━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2007年10月号 No.12                      2007年10月26日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  どう教える?キーボード(5)   キーの位置を説明する方法 ● プロフェッショナルコース  ファイルメニュー七変化(3)   【一口メモ】    見え方さまざま [2] サポートお役立ちサイト  文芸書を、朗読で聞くことができる「こえたばブック」 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  「IT」(情報通信技術)を使って、群馬県内の障害者を支援   パソボラ・サポート群馬 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  使いやすさを手堅く押さえた新ブラウザ、「ネットリーダー」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  【再掲】 「サイトワールド2007」開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎どう教える?キーボード(5)  キーの位置を説明する方法  前回は「必要なキーから教える」というお話をしました。例えば、 「スタートメニューに必要なキー」、「メモ帳の操作に必要なキー」 というような具合です。では、これらのキーの位置をどのように教えたら いいでしょうか。  今回はこうしたキーの位置を口頭で説明する方法についてお話します。 尚、説明は「109キーボード」を基準に行います。 1.位置関係を示す基本原則.  キーの位置を説明する際、それらの位置関係を示すにはどんな言い方を すればいいでしょうか。  キーボードの横の関係は「右・左」でいいと思います。では、縦の関係 はどう説明しますか?「上・下」ですか?それとも「奥・手前」ですか?  これは「どちらでなくてはいけない」ということはないと思います。 「上・下」でも「奥・手前」でも、受講生が理解できればいいわけで、 それにあまりこだわることはないでしょう。ただ、一度決めたら両方を 混在させないことが大切です。  ときによって「上・下」と言ってみたり「奥・手前」と言ったりすると 受講生は戸惑ってしまいます。 2.基準となるキーを教える.  位置関係を説明するためには、それらの基となるキーについてまず話す 必要があります。例えば、[Windows]を説明するためには、 端にある[Ctrl]の位置をまず教えておくことがポイントです。 それが分かると、その延長線上で[Alt]も教えられます。また、 [半角全角]を教えることで、それを基準に[Tab]も説明できる わけです。 3.よく使うキーは2つある.  みなさんご承知の通り、よく使うキーは2つずつ用意されています。 [Ctrl]、[Windows]、[Alt]、[Shift]などは 左右にあることを最初のうちに話しておくことで、受講生にとって覚える キーの数が減るばかりでなく、キーの位置関係を理解する上でもとても 有効だと思います。  ここでお話した方法だけが全てではありません。みなさんがよいと 思われる方法があればそれを使っていただいて構いません。  ただ、場当たり的な教え方だけはしないようにしてください。 どう教えるかを自分自身がきちんと理解し、納得して講習に臨むことが 何より大切だということを分かっていただければと思います。  次回は、具体的なキーの位置説明の方法についてお話します。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎ファイルメニュー七変化(3)  今回は、要点の再確認とプロパティについて説明します。 1. 要点の再確認.  マイコンピュータのファイルメニューについて、何回か説明しました。 要点をまとめると、  要点1. ファイルメニューは「選択されているアイコン」により 異なる内容になります。  要点2. ファイルメニューの一部は、ショートカットメニューによく 似ています。  要点3. インストールされているソフトにより異なる場合があります。  要点4. 同じ拡張子を持ったファイルでも、自分のパソコンと他の人の パソコンで異なるファイルメニューが表示されてしまうこともあります。  要点5. プロパティのダイアログを呼び出すことができます。 になります。 2.マイコンピュータとのつきあい方.  複数の文書ファイルを一気に印刷することができたり、多くの機能が あることがわかりました。しかし、機能が多いので「難しい」とか「全部 覚えるのは大変」と考えがちです。すべてを覚える事は困難です。 要するに「ファイルメニューを開く」または「ショートカットメニューを 開く」ことをすれば、そのときに有効な機能を教えてくれる機能であると 気張らずにつきあうことが大切です。 3.プロパティ. (1)フォルダの場合.  この資料を作成しているパソコンでは「全般」「共有」「カスタマイズ」 の3個のタブを持つダイアログが表示されます。  