1ページ 広報誌 SPAN2023 第9号 2023年7月発行 ~ 視覚障害者のPC・ICT利用を進めるための掛け橋となることを目指して ~ ICTで視覚障害者の社会参加と就労を支援 SPANは 視覚障害者のSの略 パソコンのPの略 アシストのAの略 ネットワークのNの略 資格の取得で可能性を広げたい! ~ 視覚障害者の資格取得を支援 ~ 日本にはたくさんの資格があり、多くの人がその取得を目指して学んでいます。 最近は視覚障害者の中でも資格取得への関心が高まり、日商PC検定などを音声を利用して受験する人も増えています。 ただ、パソコンの音声を利用して受験できる資格は少なく、MOSやITパスポートなどをはじめとする多くの資格試験では、まだ視覚障害者が音声で受験できない状態です。 私たちSPANは、微力ですが、日商PC検定受験対策コースなどで視覚障害者の資格取得を支援しています。 これまで40名以上の方がこのコースを受講し、受験したすべての方が合格しています。 詳しくは下記のSPANのホームページ【資格取得コース】をご覧ください。 https://span.jp/certification/ 今後は、このコースをさらに充実させるほか、新たな資格取得の可能性についても力を入れていきます。 〇画像1:イラスト。資格取得学習の様子。ガッツポーズの女性。パソコンの画面を見てガッツポーズで喜ぶ女性のイラスト。 〇画像2:写真。SPANでの講習の様子の写真 画像2終わり SPANの活動理念* SPANは、1999年11月に発足し、2001年にNPO法人の認証を受け、視覚障害者のパソコンやICT(情報通信技術)の利用が快適・積極的に進むよう、点在する組織や情報を繋ぎ合わせることを目指す有志によって活動を続けています。 SPANの特徴と活動* ・特徴 ・ 視覚障害者と晴眼者が同じ立場で活動している ・ 初級講座から資格取得、職業訓練まで、幅広いニーズに応えられる ・ Microsoft Officeのマニュアルなど、豊富なテキストを制作 ・ 通信アプリを利用した遠隔講座など、多様な講習形態に対応 ・ パソコンやスマートフォン・タブレットPCなど、最新の技術にチャレンジ 活動  サポートスタッフへの講習会の開催  他の関係団体の設立及び運営支援  機関紙の発行  資格取得を含むPC教室開催と普及  個人や団体、行政との情報交換  社会参加と就労を支援  ハード/ソフトウェアの評価及び提言  PC活用促進の情報収集と提供  その他の事業 2ページ これまでの活動 2022年1月~2023年5月活動実績 講座・職業訓練等 ○遠隔ワンポイント講座 Microsoft Office、Googleアプリなどをテーマに10回実施 ○個人対象講座・グループ講座 受講する方のニーズに応じた内容で対面により15回実施 ○遠隔個人講座、遠隔グループ講座 受講する方のニーズに応じた内容で61回実施 ○日商PC検定受験対策コース 遠隔で26名に対して実施 ○無償での遠隔就労PCサポート 受講者のニーズに合わせて15名に対して実施 ○インストラクター養成講座 視覚障害者へのパソコン指導の基本を学ぶ講座として遠隔により7回実施 ○タブレットサロン iPhone、iPadを学ぶ場として遠隔で12回実施 ○総務省デジタル推進事業 iPhoneの基本学ぶ講座として対面により3回実施 ○在職者訓練 在職中の視覚障害者への職業訓練を対面と遠隔で12社に対し実施 ○ジョブコーチ・障害者雇用管理サポーター支援 在職中の視覚障害者への就労支援を270回実施 ○企業研修 在籍する視覚障害者への職業研修を遠隔により1社に対し実施 ○自治体、企業・団体からの委託によるパソコンやタブレットなどの講座を対面と遠隔で10回実施 イベント等 ○第30回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 in 名古屋 ポスター発表で参加 ○ロービジョンセミナー パソコン相談で出展 ○視覚障害者就労支援機関の情報交換会 遠隔で参加 ○企業が主催するランチタイムイベント SPANの活動を遠隔で紹介(ジョブコーチ支援) ○企業が主催する川畠成道ニューイヤーコンサート iPhoneによるプログラム読み上げデモを会場で実施 テキスト制作・情報提供 ○立体イメージプリンターの活用 日商PC検定の受験者にグラフイメージの立体資料を制作・提供 〇画像3:写真。総務省デジタル推進事業 神奈川県ライトセンターで行われた講座でiPhoneの操作を学ぶ様子 画像3終わり 〇画像4:写真。