━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2006年11月号 No.2                        2006年11月24日 「視覚障害者PCサポート」No.2をお届けします。 次号は2007年1月ですが、その後は毎月、原則として第4金曜日に 配信していく予定です。 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  弱視のパソコン利用 ● プロフェッショナルコース  スタートメニューの設定(2)   【一口メモ】   ご注意!パソコンの近くでの飲食 [2] サポートお役立ちサイト  ASVの「視覚障害者パソコンサポート入門」のサイト [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  助成金情報「NHKわかば基金」 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  年賀状作成以外でも使える、「宛名職人」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  「ATACカンファレンス2006京都」開催のご案内 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎弱視のパソコン利用  ご存知のように、弱視の方は、見え方が十人十色です。 サポートにおいても、一人一人の見え方を良く知る努力は大切だと思います。 「スクリーンリーダーを勉強するので、画面の表示はどうでも良い」という ように考えがちです。 一方、当事者も、音声とキーボードをもっとうまく活用すれば楽にパソコン 操作ができるのに、「見ること」にこだわり過ぎます。 「どっちにするんだ」、というのではなく、私は、「両刀使い」を提案 します。パソコンはそれを可能にします。  便利なものは、大いに使おう。「弱視=拡大」、「全盲=音声とキー ボード」、という、機械的な図式は、払拭して行きたいと思います。 音声とキーボード操作をマスターして、拡大や、見易さも工夫して、残存視力 を無理なく活用していければと思います。 キー操作を覚えることは、操作の全体を知って行くことでもあります。 これは、私たち弱視自身への呼びかけでもあります。  ここで、弱視がパソコンを使う上で、どんな工夫が考えられるか、以下、 大雑把にいくつかの工夫を列挙してみました。 1.大きなディスプレイの活用  ただし、大きいと、画面から遠ざかりがちなので、大きければよいという  ものでもありません。 2.ソフトの導入 ・弱視のための、画面拡大ソフトとしてはZoomTextが最も機能的にも充実して  います。拡大だけでなく、画面の色や、画面の分割、マウスポインターの  工夫等、さまざまな機能を盛り込んでいます。 ・何もかも拡大して、自分がどこに居るのかわからなくなるようなことは  避けたいですね。 3.Windows上での設定の工夫 ・「拡大鏡」も使い勝手はあまり良くありませんが、活用の仕方をうまく  すれば良い面もあります。 ・ユーザー補助で、ハイコントラストを設定。文字も若干大きくなるし、画面  のまぶしさがなくなります。 ・文字の拡大や、大きなマウスポインターの設定。マウスの軌跡をつける。  カーソルを太くして、現在の場所の確認をしやすくする。 ・フォントの種類を変えたり(ゴシック体が弱視には見やすいという声が  多いです)、文字や背景の色を変える。 ・「メモ帳」を活用して、大きな文字で文章作りをする。  また、画面を最大化する設定にしておくと良いです。 4.その他のソフトでの設定  毎日使う一般の各種ソフトの中にも、文字の大きさや、背景色や文字の色を  変えられるものが多いです。 5.音声ユーザの設定を活用する ・スタートメニューは、クラシックに設定しておくと、上下矢印だけの移動で  すみます。 ・アイコンの表示ではなく、詳細に設定を行う。 ・マウス操作は結構大変ですし、拡大していると、どこにフォーカスが合って  いるのかが、わからなくなります。このようなときなどは、キー操作を  うまく活用していくと、スムーズです。 6.音声をうまく活用する  スクリーンリーダーを上手に活用すると、眼に楽です。弱視も上手に活用  することの大切さが最近言われています。  音声に慣れることを、是非弱視の方に知っていただきたいです。 ★読者のみなさん、弱視のパソコン利用やサポートで、「ここが分からない」  とか、「自分はこうしている」などのご意見や提案、また質問などをぜひ  お寄せください。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などがテーマです。 ◎スタートメニューの設定(2) 1.今回の目的  前回は、視覚障害者向けのパソコン設定の注意点と縦一列にする方法を説明しました。 今回は詳細な設定について説明します。 2.「クラシック[スタート]メニュー」 (1)「タスクバーと[スタート]メニューのプロパティ」ダイアログの開き方  まず、「コントロールパネル」中にある「タスクバーと[スタート] メニュー」を実行し、「タスクバーと[スタート]メニューのプロパティ」 ダイアログを開きます。 このダイアログは「タスクバー」と「[スタート]メニュー」の2個のタブを 持っています。(注.タブの切替は、[Ctrl]+[Tab]です。) (2)「タスクバー」のタブのおすすめ設定項目  7個のチェックボックスの設定について説明します。 (i)タスクバーを固定する  「チェックあり」に設定します。操作ミスで、タスクバーの位置や太さが 変わってしまうことを防止します。 (ii)タスクバーを自動的に隠す  「チェックなし」に設定します。スクリーンリーダで余計な声がする場合が あるためです。 (iii)タスクバーをほかのウィンドウの手前に表示する  「チェックあり」に設定します。スクリーンリーダで余計な声がする場合が あるためです。 (iv)「クイック起動を表示する」  「チェックなし」に設定します。 [注]「クイック起動」とは、スタートボタンの右側に、頻繁に使用する   アプリケーションを起動するショートカットアイコンのことです。   キーボードだけでも使用できますが、利用はおすすめしません。 (v)時計を表示する  「チェックなし」に設定します。一部のスクリーンリーダで時間が変わる ごとに音声が出るためです。 (vi)アクティブでないインジケータを隠す  「チェックあり」に設定します。「インジケータ」とはタスクバーの右端に 表示されるアイコンのことです。上級者向けの機能のため、「チェックあり」 にして隠すことを推奨します。 3.終わりに  次回は「[スタート]メニュー」のタブの画面の設定についてお話しします。 今回説明した内容はほんの一部です。内容に対する質問や、次回以後の掲載に 対するご要望は、forum@span.jp まで御願いします。 ******************************************************************   【一口メモ】 ◎ご注意!パソコンの近くでの飲食  視覚障害者に限らず、パソコンの近くでは飲食をしないのが基本ですが、 自宅で「コーヒーやお酒を飲みながらメール書き」なんていう方もいるのでは ないでしょうか。しかし、もしこぼすと、キーボードや部品交換など思いがけ ない出費になります。特にコーヒーやジュース、またソース類などは被害が 大きくなるので注意が必要です。  教室では、パソコンの近くでは飲食しないのが理想ですが、スペースの関係 からやむを得ず飲食する場合は、必ずパソコンやキーボードなどを安全な場所 に移動させましょう。そして、飲食後はきれいにしておくことを忘れずに。  また、視覚障害者に飲食物を出すときには、置いた場所を必ず本人に確認 してもらうことが大切です。特にコップや湯飲みなどはこぼしやすいです。  置いた物の場所の示し方は、「クロックポジション」を使うと有効です。 これはアナログ時計の文字盤のイメージで方向を示す方法で、真上が12時、 右が3時、左が9時、また11時や4時のように言います。  とにかく、大切なパソコンをだめにしないよう気をつけたいですね。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [2] サポートお役立ちサイト  見て役立つお勧めサイトを紹介。 ◎ASVの「視覚障害者パソコンサポート入門」のサイト  視覚障害者がパソコンを使えるようになるには最初のサポートがとても大切 です。このサイトは視覚障害者のこと、パソコンとの関わり、ソフト・ハード ウエアのこと、機種選定の基本知識、サポートの方法などがとても判りやすく 編集されています。 これからサポーターを目指すみなさん、ぜひご覧ください、また関係する方々 にもぜひ知らせてあげてください。 ▼詳しくは下記をご覧下さい。 http://asvjp.org/down/book2002/honbun/mokuji.htm  尚、上記サイトはASVが2002年に発刊した「これであなたもサポート ボランティア!! 視覚障害者へのパソコンサポート入門」の内容を掲載した ものです。また本書は完売済みですが、ないーぶネットより点字データを入手 することができるほか、録音図書(カセットテープ版・デイジー版)も貸し出 されています。 *全国視覚障害者インターネット接続支援連絡会(通称:ASV)のご紹介  ASV(アクセスサポートボランティアの略)は、関西、関東を中心に 全国に会員を持つ視覚障害者を対象としたパソコンサポート団体です。主な 活動としては、訪問サポート(パソコンのインターネット接続設定)、 オープンサポート(パソコンよろず相談)、及びメールサポート(メールに よる質問コーナー)などを行っています。 ▼ASVについて詳しくは下記をご覧ください。 http://asvjp.org/ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎助成金情報「NHKわかば基金」  団体運営の悩みはいくつもありますが、その中でも大きいのが「資金問題」 ですね。そんな悩みに少しでもお役に立てばとの願いをこめて、助成金の情報 を折に触れてお届けします。第1回は「NHKわかば基金」です。  「わかば基金」は、社会福祉法人 NHK厚生文化事業団が運営する助成金。  地域福祉を支援する「わかば基金」というコンセプトで、地域に根ざした 福祉活動をすすめているグループに支援金を贈呈しています。  これまでに、各地の音訳グループや盲聾者支援団体などが助成金を受けて いますので、パソコンサポート団体も充分可能性はあると思います。 *募集期間:5月の連休明けから6月下旬まで *支援対象:地域で活発な福祉活動をすすめているグループを対象とします。   パソコンサポート団体に該当しそうな項目は以下の通りです   (1)地域で暮らす高齢者や障害者の日常生活を支援したり、さまざまな     サービスを提供している。   (2)障害者の社会参加や就労の場づくりを促進したり、その活動の支援     にあたっている。   (3)福祉情報の提供やネットワークづくりを通して、地域の福祉活動の     向上につとめている。 *支援金額:1グループにつき上限70万円で、約15グループを支援 *申込方法:所定の申請書に記入の上、郵送で申込む *問合せ先:社会福祉法人 NHK厚生文化事業団  〒150-0041 東京都渋谷区神南1−4−1 第7共同ビル  TEL:03-3476-5955 FAX:03-3476-5956 http://www.npwo.or.jp/ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎年賀状作成以外でも使える、「宛名職人」  「宛名職人」は一般的には「年賀状作成ソフト」と呼ばれており、毎年秋に 新バージョンがリリースされ、現在は「2007Premium」が発売されています。  宛名職人についての詳細は下記ページをご覧ください。 http://www.agenda.co.jp/products/atn2007/index.html  またこのソフトは、ソースネクストからも「宛名職人R2007」の名称で発売 されています。2つの違いは、ダウンロードできるデータが異なる点です。 http://www.sourcenext.com/titles/use/72240/index.html  価格は、パッケージ版、ダウンロード版など条件により違っていますが、 最も高いもので3千円台です。  確かに年賀状の絵柄も豊富で、視覚障害者でも絵柄を選ぶ際に晴眼者の力を 借りれば、あとはスクリーンリーダーが対応しています。  しかし、このソフトは決して年賀状を作るためだけのものではありません。 各種封筒、カード、宛名ラベルはもちろん、宅配便の送り状や郵便振替用紙に 住所・氏名を印刷することもできます。また名刺の作成やCDのジャケット、 名札の作成など、用途は数多くあります。そしてそれらの操作のほとんどが スクリーンリーダーでできる、いわば「多機能印刷ソフト」なのです。  これまで「宛名職人」を年賀状作成だけのためのソフトだと考えていた方、 そんなソフトの存在も知らなかったという方、一般に売られているソフトで これだけ多くの機能を持ち、それがスクリーンリーダーに対応していることを ぜひ知っていただきたいと思います。  そして、多くのユーザーが使うことで、スクリーンリーダーへの対応もより よくなるはずです。やはりソフトは「ユーザーが育てる」ものだと思います。  尚、スクリーンリーダーを使う際は、下記からマニフェストファイルという 小さなプログラムをダウンロードします。 株式会社 システムソリューションセンターとちぎ(SSCT)(XP Reader) http://www.ssct.co.jp/barrierfree/95reader/d-road/atena2007.exe 株式会社 スカイフィッシュ(FocusTalk) http://www.skyfish.co.jp/focustalk/product_info/product_info_3.