「全般」のタブの画面はフォルダの情報を知ることと属性の変更の他に 「詳細設定」のボタンがあります。  フォルダの情報は以下の通りです。フォルダの情報はダイアログに表示 されているスタティックテキストなので、スクリーンリーダのキー操作で 順番に聞くことができます。(XP Readerの場合は、[Ctrl]+[上下矢印]) 内容はファイルの場合と同じです。  「カスタマイズ」のタブの画面では、フォルダの種類を選ぶことが できます。  この画面は、マイコンピュータの表示メニューで「このフォルダの カスタマイズ」を実行したときに現れる画面と同じです。  フォルダを音楽専用、写真専用などにする場合便利な機能ですが音声で 使用する場合はもっとも標準的な「ドキュメント」(すべてのファイルの 種類)が便利です。  要するに、フォルダの表示方法は、「詳細」や「アイコン」以外にも 存在することがわかりました。 4.その他のプロパティ.  CDドライブ、DVDドライブ、ローカルディスクなどのプロパティには 機能が多くあります。これはパソコン管理者向けの機能なので、今回の 説明では省略します。 ******************************************************************   【一口メモ】 ◎見え方さまざま  みなさんは、視覚障害者はどんなふうに「見えている」、あるいは 「見えていない」と思いますか?  30万人の視覚障害者のうち、3分の2以上が「弱視」、あるいは 「ロービジョン」と呼ばれる人ですが、それらひとりひとりの見え方は みんな違っています。霧がかかったような状態の人、サングラスをかけた ように全体が暗く見える人、光が乱反射してとてもまぶしいと感じる人 など本当に十人十色です。  また、資力は高くても視野が狭いこともありますし、見える位置も眼の 中央だったり、それ以外だったりします。  要するに、一口に「弱視」といってもみんな違っていることをまず 知っていただきたいと思います。それを知ることで、サポートをする ときの心構えもきっと変わってくるはずです。 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎文芸書を、朗読で聞くことができる「こえたばブック」  今回も、視覚障害者自身にとってのお役立ちサイトを取り上げてみました。  パソコンを指導するに当たって、パソコンができるとこんなことも できるようになります、と紹介するような意味でもご利用下さい。  今回ご紹介するサイトは、 文芸書を、朗読で聞くことができる「こえたばブック」です。  前回ご紹介した、「青空文庫」では、テキストファイルなどとして書籍を公開しています。  このため、これを聴くためには、スクリーンリーダーなどのいわゆる合成音声によらなければなりませんでした。  しかし、文芸書はやはり人間の声の朗読で聞きたい。このサイトはそんな人のためのものです。  実際に、合成音声に慣れてしまっている耳には、さすがにここでの優しい女性の声の朗読は、これこそ文芸書、の感じがしました。  このサイトに収録されている図書も、著作権の関係から比較的古い文芸書が中心となっています。  また、朗読を聴くためには、リアルプレイヤーのver7以上が必要です。  なお、このサイトには、有料の会員制ですが、毎週の週刊誌の朗読を聴ける「こえたばマガジン」や、ちょっとしたはがきなどを読んでもらえる「こえたばパーソナル」もあります。  是非一度このサイトを訪ねてみられて、まだご存知でない視覚障害者の 方にも紹介してあげて下さい。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.koetaba.net/3book/index.html ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎「IT」(情報通信技術)を使って、群馬県内の障害者を支援  パソボラ・サポート群馬  今回は、群馬県内で活動している「パソボラ・サポート群馬」を ご紹介します。  この団体は、群馬県が行う以下の事業を受託しており、視覚障害者だけで なく、肢体不自由や聴覚障害者など、幅広い人を対象にしています。 ・群馬県障害者情報化支援センター運用業務 ・群馬県重度身体障害者出張パソコン講習運用業務等  そのほか、独自の活動としては以下のようなものがあります。 ・訪問サポート活動 ・メーリングリストの運用 ・WEBによる情報提供 ・PSG通信発行(月1回) ・聴覚障害者のためのパソコン要約筆記入力者養成 ・その他  障害者を対象としたパソコン講習会の開催や、障害者のIT利用を  促進する為の講演会等の開催を行っています。  また、サポート報告ページ、 http://www3.wind.ne.jp/psv/hohkoku/hohkoku.htm  にはサポートに行った時の事が詳しく出ています。 これを読むだけでも役立ちます。  パソボラ・サポート群馬のように、自治体とのしっかりとした協力関係を 築くことが地域に根ざした団体を運営していく上での一つのモデルと なるのではないでしょうか。