川畠成道ニューイヤーコンサート 浜離宮朝日ホールのロビーでのiPhoneによるプログラム読み上げデモ 画像4終わり これからの活動 2023年活動予定 (6月~12月) 講座・職業訓練等 ○遠隔ワンポイント講座 Microsoft Office、Googleアプリなどをテーマに実施 ○個人講座、グループ講座 受講者からの依頼により、オーダーメイドの講座を対面と遠隔で実施 ○インストラクター養成講座 視覚障害者へのパソコン指導の基本を学ぶ講座として対面と遠隔で実施 ○タブレットサロン iPhone、iPadを学ぶ場として対面と遠隔で実施 ○在職者訓練 在職中の視覚障害者への職業訓練を対面と遠隔で実施 ○ジョブコーチ・雇用管理サポーター支援 在職中の視覚障害者への就労支援を職場を訪問して実施 ○日商PC検定受験対策コース 日商PC検定の受験を目指す方を対象に遠隔で実施 イベント等 第31回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 in 金沢 ポスター発表で参加予定 ○ロービジョンセミナー SPANの活動紹介で出展予定 ○視覚障害者就労支援機関の情報交換会 提案と発表で参加予定 3ページ 受講生にインタビュー 会員 西畑佳央里 さん 30代 女性 弱視  公務員 画像5:イラスト。オンラインで受講中の女性のイラスト。フルーツやスイーツで囲まれた丸いフレーム。笑顔のかわいいイラスト。 画像5終わり 見えなくてもだいじょうぶ!伝えたい!支えたい! Q:SPANの講座を受講したきっかけは? A:応用的なことを学習したいと思い、視覚障害者就労相談人材バンクのオンライン交流会で知り合った方に紹介していただき、SPANの講座を受講しました。 Q:受講された講座を教えてください。 A:遠隔就労サポート講座、遠隔ワンポイント講座、インストラクター養成講座などです。 Q:受講しての感想はいかがでしたか? A:平日の夜間に講座を受講することができた上、業務を効率的に進めるためのいろいろな方法を教えていただくことができ受講して本当によかったです。 Q:普段、趣味などどのようなことをされていますか? A:スイーツが大好きで、期間限定のコンビニスイーツやデパ地下スイーツを楽しんだり、東京で人気のフルーツパーラーに行って、フルーツがいっぱい入っている贅沢なパフェを食べたりしています。そのほか、視覚障害者向けのセミナーや交流会等のイベントに参加したり、地元福岡県のパソボラさーくる虹というボランティア団体に所属して、視覚障害者がスマホを便利に活用できるようサポートをしています。 Q:今後、SPANに期待することはありますか? A:地方では、パソコンの訓練ができる施設が少なかったり、訓練施設の定員に限りがあるなど、パソコンについて学習する環境がなく困っている人も多いと思います。SPANでは、オンラインで平日夜間や日曜祝日に講座を受講することができ、仕事をしながらスキルアップのための勉強ができるのでとても助かっています。ぜひ引き続き現在行っている取り組みを継続してほしいです。 Q:みなさんへのメッセージをお願いします。 A:怖がらずに視覚障害者を支援する団体の活動やセミナー等のイベントに参加してみてください。世界が広がります!私は、NEXT VISION、JRPS、認定NPO法人タートル、日本弱視者ネットワーク、視覚障害リハビリテーション協会、視覚障がい者ライフサポート機構viwa等様々な団体が開催するオンラインイベントに参加したことがきっかけで、全国のすてきな人たちとつながることができました。眼の状況が急激に悪化して困っていた時期もありましたが、支えてくださったみなさまのおかげで、現在はとても楽しく充実した毎日を過ごすことができています。多くの方がいろいろな人やものにつながって楽しく過ごせるように、団体やイベントの情報は、私が運営しているLINEのオープンチャット「●視覚障害関連団体・イベント情報案内所●」で発信しています。よろしければ情報収集にご活用ください。 オープンチャット「●視覚障害関連団体・イベント情報案内所● http://line.me/ti/g2/FLi54VChI64mhf_kQK7QDUxhqlpwFbCAoqrR4w?utm_ 聞き手 平川純 画像6:QRコード(3ページ目の下部中央に配置。用紙下端から約2センチメートルの位置に約2センチメートル角で配置)【LINEオープンチャット●視覚障害関連団体・イベント情報案内所●http://line.me/ti/g2/FLi54VChI64mhf_kQK7QDUxhqlpwFbCAoqrR4w?utm_】 画像6終わり 会員 平井大樹 さん 30代 男性 ほぼ全盲 サントリーフィールドエキスパート株式会社/事務職 画像7:写真。平井大樹さん提供写真。マラソン大会で颯爽と走る平井さんの全身写真。背景の人物ぼかし。丸いフレーム。 画像7終わり あきらめず、へこたれず、しつこく Q:現在の視力の状態を教えてください。 A:レーベル病で、1年ほどで両目とも視力が低下し、今は目の前がほぼ真っ白です。片眼のほんの隅がかろうじて見えるのと、人影は黒く見える、不思議な感じです。 Q:SPANに繋がったきっかけは? A:もともと営業職で、車で外回りをしており、同じ職種を続けるのは難しいと思いました。が、休職一歩手前の有給消化が終わる直前に、主治医が「条件付きで復職可」という判断を出してくれました。同じ会社で、視力障害への配慮があれば、働き続けるという大きな根拠になるものです。パソコンは営業時代、週1度使う程度だったので、スキルアップが必要だと思い、たくさんのリハビリ施設を当たり、就労しながら受講できるSPANを知りました。 