━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2007年1月号 No.3                        2007年1月26日発行  今号から毎月第4金曜日にお届けしていく予定です。 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  メモ帳の活用 ● プロフェッショナルコース  スタートメニューの設定(3)   【一口メモ】  まず教室のオリエンテーションを [2] サポートお役立ちサイト  NATの(福祉)愛EYEプロジェクト   視覚障害者IT支援方法について [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  助成金情報 「財団法人 ヤマト福祉財団 障がい者福祉助成金事業」 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  検索機能に優れた「サーチエイド」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  障害者への情報支援普及・啓発シンポジウム ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎メモ帳の活用  パソコンを使う、という時に、やはり文章を書く、ということが多いと 思います。でも、この場合に、すぐ「ワード」で「書く」ことをしている 場合が多いのです。「何が何でもワード」なのです。でも、最終的には 編集をし体裁の良い文章にしますので、「ワード」は不可欠になるの ですが、「最後の編集」でよいのではないでしょうか。それに、編集が 必要ない場合などもあります。  Windowsのアクセサリ の中の、「メモ帳」の活用がお勧めです。 とくに、弱視の方には、お勧めなのです。とりあえず、メモ帳で書いて おいて、それを「ワード」などのワープロソフトに貼り付けて編集します。 1.メモ帳のよさは. (1)軽いので、「べた打ち」には最適。 わざわざ重いワープロソフトを使う必要があるのかと思います。何しろ、 余計なものはないので、とにかく早く動くわけです。 (2)自分の見やすい文字の大きさや書体で常に起動すること。(私の場合は MSゴシックで48ポイントの設定にしています。)特別な拡大ソフトの 活用もできるのですが、Windowsの中で、フォント種類、大きさが自由に 設定できますので、そのことを十分知る良い契機になると思います。 (3)ワープロソフトは、機能を高めるために、必要のない時に余計な 機能が働きますが、メモ帳の場合は一切それがありませんので、使う人の 意思に完全に従うわけなのです。 (4)もちろんスクリーンリーダで完璧に読みあげをします。 2.画面の最大化.  メモ帳は通常開くたびに画面が最大化になっていないため、最初に 最大化の設定を行います。 手順1 スタートメニューを開きます。[矢印]キーを使って 「プログラム」、「アクセサリー」、「メモ帳」という順序で移動します。 ここで[Enter]キーを押さないで次に進んで下さい。 手順2 [アプリケーション]キーまたは、[Shift](シフト)キーを 押しながら[F10]を押します。 手順3 [下矢印]キーで「プロパティ」に移動して、[Enter]キーを 押します。 手順4 [Ctrl]キーを押しながら[Tab]キーを押して、「ショートカット」 タブシートを表示します。 手順5 [Tab]キーを数回押して、「実行時の大きさ」のコンポボックスに 移動します。[上下矢印]キーで「最大化」を選択します。 手順6 [Tab]キーを数回押して、「適用のプッシュボタン」に移動して、 [Enter]キーを押します。 手順7 [Tab]キーで「OK」ボタンに移動して[Enter]キーを押して 完了です。 3.気をつけること. (1)小まめに上書き保存する。 (2)とにかく、正確な文字入力を行い、ワードなどでの、編集段階で訂正が  ないようにしたい。 (3)メモ帳で書く時は、書式のなかの「右端で折り返す」にチェックを  入れておきます。そうしないと、画面を見て確認する場合わかりにくく  なります。  でも、編集の前に全部コピーしますが、その時には、そのチェックを  はずして、ワードなどに貼り付けてください。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などがテーマです。 ◎スタートメニューの設定(3) 1.今回の目的.  前回は、「タスクバーと[スタート]メニューのプロパティ」の ダイアログと「タスクバー」のタブの画面について説明しました。今回は 「[スタート]メニュー」のタブの画面について説明します。 2.