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www3.wind.ne.jp/psv/index.htm ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎使いやすさを手堅く押さえた新ブラウザ、「ネットリーダー」  本日は、(株)高知システム開発より今月発売された新しい インターネット読み上げソフト、「ネットリーダー」をご紹介します。  この「ネットリーダー」は、音声で快適にインターネットを楽しめるよう、 ホームページから必要な情報を集めて再表示し、カーソル移動だけで手軽に ホームページを読むことができるネットブラウザソフトです。  ネットショッピングやネット銀行などが簡単に利用できるように 独自の検索機能を装備。どなたでも目的の場所へすばやく移動できます。 また、文字を大きくくっきり表示する拡大表示機能で、閲覧画面、 プルダウンメニュー、設定画面、検索画面などが拡大でき、 「見やすい、疲れない」を実現しました。  本ソフトはPC-Talker系のスクリーンリーダーと連携することで、Web2.0や フラッシュ、PDFなどの複雑なページにも対応。さらに、英語のホームページを 自動的に日本語に翻訳する英文翻訳機能も搭載しました。 ・対応OS:Windows XP, Vista(32ビット版に対応) ・対応スクリーンリーダー: PC-Talker XP、PC-Talker Vista VDMW300、VDMW500 ※スクリーンリーダーは音声出力に必要です。 ・製品価格:28000円(税込29400円) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.aok-net.com/products/netreader.htm ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎【再掲】 「サイトワールド2007」開催  ふれてみよう!日常サポートから最先端テクノロジーまで 視覚障害者のための国際情報・機器&サービス総合展 「サイトワールド2007」  昨年に引続き、視覚障害者向けの総合イベントが開催されます。 前号でもお知らせしましたが、対象を視覚障害者に絞った総合展示会です ので、ぜひ多くの方が参加されるよう再度ご案内します。 *会期:11月2日(金)〜4日(日) 10:00〜17:00(最終日16:00) *会場:すみだ産業会館 サンライズホール(東京都墨田区) *入場料:無料 *内容:視覚障害機器・サービス展示会、講演会、セミナー、映画界など ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.sight-world.com/ ◎「P.P.C2007 第9回西日本国際福祉機器展」を開催  〜 みつめる こころ みつける あした 〜  国内外の最新の福祉機器を紹介する展示やイベントなどが行われます。 対象は視覚障害だけではありませんが、西日本最大級の催しです。 *会期:11月16日(金)〜18日(日) 10:00〜17:00(最終日16:00) *会場:西日本総合展示場 新館(北九州市) *入場料:無料 *内容:聴覚・言語・視覚福祉機器展、福祉用具とおもちゃ展、   バリアフリー体験学習コーナー ほか   セミナー・イベントは、「障害のある成人のリハビリテーションと   自立生活」などがテーマです。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.convention-a.jp/fukushi/ ◎「EXTRA for Windows Version 4.1」を発売  有限会社エクストラは10月17日、自動点訳・点訳支援プログラム EXTRA for Windows Version 4.1を発売しました。 このソフトは、テキストファイル、Wordや一太郎などで書かれた文章の ほか、HTMLファイルやPDFファイルのテキスト部分などを自動的に 点字のデータに変換します。 今回のバージョンアップでは、Windows Vistaに対応させたほか、 ユーザ点訳辞書の取り出し(エクスポート)、取り込み(インポート)機能が追加されています。 価格は79,800円(税込)で、ほかにバージョンアップ価格があります。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.extra.co.jp/product_8.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 秋はイベントのシーズンですね。今回もご案内しましたが、これが終わると 季節が冬へと移っていきます。 次号は11月22日配信の予定です。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。 編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク SPAN(スパン) http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━