には様々な案内や情報が書き出されますが、それらを「耳で読む」ことはできません。「そういう情報がある」と知っていれば、私たちから声を掛けることもできるのですが、「そこに情報がある」とわからない時もあるので、「こんな情報があります」「こんな情報がここにあります」など、一声掛けてもらえるととても助かります。 * 例えば体育館の中にいるとき、静かで人が少なければ音の反響などから広さや大まかな形状、ときには出口までわかる場合もあります。しかし、大勢の方々と避難生活をおくっているとき、自分がどこ辺にいるのか、出口に行くにはどうすればいいかなど、自分の周りの状況がわからないと不安になります。1日も早く避難所にも慣れたいので、「全体がこんな具合」「どこにどんなものがあって、ここの周囲はこんな感じ」、といったことを教えていただけると助かります。 * お手洗い・トイレは何度か行っているうちに場所を覚えることができますが、それまでは同性の方などにお願いし案内していただけると助かります。 仲間の存在は、みなさんの声は、私たちにとっての“視界”を広く明るくしてくれます。会話のきっかけにもなるし、周りで何が起きているかわかるので安心できるので、是非、一声掛けて下さい! (3)状況の変化に対応するのに時間がかかります。 私たちは、日頃通い慣れている通勤通学路など、どこになにがあるか覚えている所は、一人で歩いたりすることも可能です。でも、昨日までなにもなかった通路に新しく物があったり、昨日まであった物の位置が変わっていたりすると、戸惑ったり、変化に対応するのに時間がかかります。 もちろん今は状況が刻々と変わる避難生活、物の位置はじめ避難所に変化があった時などは、どなたか教えて頂けませんか? (4)できることはたくさんあります 視覚に障害があるとは言え、「何も出来ない人」ではありません。視覚に障害が生じてからの年数や障害の程度によって異なりますが、新しい避難所生活にもすぐに慣れてしまう人もいますし、携帯電話/スマートフォン/拡大表示ソフトや音声読み上げソフトが入ったパソコンなどを使いこなして、情報を集めるのが得意な人もいます。でも、やはり不安いっぱいの避難所生活、なかなか慣れることができない場合もあります。 私たちも「お願いしていいですか?」とお尋ねするので、私たちにも「何かできることはありますか?」と尋ねて頂けると、とても助かります。 お互いに個性や得手・不得手がわかれば、共同の避難生活もより良いものになると思うんです。 (5)さらなる情報源 以下のウェブページに有益な情報があります。 * NPO法人視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN:通称スパン) http://www.span.jp/ * 新着情報 目で聴くテレビ http://www.medekiku.jp/cgi-bin/new/new.cgi * 障害者からのお願い「大地震(災害)の時助けてください!」:のーまらいふ杉並 http://normalife.city.suginami.tokyo.jp/suginamisypher/www/service/detail.jsp?id=604 * 災害時の障害者に対する支援方法まとめ ? ブログ |株式会社ミライロ http://www.mirairo.co.jp/wordpress/archives/180 * 障害者と災害─障害者が提言する、地域における協働防災のすすめ─目次 http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/resource/disaster/2007seminar_houkoku/ (6)最後に 記載された情報は、視覚障害と共に生きる方々の避難生活が少しでも良いものになればと思い、NPO視覚障害者パソコンアシストネットワーク(通称スパン)の有志と相談しながら、松実秀幸が作成したものです。 役立つことを願い最善を尽くしていますが、わたくしの力不足から、全ての人を想定し、またあらゆる状況に通用するものであるとは言い切れません。それぞれの状況や個性その他に応じて臨機応変に対応していただきたく思います。もし「こうしたら更に改善できる」などの情報がありましたら以下の連絡先までお寄せください。     視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN:通称スパン)     メールアドレス:office@span.jp     ホームページ:http://www.span.jp/