「クラシック[スタート]メニュー」の設定その2. (1)「タスクバーと[スタート]メニューのプロパティ」ダイアログの開き方.  まず、「コントロールパネル」中にある「タスクバーと[スタート] メニュー」を実行し、「タスクバーと[スタート]メニューのプロパティ」 ダイアログを開きます。このダイアログは「タスクバー」と 「[スタート]メニュー」の2個のタブを持っています。このダイアログを 表示した時は、必ず「タスクバー」のタブの画面になっています。 [Ctrl]+[Tab] で「[スタート]メニュー」のタブの画面に切り替えます。 (2) 「[スタート]メニュー」のタブのおすすめ設定項目.  この画面には、2列に並ぶ新しい「[スタート]メニュー」と従来の 縦1列のクラシック「[スタート]メニュー」を切り替える 「ラジオボタン」と「カスタマイズ」ボタン「OK」ボタン「キャンセル」 のボタンと「適用」のボタンがあります。  ここでは[Tab]キーを何回か押して「カスタマイズ」までフォーカスを移動 します。[Enter]キーを押して「クラシック[スタート]メニューの カスタマイズ」ダイアログを開きます。 (3) 「クラシック[スタート]メニューのカスタマイズ」ダイアログ.  このダイアログは、[スタート]メニューの項目を追加・変更または 削除するための4個のボタンと[スタート]メニューにある「最近使った ファイル」の項目を削除するための「クリア」ボタンおよび、チェック ボックスの集まりである[スタート]メニューの詳細オプションがあります。 [Tab]キーを何回か押して、「[スタート]メニューの詳細オプション」 まで移動します。移動後は、[上下矢印]キーでオプション項目を選びます。 チェックの「あり」「なし」を切り替えるには、[Space]キーを押します。 IMEが有効の場合、[Space]キーを押しても切り替えることができません。 その場合は[Ctrl]キーを押し下げている間に[Space]キーを押してください。  (注.マウスの左クリックの代替機能は[Space]キーです。)  各項目のお勧め設定は下記のとおりです。 (i)[スタート]メニューに項目をドラッグ/ドロップできるようにする.  中級以上の場合は「チェックあり」にします。このチェックがあれば、 メニューの項目について、ショートカットメニューを表示することが できます。  (注 ショートカットメニューはコンテキストメニューまたは    右クリック メニューなどと呼ばれていることがあります。) (ii)[スタート]メニューに小さいアイコンを表示する.  音声だけで利用している場合は、「チェックあり」にします。画面を 見て使用する場合は、この機能が有効かどうかを調べて決めて下さい。 (iii)[ファイル名を指定して実行]を表示する.  「チェックなし」にします。「ファイル名を指定して実行」の ダイアログを表示する機能で上級者向けですが、この機能を使用したい 場合は[Windowsキー]+[R]を押すと同様のダイアログが表示されるので そちらを使用するように指導してください。 (iv)お気に入りを表示する.  「チェックなし」にします。よく使用するURLとして登録されている 内容を表示する機能です。この機能はIEのメニューバーにある 「お気に入り(A)」と同一です。 (v)コントロールパネルを展開する.  「チェックあり」にします。展開すると、コントロールパネルは サブメニューになり[上下矢印]キーだけで選択することができます。 展開しない場合、[スタート]メニューのコントロールパネルを選ぶと、 新たにダイアログが開きます。 (vi)ネットワーク接続を展開する.  「チェックあり」にします。サブメニューとして表示します。 (vii)プリンタを展開する.  「チェックあり」にします。サブメニューとして表示します。 (viii)プログラムをスクロールする.  「チェックあり」がお勧めです。マウスを使用しない場合、違いは ありません。 (ix)マイドキュメントを展開する.  この機能は「チェックあり」がお勧めです。 スタート[メニュー]の最近使ったファイルのサブメニューの一番上に表示 されます。 (x)マイピクチャを展開する.  「チェックなし」にしてください。 (xi)管理ツールを表示する.  上級者以外は「チェックなし」にします。初心者の誤動作を防止する ことが目的です。 (xii)頻繁に利用するメニューを優先的に表示する.  「チェックなし」にして下さい。必ずなしにしてください。メニュー 項目が一部しか表示されないため、上から10番目がワープロなどの 使用方法ができなくなります。 ******************************************************************   【一口メモ】 ◎まず教室のオリエンテーションを  視覚障害者の受講生が初めて教室に来たとき、みなさんはどのように 対応していますか?