Q:SPANでは、3か月の在職者訓練を受けて、ジョブコーチを利用されたのですよね。 A:当初は、在職者訓練で、スクリーンリーダーの基礎やOfficeアプリの訓練を受けたとして、スキルを発揮できる場があるのか、見通しが持てない思いを持ちながらも我武者羅に学びました。全盲の先生の講座は、かなりスピード感があり、ショートカットキーを使いこなす姿がかっこよかったです。  ジョブコーチは、在職者訓練と違って細かいカリキュラムがなく、幅広い支援の余地があるので、今の自分に必要な課題やできないことを洗い出し、解決する場でもありました。助けてもらおうという姿勢ではなく、会社に私の姿を知ってもらうことで、一緒にスキルを発揮できる可能性を模索できるようになったのは心強いことでした。習得したスキルを報告し、私も会社も訓練の成果が見えてきて、業務の中でも任せてもらえる仕事が増えていきました。現在は、勤務簿や業務実績の進捗管理などを任せてもらっています。 Q:お仕事に邁進されている平井さん、お休みの日の過ごし方は? A:月に一度は娘を連れて、東京の美味しいものを食べに行きます。後は、伴走サークルで走ったり、山登りも続けています。見えづらくなってから仲間と二人で高尾山を登った時には汗だくでした。冷汗で…。サポートと称して仲間が増え、今は8人ぐらいのパーティーで登りに行くようになりました。思いがけず賑やかに広がって、疎遠になっていた仲間から感謝されたり(笑) Q:目標があるとか。 A:今、二つやりたいことがあります。視覚障害者でも楽しめる球技、卓球やサッカーをしてみたいです。もう一つは、自分の特色を活かしたことをしたいです。視覚障害者にも出来る、事務職の仕事は覚えてきました。次は、私だからできることを見つけて行きたいです。  この時代、技術が進んで、出来ないことって、あまりないんだなと感じます。目が見えなくなって、何か出来た時の喜び、楽しさがすごく大きくなりました。こうして、健常だったら当たり前すぎて見逃してしまう、いろいろな「出来る」を楽しんで、そんな経験を強みにして行きたいです。 聞き手:上田 喬子 4ページ目 SPANの活動紹介 テキストの制作 SPANでは創立以来、テキスト制作に力を入れています。 これまでに、WindowsやMicrosoft Office、Microsoft Teams、またiPhoneといったマニュアルをWebで公開しているほか、サポートを行う方のためのインストラクター養成講座テキストなどを制作しています。 詳しくは下記のSPANのホームページ【マニュアル・テキスト】をご覧ください。 https://span.jp/useful/#con02 今後は、Googleアプリなど、ニーズの高いテーマのテキストも制作していきたいと考えています。 ○画像9:スクリーンショット。SPANのホームページのトップページ。 SPANのホームページの「お役立ち情報」をご覧ください。 画像9終わり SPANでは、職業スキルの向上を目指す方はもちろん、ICTスキルを高めたい方、また支援をする方のために 以下の講座や訓練、支援を実施しています。  ・個々のニーズに応じてマンツーマンで学ぶ個人対象講座  ・数名で同じテーマを学ぶグループ講座  ・テーマを決めて実施する土曜講座、ワンポイント講座  ・通信アプリZoomなどを利用した遠隔講座(個人・グループ・団体)  ・就労中の視覚障害者を対象とした在職者訓練、社員研修  ・就労する視覚障害者を、職場を訪問して支えるジョブコーチ支援  ・視覚障害者を支援する方を対象としたインストラクター養成講座 〇画像10:イラスト。SPANの活動のイメージイラスト。パソコン、タブレット、スマートフォンを持った3人の人物。 画像10終わり ○ご寄付のお願い 私達は視覚障害者がICTを使いこなすことにより、自立し社会参加、就労していけるよう活動していますが、公的な補助を受けず自主運営している団体です。 皆様からのご寄付が活動を維持するための貴重な財源となっています。 この活動に共感していただける方のご支援をお願い致します。 振込先 郵便振替口座 00110-4-183315 スパン寄付金口 銀行等からの振込 銀行名 : ゆうちょ銀行 金融機関コード : 9900 店番 : 019 店名 : 〇一九店 預金種目 : 当座 口座番号 : 0183315 ○画像11:写真。SPANの教室 「レインボープラザ」の愛称で呼ばれ、明るくコンパクトな教室です。 画像11終わり 2023年7月1日 発行 特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN) 〒108-0023 東京都港区芝浦3-7-13 エスパース田町ANNEX701 電話&ファクシミリ 03-6435-1614 E-mail office@span.jp URL https://span.jp/ Facebook https://www.facebook.com/span.jp Twitter https://twitter.com/npo_span