━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2007年5月号 No.7                        2007年5月25日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  二つの活用法に感動! ● プロフェッショナルコース  マイコンピュータのキー操作(2)   【一口メモ】   デスクの上にも気配りを [2] サポートお役立ちサイト  パソボラさーくる虹の「視覚障がい者のパソコン活用ガイドXP」 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  独立行政法人 福祉医療機構の「長寿・子育て・障害者基金事業」 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  パソコンで読書する、「ないーぶリーダー プロフェッショナル」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  「NPOアライアンス」、登録NPOメンバーの募集を開始 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎二つの活用法に感動!  このGWに若い弱視の人が家に遊びに来ました。そのときに、パソコンの スクリーンリーダーを聞いて、びっくりしていました。 「こんな風に読み上げるんだ!」と、そして 「でも、全て読み上げるのは余計だ!」と言うんです。 細かな文字や数字で、眼が確かに疲労しますし、ルーペで確認したりも しています。でも、基本操作は、マウスで行っています。大きなディスプレイ を利用したり、ユーザー補助や、フォントサイズを大きくしたりと、いろいろ と工夫しながらやっています。  以前から、わたしは、彼らにうまくスクリーンリーダーを活用して もらえないかと思っていました。それは、弱い眼をいたわってほしいという ことです。そして、かれらも、疲労を考えて、きっと耳で聞くことに、期待 しているのです。問題は、自分に合ったスクリーンリーダーの活用法が わからないということです。言葉を変えれば、その人によって、使い方を 変えればよいという風に考えられていないということです。スクリーン リーダーは全盲の人のもので、自分が使うものでないと考えて、よく知る ことさえ拒否していたのです。 *二つの活用法に感動!  後日、新しいスクリーンリーダーの評価を体験した際、範囲指定させて 読み上げること、入力されたエクセルの表を読み上げさせること、を実際に 体験したら、すごく感動していました。「これは使える」というんです。 ホームページを閲覧していて、どこにどんなものが配置されているかは、 彼らは分かりますので、読ませたい部分だけを範囲指定させて読ませます。 これは、メールなんかも同じです。弱視の場合は、「見比べる」ことは 苦手です。入力された数値が、正しいかどうか、これを元データと照合する 作業は、大変です。これを、入力されたものを読み上げさせて、画面を 見ないようにすれば、非常に便利だと言うんです。このことを体験して、 彼らは、スクリーンリーダーがすごく身近になったようです。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎マイコンピュータのキー操作(2)  前回に引続き、使用方法について説明します。 「ア.」については前回説明済みです。 イ. 操作対象の移動.  方向キー単独または、他のキーと組み合わせて、ファイルやフォルダの 移動をしたりします。関連するキーについて説明します。 (1) [↑].  上の項目またはアイコンに移動します。 アイコン表示の場合、一番上の項目では隣の列に移動しません。 表示が一覧の場合左隣の列に移動します。 (2) [↓].  下の項目またはアイコンに移動します。 アイコン表示の場合一番下の項目では隣の列に移動しません。 表示が一覧の場合右隣の列に移動します。 (3) [→].  右側に項目(アイコン)がある場合は右側に移動します。 (4) [←].  左側に項目(アイコン)がある場合は左側に移動します。 (5) [PageUp].  1画面分上に移動します。 表示が一覧の場合は、[←]と同じ働きをします。 (6) [PageDown]. 1画面分下に移動します。 表示が一覧の場合は、[→]と同じ働きをします。 (7) [Home].  先頭の項目に移動します。 (8) [End].  最後の項目に移動します。 (9) 英字と数字を1文字だけ押したときの動き.  押した文字と先頭1文字が同じ文字の項目に移動します。現在選ばれて いる項目の先頭が押した文字と同じ場合は、同じ文字を先頭に持つ次の 項目に移動します。 (10) 英字と数字を素早く数文字押した場合.  一致する項目があれば、その項目に移動します。 ウ.[Shift]キーを併用した選択.  複数の項目を選択する場合に使用します。 [Shift]キーを押し下げたまま、移動すると次々と選択されていきます。 エ.[Ctrl]キーを併用した移動.  複数の離れた項目を選択する場合に使用します。縦に5個の項目がある 場合を例として説明します。 まず[方向]キーで上から1個目の項目に移動します。このとき、1個目の 項目が選択されている状況です。ここで[Ctrl]キーを押し下げたままに します。 [↓]を2回押します。すると、1番目の項目が選ばれたまま、3番目の 項目に移動します。3番目の項目は候補の状態です。[Ctrl]キーを押した まま、[Space]キーを押します。すると、3番目の項目が選ばれます。 さらに、[↓]を2回押して、5番目の項目に移動します。そこでまた [Space]キーを押します。ここで、[Ctrl]キーを離します。すると、3個の 項目が選択された状態になっています。 