「パソコンの前の椅子に座らせてそのまま」なんて いうことはありませんか?誰でも初めての場所は緊張しますが、視覚障害者 は周囲の状況が分かりませんので、緊張に加えて不安も感じています。  教室に入ったらまず、部屋の広さや窓の方向、机の配置、そしてトイレの 場所などについて大体の説明をしてあげてください。  例えば「この部屋は縦横の長さが5mほどの正方形で、正面に大きな窓が あり、机はロの字型になっています。また、トイレは部屋を出て3mほど 直進した左側にあります」といった具合です。  こうしたオリエンテーションを受けるだけで視覚障害者の緊張がとれる ばかりでなく、サポートする人との信頼関係も生まれます。  もちろん、弱視の人でこうしたオリエンテーションが必要ないケースも あるかもしれませんが、とにかく受講生の状態をよく見て対応することが とても大切だと思います。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトを紹介。 ◎NATの(福祉)愛EYEプロジェクト  視覚障害者IT支援方法について  このサイトではパソコンサポートの基本を一般の人と視覚障害者と別々に まとめていますので、サポートの違いが比較出来ます。 さらに視覚障害者をサポートする際の提案が色々と編集されています。 これから視覚障害者のパソコンサポートをしたいと考えている方々、 また実際にサポートをしているみなさん、ぜひご覧ください。 そして関係する方々にもぜひ知らせてあげてください。 ▼詳しくは下記をご覧下さい。 http://ieye.e-nat.org/method/index.htm  尚、上記のサイトを制作している、 NAT(ITネットワークアシストたかおか)は、富山県高岡市を拠点に、 ITを中心に、地域に根ざした幅広い活動をしている団体です。 ▼NATの詳細については下記をご覧下さい。 http://www.e-nat.org/ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎助成金情報 「財団法人 ヤマト福祉財団 障がい者福祉助成金事業」  団体を運営していく悩みの中で大きいのは、ソフトやパソコン、周辺機器 の購入などの「資金問題」ですね。 そんな悩みに少しでもお役に立てれば と思い、今回も助成金の情報をお届けします。 「財団法人 ヤマト福祉財団」は、下記の事業に対して助成金の贈呈を 行っています。 一般助成  (1)障がい者施設の改善、整備、備品等の購入に対する助成.  (2)各種会議、講演、研修事業に対する助成.  (3)各種出版、啓発活動等に対する助成.  (4)各種調査、研究事業に対する助成.  (5)文化事業、スポーツ活動等に対する助成.  申請のポイントとしては、施設の改善やテキスト制作、イベント開催など 具体的な事業を示し、それが障害者の自立と社会参加につながり、かつその 緊急性をアピールすることのようです。 *受付期間:3月1日から3月31日まで *贈呈金額(一般助成):一件当り上限額 100万円 *申込方法(一般助成):  「(財)ヤマト福祉財団 障がい者福祉助成金申請書」に必要事項を  記入の上、郵送。(ファックス不可) *お問い合わせ先:  財団法人 ヤマト福祉財団 (福祉助成金事務局)   〒104-0061 東京都中央区銀座2-12-15   TEL:03-3248-0691 FAX:03-3542-5165   E-mail: y.zaidan@yamatofukushizaidan.or.jp   URL: http://www.yamato-fukushi.jp/  (注)最近は「障害」ではなく、「障がい」と表現することもあります。    これは「害」という文字の持つマイナスイメージからのようです。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎検索機能に優れた「サーチエイド」  視覚障害者がホームページを閲覧するにはホームページリーダー(HPR)や ボイスサーフィンなどの音声ブラウザや、スクリーンリーダーでIEを読む 方法が多く用いられていますが、この「サーチエイド」はネット検索に特化 したソフトで、「ネット検索補助ツール」という位置付けになっています。  このソフトの特徴は、 1.矢印キーだけでかなりの操作ができる. 2.必要な情報が読みやすい. 3.辞書から路線、買い物など多くの検索サイトをあらかじめ登録. といったものがあります。  そのほかに、 4.開いたページを保存する「スクラップブック機能」. 5.モジュールを追加することにより検索先を簡単に増やせる. 6.開いたページを「編集モード」で1文字読みやコピーなどの操作が可能. 