━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2009年4月号 No.30                       2009年4月24日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  ここが山場だ!文字入力(4) ● プロフェッショナルコース  Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(1) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  見えない、見えにくいってどんなこと?その2 [2] サポートお役立ちサイト  メルマガ「週刊福祉情報」ご案内 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  NPO情報ネットワークセンター   〜NPO法人を幅広く支援〜 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  どこでも撮影、読みやすく拡大、「アクティブビュー(ActiveView)」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  視覚障害者に対するパソコン指導者養成講座(埼玉)開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎ここが山場だ!文字入力(4)  2月号に引き続き文字キーの配列とアルファベット入力の指使いについて 解説します。 前回はホームポジションの段、キーボードの段を下から数えて3段目に並んで いる文字キーの配列と指使いについて説明しました。 ここで、注意したいのは、前々回の記事でも書きましたが、ホームポジション に指を置いた状態で、ホームポジション以外のキーを押すときは、指をタイプ したいキーに伸ばしてそのキーを押します。押した後は必ずホームポジション に指を戻してください。指を戻すことで、キーを見なくても、次のキーを正確 に探し当てることができるからです。  さて、今回はホームポジションの一段上の段、キーボードの下から数えて 4段目に並んでいる文字キーの配列と指使いについて説明します。 右手と左手に分けて順に説明します。まずは右手からです。 右手人差し指[J]の指を上の段に伸ばして[U]です。そして、[U]を押した指を 元の[J]の位置に戻します。、[J]、[U]、[J]と続けてタイプしてみましょう。 同様に中指[K]の指を上に伸ばして[I]。その指を戻して[K]。[K]、[I]、[K]と 続けてタイプします。 次に薬指[L]の指を上に伸ばして[O]。その指を戻して[L]。[L]、[O]、[L]と 続けてタイプします。 小指[;]の指を上に伸ばして[P]。その指を戻して[;]。続けて[;]、[P]、[;]と 続けてタイプします。その小指をひとつ右に伸ばして[:]、その上の段にその 指を伸ばして[@]。その指をもうひとつ右に伸ばして、(])、その指を上の段に 伸ばして([)と記号のキーが並んでいます。なお、(])、([)の右隣に小指を 更に伸ばすと、[Enter]があります。このキーまで原則右手の小指担当です。 出来る限り正確なタッチタイピングを心がけましょう。 キーボードのそれぞれの段は互い違いにキーが並んでいるため、真上や真下に 指を伸ばしてもキーの真ん中に指を配置してタイプすることはできません。 それぞれのキーの位置をよく触って確認してみましょう。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記(1) マイクロソフト社のOfficeが全面改訂されました。文書ファイルの形式と 操作方法の変更がすぐに気が付く大きな変更点です。Office2002エキスパート でも初めてOffice2007を使用すると、今まで利用していた機能が見つからない のでイライラすることがあります。しかし、これは慣れるしかありません。 今回から、「Office2002エキスパートユーザのOffice2007奮闘記」として お話しします。 (自分でエキスパートユーザと名乗る思い上がりをお許し下さい)                         (文責 村山慎二郎) 1. 文書ファイルの形式 ワードは 拡張子がdocからdocx に変更されました。エクセルの拡張子もxlsx になりました。従来のワードで拡張子docxのファイルを読むには、マイクロ ソフトのホームページから付加機能をダウンロードする必要があります。 しかし、複雑な構成の文章は読み込みを失敗することもありますので注意して ください。エクセルではセルの範囲が大幅に増えました。 2. 操作系 Windowsのソフトは当初、メニューとショートカットを使用して操作すること が基本でした。やがてよく使用する機能について,メニューを開かずにボタン 1個をマウスでクリックすれば動作する「ツールボタン」が登場しました。 現在では、メニューを開かずにツールボタンをクリックするユーザが増加 しています。Office2007では、このメニューとツールバーを使用した操作 体系が全面的に変更になりました。リボンと呼ばれる新しい概念です。 office2007ではメニューはありません。新しい操作体系では、いくつかに分類 されたボタンのグループを切り替えて表示します。 しかし、ショートカットはほとんど変更されていません。リボンの構成が身に 付くまでは、ショートカットとアプリケーションキー(または[Shift]+[F10]) で表示されるコンテキストメニュー(ショートカットメニュー)を利用すると 便利です。 3. Word2007の基本画面 いちばん上の行には下記の6個の部品があります。その次の行にはリボンが あります。Officeボタンは2行分の大きさを持っています。[Alt]キーを押す と一番上の行とその次の行にショートカットが表示されます。 (ア) Officeボタン。ショートカットは[F]です。 (イ) クイックアクセスツールバー 。ショートカットは1から始まる数字 です。 (ウ) タイトルの文字 文書名とプログラムの名前が表示されます。 (エ) 最小化ボタン  (オ) 最大化、または元に戻すボタン (カ) ×ボタン 上の3個のボタンは[Alt]+[Space]で表示されるメニューで操作できます。 4. Officeボタンの説明 クリックすると従来のファイルメニューに相当するメニューの様なダイアログ が表示されます。 キーボード操作では[Alt]+[F]または[Alt]キーを押して離してから[F]を 押しても大丈夫です。 5. クイックアクセスツールバー 初期状態では3個のボタンとその右にリストを表示するボタンがあります。 [Alt]キーを押すと、3個のボタンの上には数字の[1],[2],[3]が表示 され、キー操作できます。追加・削除することができます。 (ア) 上書き保存、1または[Ctrl]+[S] (イ) 元に戻す、2または[Ctrl]+[Z] (ウ) やりなおし、3または[Ctrl]+[Y] その右には、クイックアクセスツールバーのカスタマイズがあります。 6. 2行目 リボンのグループ名があります。[Alt]キーを押すと、英字が表示されます。 従来のメニューのように、左右キーでも選ぶことができます。 (ア) ホーム、[H](Homeの先頭のH) (イ) 挿入、[N](Insertの2文字目のN) (ウ) ページレイアウト、[P](Page Layoutの先頭のP) (エ) 参考資料、[S](Referencesの最後のS) (オ) 差し込み文書、[M](英語版では機能が違います。メールになって います) (カ) 校閲、[R](Reviewの先頭のR) (キ) 表示、[W](Viewの最後のW) です。事前にインストールされているプログラムによっては、その右にアド インが表示される場合があります。 次回からは各機能の説明をします。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎見えない、見えにくいってどんなこと?その2 つぎの表は身体障害者手帳交付条件の内、視覚障害に関わる箇所です。 パソコン指導を受ける方の手帳の等級をお聞きになるなどされれば、見え方の 概略について、一つの判断材料となります。 しかし、手帳の等級では見え方/見えにくさのほんの少しの情報でしかない ことも理解しておいてください。 また、等級は個人情報でもあるので、「もし、差し支えなければ・・・」など と断ってからお聞きになることをお勧めします。 ■視覚障害の等級(身体障害者手帳) 等級 障害の程度 1級: 両眼の視力の和が0.01以下のもの 2級:1.両眼の視力の和が0.02以上0.04以下のもの  2.両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ、   両眼による視野について視能率による損失率が95%以上のもの 3級:1.両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの 2.両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ、 両眼による損失率90%以上のもの 4級:1.両眼の視力の和が0.09以上0.12以下のもの 2.両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの 5級:1.両眼の視力の和が0.13以上0.2以下のもの 2.両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの 6級:一眼の視力が0.02以下、良い方の目の視力が0.6以下のもので、 両眼の視力の和が0.2を越えるもの ※視力とは万国式試視力表によって測ったものをいい、  屈折異常のある者については、矯正視力について測ったものをいう。 ここまでは、主に数値で視覚障害の状況について概略を述べてきました。 しかし、ロービジョンの方はその疾病などにより、見え方については十人十色と云われています。 実は私も視覚障害当事者です。 現在の視力は、世界保健機関(WHO)の区別によると盲人に分類されます。 10数年前までは視覚障害者ではありませんでした。 徐々に視力が落ち、視野も狭くなってきました。 この10数年間に多くの盲人、ロービジョン社に会ってきました。 その方たちとの意見交換や当事者としての経験をしてきました。 また、日本ロービジョン学会や、視覚障害リハビリテーション協会の理事と して得た情報などを基に、専門家ではありませんが、生活者として、パソコン 指導上理解しておくと参考になることについて次号から述べます。                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎メルマガ「週刊福祉情報」ご案内 音声拡大読書機「よむべえ」などのメーカーであるアメディアが発行している メルマガの登録ページですが、ここからバックナンバーも読みに行けます。 このメルマガには、 福祉に関するニュースや情報ソースを紹介するマスコミトピックスコーナー、 障害者当事者や福祉関係者の視点で書かれた記事を紹介するブログトピックス コーナー、 福祉関係の催し物やイベント、セミナーなどの案内を紹介する連動ブログの 福祉・介護イベント、 などがあります。 特にこの中のブログトピックスコーナーでは、視覚障害者の立場からの記事が あり、視覚障害者がどのように感じ、生活しているかを知る上で大いに参考に なると思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.amedia.co.jp/fukusi/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎NPO情報ネットワークセンター  〜NPO法人を幅広く支援〜  NPOは、設立から日常の運営までさまざまな問題を抱えています。 そうしたニーズに幅広く応えるのがこの団体です。  基本的な活動は以下の通りです。 1.NPO法人設立支援 NPO設立に関する相談や情報提供を行っています。 2.