もちろんここで、[Delete]キーを押せば、3個の項目が削除つまりゴミ箱 への移動の対象となります。 オ.ショートカット ([Ctrl]+[英字]).  今までに説明しなかった、キーについて説明します。 (1) [Ctrl]+[A] 全て選択 Aは All の 先頭の1文字です。 (2) [Ctrl]+[C] コピー (Copyの先頭のC) (3) [Ctrl]+[D] 削除(Delete の 先頭のD) (4) [Ctrl]+[E] 検索コンパニオンが開きます。 (5) [Ctrl]+[F] 検索コンパニオンが開きます。(FindのF) (6) [Ctrl]+[H] 履歴が開きます。(History の H) (7) [Ctrl]+[I] お気に入りが開きます。 (8) [Ctrl]+[R] 左領域にある詳細が閉じる。 (9) [Ctrl]+[V] 貼り付け。(ピンセットの形として覚えます) (10) [Ctrl]+[X] 切り取り。(Xをはさみの形として覚えます) (11) [Ctrl]+[Z] 元に戻す。 カ. Altキーの文字 (1)Alt+A. お気に入りのメニューを開きます。 (2)Alt+D. アドレスに移動します。 (3)Alt+E. 編集メニューを開きます。(EditのE) (4)Alt+F. ファイルメニューを開きます。(FileのF) (5)Alt+H. ヘルプとサポートセンターの画面を開きます。(HelpのH) (6)Alt+Space. システムメニューを開きます。 【注意】 [Ctrl]+[A]のキー操作. *悪い押し方 2本の指をつきだして同時に押す。 *良い押し方 まず[Ctrl]キーを押し下げたままにする。 次に、[A]のキーをたたく。 そして [Ctrl]キーを放す。 ******************************************************************   【一口メモ】 ◎デスクの上にも気配りを  パソコン教室では、講習用のPCをパソコンラックやテーブルなどの上に 置くことになるでしょう。そんなとき、それらのデスクの上にも気配りを することが大切です。  例えば、視覚障害のある受講生の手の届くところにボールペンやクリップ などの小物、メガネや時計などを置いておくと、受講生がデスクの上で 手を動かして探し物をした際に、誤って落としてしまうこともあります。 こうしたことに対して、視覚障害者の中には結構気にする人もいます。 ましてや、ガラス類や陶器、また精密機器などの壊れ物だと、トラブルの 原因にもなるかもしれません。  基本的に、視覚障害者の手の届くところには落としそうな物を置かない ようにしましょう。もし、どうしても置く必要があるときは、事前に断って 必ず視覚障害者自身にその場所を確認してもらってください。  こうした細かい配慮がよい講習につながります。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎パソボラさーくる虹の「視覚障がい者のパソコン活用ガイドXP」  このサイトは、ご自身全盲の塚原幸雄氏(故人)がインターネットを通じて 日々の生活に充実感を味わった、その感動を一人でも多くの方と分かち 合いたい、ともすればIT化に取り残されがちな、私達視覚障害者のお役に 立てればとの思いを継承して作られています。  サイトの中は 1.[入門] 2.[単語の呼び出しと読み方] 3.[各種ファイルの管理とバックアップ] 4.[パソコンを使いやすくする] 5.[Web閲覧と電子メール] 6.[参考] の6項目に分かれており各項目は更に細分化され詳細説明しています。  これから視覚障害者のパソコンサポートをしたいと考えている方々、 また実際にサポートをしているみなさん、ぜひご覧ください。 そして関係する方々にもぜひ知らせてあげてください。 ▼詳しくは下記をご覧下さい。 http://www.niji.org/gaidoxp/gaidoxp.htm −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎独立行政法人 福祉医療機構の「長寿・子育て・障害者基金事業」  団体を運営していく悩みの中で大きいのは、ソフトやパソコン、周辺機器 などの購入といった「資金問題」ですね。 そんな悩みに少しでもお役に 立てればと思い、助成金の情報をお届けします。 今回は、独立行政法人 福祉医療機構の「長寿・子育て・障害者基金事業」 をご紹介します。  この事業は、政府からの出資を受けた4つの基金の運用益により、高齢者 や障害者、子育て、また青少年などを対象にした事業に取り組む民間団体の 活動に対して助成を行うものです。  助成は、社会福祉法人、公益法人、特定非営利活動法人、助成事業の 実施体制が整っている任意団体などに対して行われます。  また、助成対象事業は大きく4つあり、そのうち、障害者のパソコン 利用の促進に関係のあるものは以下の通りです。 1.長寿社会福祉基金 (1) 在宅福祉事業等に従事するマンパワーの養成・研修に関すること (2) 高齢者・障害者の日常生活環境の向上に対する支援に関すること (3) その他高齢者・障害者の在宅福祉事業等の支援に関すること 2.高齢者・障害者福祉基金 (1) 地域の福祉・介護のネットワークの形成に関すること (2) 緊急に充実を図る必要のある高齢者、障害者在宅福祉の推進に関すること (3) 高齢者、障害者の社会参加の促進に関すること (4) 民間非営利団体等による地域の福祉・介護活動に関すること  これまでに助成を受けた団体を見ると、オリジナリティーのある事業や 地域に根ざした活動をしているところが多いようです。単なる活動費の助成 ではなく、具体的な事業に対して申請をするといいようです。  尚、次回の助成金申請についての詳細は8月頃に発表されます。 *お申込み・問合せ先: 独立行政法人 福祉医療機構 基金事業部振興課 〒105-8486 東京都港区虎ノ門4−3−13 秀和神谷町ビル9階 TEL:03-3438-9946 FAX:03-3438-0218 03−3438−0218 E-Mail: sinkoka@wam.go.jp URL: http://www.wam.go.jp/wam/gyoumu/kikinjigyou/index.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎パソコンで読書する、「ないーぶリーダー プロフェッショナル」  今や視覚障害者の読書の定番ともいえるのが、ないーぶネット。 ないーぶネットは、全国の点字図書館やボランティア団体で点訳・音訳された 図書のデータベースサイトです。そこから図書の貸出し予約や図書データの ダウンロードができ、手軽に読書を楽しめる環境が提供されています。 とはいえ、図書データの検索から実際に音読させるまでの一連の作業は結構 煩雑なもの。それを軽減すべく開発されたのが「ないーぶリーダー」です。  今回は、ないーぶネットの一新に伴い、5月10日にバージョン アップされた「ないーぶリーダー プロフェッショナル」をご紹介します。  「ないーぶリーダー プロフェッショナル」はとても簡単な操作で ないーぶネットから本を閲覧することができるソフトです。 基本は4つの矢印キーで操作して、目的の項目を実行します。  起動直後のトップメニューから録音図書、点字図書、点字データそれぞれの 人気図書ランキングや点字図書、録音図書の週刊新着情報を見ることができ、 図書データがあれば、そこからダウンロードして音声で読み上げさせることが できます。もちろん、条件を指定しての検索も簡単に行えます。  今までより点字ファイルのオープンが速くなるなど、より快適に使用 できるよう工夫されています。 さらに、デイジー形式の録音図書などにインターネットでアクセスし、 オンラインで読書できる、びぶりおネットも利用できます。 ▼びぶりおネットに関してはこちらをご参照ください。 http://www.nittento.or.jp/ROKUON/haisin.htm −−動作環境−− 対応OS:Windows98,Me,XP,VISTA 対応スクリーンリーダー:95Reader系、PC-Talker系 新規購入価格:36800円 ないーぶリーダーユーザー特別価格:16800円 2006年4月以降ないーぶリーダーをお買上げのユーザー特別価格:7400円 *本ソフトの使用には、ないーぶネット利用登録が必須です。 ご注文、お問合せは、イネーブルソフト株式会社まで。 http://www.enable.co.jp/pr1.htm −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎「NPOアライアンス」、登録NPOメンバーの募集を開始  NPO・IT推進協議会メンバーのNPO法人イーパーツと市民活動を 支える制度をつくる会(シーズ)は、「NPOアライアンス」の募集を 開始しました。  これは、企業が持つ経営やITの利活用のノウハウなどをNPOに広く 提供して、NPOの経営基盤強化を図るとともに、企業やIT技術者の 社会貢献活動を進めることを目指しています。 一定の要件を満たすNPOならば無料で登録できます。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.npoplus.jp/tabid/108/Default.aspx ◎HCD-Netフォーラム2007を開催  「ユニバーサルデザインはこれからどうする」  このフォーラムは、これからのユニバーサルデザインのあり方、そして 取り組み方を、それらを実践している有識者の方々と共に考え、 議論する場として開催されます。 *日時:6月1日(金) 13:30〜17:15 *会場:代々木オリンピックセンター・カルチャー棟 小ホール *定員:300名 *参加費:無料(事前登録制)(但し懇親会は有料) *主催:特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.hcdnet.org/ ◎「個別テーマ講座、ワード編」を開催  SPANではMicrosoftWordの講座を開催します。 この講座ではビジネス文書を教材に、書式や文字装飾、また表の作成などに ついて学ぶほか、Wordを使いやすくするテクニックも紹介します。 *日時:6月17日(日) 10:00〜16:00 *場所:スパンITプラザ *受講料:5,000円 *定員:5名 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.span.jp/activity/schedule.html#2007/06/17 ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、以下のアドレスまでお気軽にお寄せください。 office@span.jp −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 1ヶ月おきに弱視のサポートについて取り上げていますが、音声ユーザーと 比較して、弱視についてのノウハウがまだ確立していないことに気づかされ ます。これからも弱視の問題を引続き考えていきたいと思っています。 ところで、連絡用のメールアドレスを変更しましたので、ご意見や情報の 提供などは、以下に記載した新しいアドレスまでお願いします。 次号は、6月22日配信の予定です。 −━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp 編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク SPAN(スパン) http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━