7.同じく「エディタモード」でファイル保存などができる. などを含む多くの便利な機能もあり、ホームページに慣れていないユーザー だけでなく、他のブラウザを使いこなしている人にも手軽なツールです。  ただこのソフトは、新聞を読むにはあまり適しておらず、またページ全体 のイメージを知りたい場合にはやはりHPRやIEを直接読むほうがベターだと いえるでしょう。  尚、新聞を読むのに適したソフトについては別の機会に取り上げたいと 思います。  このように、音声でホームページを読むにもさまざまな方法があるので、 それぞれのソフトが持つ特徴をよく理解した上で、サポートをする際にも 受講者のニーズを聞きながら、どのようなソフトを勧めるかについて考えて いくことが大切だと思います。 *サーチエイド  シェアウエア 8,800円(1ヶ月間はお試し期間なので無料で使用可能)  現在は、ver.1.04が公開されています。  動作確認OS:Windows Me, 2000, XP。  動作確認スクリーンリーダ:XPReader、PC-TalkerXP  点字ディスプレイ対応:XPReader、PC-TalkerXP ▼ソフトのダウンロードと詳細は下記をご覧ください。 http://homepage2.nifty.com/oss/ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎障害者への情報支援普及・啓発シンポジウム  -DAISY(アクセシブルな情報システム)を中心として-  DAISYを中心とした情報支援のニーズの再確認とこれからの情報支援の あり方、またDAISYの更なる普及・発展を目指して、障害の枠を超えた連携 などについても議論します。  申込み期限が1月29日と迫っていますが、DAISYに関心のある方には 興味深い内容です。 *日時:2007年2月4日(日) 12:00〜16:00 *場所:ホテル フロラシオン青山(表参道)1F ふじ *定員:300名(事前申込み制) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.normanet.ne.jp/info/seminar070204.html ◎柳川リハビリテーション病院ロービジョン研修会京都フォローアップ講習会  昨年7月と9月に京都で行われた、柳川リハビリテーション病院 ロービジョン研修会入門コースのフォローアップ講習会ですが、研修会の 受講者以外でも、ロービジョンケアに関心のある方は参加できます。 *日時:2007年2月11日(日) 9:30〜16:00 *会場:ハートピア京都(京都府立総合福祉会館) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.kouhoukai.org/lowvision/lv_forum070211.html ◎有害情報を通報しましょう  私たちのところに日々送られてくる迷惑メール、その中には社会的に有害 なもの、また違法なものも多くあります。  そうした有害な情報を通報するために以下のサイトが設けられています。 「簡易版」は入力が少し簡単になっています。  みんなの力で有害な情報をなくしていきましょう。 インターネット上の違法・有害情報の通報窓口 https://www.iajapan.org/hotlinecenter/cgi-bin/illegal41-reporting.html インターネット上の違法・有害情報の通報窓口(簡易版) http://www.iajapan.org/hotlinecenter/cgi-bin/illegal-simple0.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、以下のアドレスまでお気軽にお寄せください。 forum@span.jp −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? これから毎月お届けしていく予定ですので、どうぞ「みんなのメルマガ」 というお気持ちで読んでいただき、ご意見や情報などをぜひお寄せください。 みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。  それではまた次号でお目見かかりましょう。 −━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 forum@span.jp 編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク SPAN(スパン) http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━