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎「ATACカンファレンス2006京都」開催のご案内  ATACカンファレンスは,障害のある人や高齢者の自立した生活を助ける 電子情報支援技術(e-AT)とコミュニケーション支援技術(AAC)の普及を 目的に1996年にスタートしました。 *開催日:2006年12月1日(金)〜3日(日) *会場:国立京都国際会館 *内容:セミナー、発表、障害疑似体験、展示会、コンサートなど ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.e-at.org/atac/2006win/ ◎日商PC検定(文書作成)3級がネットで実施されます 日本商工会議所が主催するPC検定(文書作成)3級が実施されます。 今回はインターネットを利用した形になり、試験終了後即座に採点がされ、 合否が分かります。視覚障害者の検定では初めての試みです。 *実施日:2006年12月2日(土)、16日(土) (2日間で4回実施) *試験会場:日本盲人職能開発センター(東京・四ツ谷) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.os.rim.or.jp/~moushoku/kentei/pckentei_H18.html ◎第1回 高齢者・障害者のICTを活用した社会参加を考えるシンポジウム  ネット企業における障害者の在宅就労を考える  ICT(情報通信技術)を活用し、ウェブサイトから発信される情報を チェックする"サイトチェック業務"の障害者在宅就労が長野県で始まり ました。サイトチェックとは、WEBアクセシビティへの配慮やユーザビリティ 向上について、またリンク先、誤字や脱字などを確認しネット企業に報告する ことで、ウェブサイト運営を支援する業務です。 *開催日時:2006年12月9日(土) 13:30〜17:00 開場13:00 *開催場所:情報通信ネットワーク産業協会(CAIJ)会議室 *定員:100名  どなたでも参加できます。  要約筆記サービスも用意しております。先着順に受付ます。 *参加費用:1,000円(当日現金でお支払いください) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://homepage3.nifty.com/ICSProject/telenet/simposium061209.htm ◎Windows画面読み上げソフト「xpNavo」発売  新たな画面読み上げソフトとして、株式会社ナレッジクリエーションから 「xpNavo」が発売されました。  このソフトの特徴としては、音質の良さがあるようです。また、日本語に 加えて英語もなめらかに読みます。 価格は税込み26,040円ですが、新発売記念特別価格として、限定500本まで 税込み20,790円で販売しています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.knowlec.com/product/navo-catalog.html ◎SPANのパソコンサポートデータベースを更新しました  SPANのWebで公開している「パソコンサポートデータベース」の 掲載内容を更新しました。  新規に掲載を希望される団体、また内容に変更がある場合は下記までご連絡 ください。 supportdb@span.jp 詳しくは下記をご覧ください。 http://www.span.jp/database/index.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、以下のアドレスまでお気軽にお寄せください。 forum@span.jp −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [6] 編集後記  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? メールマガジンの記事にする情報を集めながら、視覚障害者のパソコン サポートの奥の深さを改めて実感しています。 これからもみなさんのお力をいただきながら、日々のサポート活動に役立つ 情報を提供していくようスタッフ一同ベストを尽くしていきます。 それではまた、来年1月号でお会いしましょう。 −━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 forum@span.jp 編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク SPAN(スパン) http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━