情報ネットワーク支援 NPOが開設するホームページを支援するほか、メールや会議室などの提供など を行っています。 3.NPO支援活動 以下の支援活動を行っています。 (1)ネットワーク支援  パソコン、インターネット等情報基盤をサポートします。 (2)経営支援  NPO組織の経営相談をサポートします。 (3) NPO情報の提供  NPO団体等のホームページの紹介や情報の公開をサポートします。  このほか、Web上で以下の情報提供を行っています。 (1)NPO総合案内所 (2)ボランティアネット (3)イベント情報掲示板  行政手続きや経営相談などにも対応していて、私たちNPOにとっては心強い 存在だと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください http://www.npo-jp.net/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎どこでも撮影、読みやすく拡大、「アクティブビュー(ActiveView)」  今回は、パナソニック四国エレクトロニクス(株)から3月1日に発売された 携帯型拡大読書器「アクティブビュー」をご紹介します。  従来の機能である、読書物の上で機器を動かし、拡大する方法に加え、 700万画素のオートフォーカスカメラを使った拡大ズーム機能で遠くの時刻表や 看板等を拡大して液晶モニタに表示できます(ライブビューモード)。 その拡大した画像を撮影し、30枚または100枚保存できます。頻繁に使用する 時刻表、路線図、お店のメニュー等を保存し、いつでも拡大スクロールして 確認できます。また読みたい書物を丸ごと撮影し、拡大スクロールさせながら 読書ができます(再生モード)。  本機で撮影した画像は、USB接続したパソコンに転送・保存できます。また、 RGB端子で外部モニターに接続すれば、本機と同じ映像を大きな画面で 確認でき、読書がしやすくなります。 さらに視覚障害者の症状に合わせ、画面を見やすくするカラーモードを搭載。 ライブビューモード、再生モードともに白黒、黒白、黄青、青黄、黒黄の カラーモードが選択できます。行動的な弱視者に送る一品です。  なお、本製品は日常生活用具対象製品です。 ●本体価格:198,000円(税込、予備バッテリー券付き) ※予備バッテリー券とは、本体内蔵のバッテリーが消耗したときに交換する ためのバッテリー交換券です。ただし、交換代・送料の合計6,300円は お客様負担となります。 ●主な仕様 サイズ・重量:幅約160mm×高さ約80mm×奥約24mm 重さ約290グラム 電池連続使用時間:約240分(再生モード)、約150分(ライブビューモード) 電源:DC5.0V 1.6A(ACアダプターにより入力) パソコン接続:USB接続(USBケーブル同梱) モニター接続:RGB接続(専用接続ケーブル同梱) 充電時間:約270分 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.times.ne.jp/products/activeview/index.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎視覚障害者に対するパソコン指導者養成講座(埼玉)開催 この講習会は、視覚障害者のパソコン指導者を養成するために開催します。 *日時:2009年6月20日(土)10:00〜17:00  21日(日)10:00〜16:00 *会場:埼玉県障害者交流センター 研修室1 *内容:視覚障害者が使いやすいパソコンの設定の学習やタッチタイピング、  及びキーと音声によるWindows操作と文字入力などの指導法の習得。 *参加費:無料 *主催:財団法人 機械産業記念事業財団 ▼詳しくは下記をご覧ください。  http://www.span.jp/tepia/info_090620-21saitama.html ◎大阪府、障害者対象の短期職業訓練「パソコン実践科」訓練生募集 大阪府は障害者を対象とした4回にわたる短期職業訓練を実施予定。訓練生を募集します。 *内容:Word・Excelの基本操作、ビジネス文書やグラフの作成、インターネットの 情報検索方法など、パソコンによる事務処理に必要な実践的能力の習得を行います。 *会場:大阪府ITステーション *日程:第1回:5月7日(木)から7月14日(火)(締め切り日は過ぎています。)     第2回:7月23日(木)から10月7日(水)、締め切りは6月19日(金)。     第3回:10月15日(木)から12月25日(金)、締め切りは9月4日(金)。     第4回:2010年1月13日(水)から3月25日(木)、締め切りは12月4日(金)。 *応募条件:大阪府内在住の身体障害者で、自力通校・通所が可能で、   自分で身の回りの基本的なことができる方、職業訓練を受けることにより   就労が見込める方、満15歳以上で公共職業安定所に求職申込みを行って   いる方。 *受講料:無料(教材費別途かかります。) *お問い合わせ:大阪府ITステーション  (電話:06-6776-1241) ▼詳しくは下記をご覧ください。  http://www.itsapoot.jp/recruit/20090325_pcwork_basic.htm ◎NTTドコモ「らくらくホンベーシックII」を発売 NTTドコモは、音声読み上げ機能付き携帯電話の新機種「らくらくホン ベーシックII(F-07A)」を4月より発売します。 *主な機能:オートフォーカス対応の約200万画素カメラを搭載。拡大鏡と しても利用可能。従来よりも明るい画面に、40ドットの大きな文字で画面が 見やすい。ボタンの配色や大きさ、位置や押しやすさを追求し、使いやすく設計。 音声入力メール、相手の声がはっきり聞きやすい「スーパーはっきりボイス 」など、 使いやすい機能を搭載しています。 また、歩いた歩数や距離がわかる歩数計も搭載されています。 同機種はグラフィックデザイナーの原 研哉氏がデザインを手がけており、 操作性とともにデザインにもこだわって開発されています。 カラーはメタルシルバー、イブニングブルー、ロゼ、レッドの4色です。 *お問い合わせ:ドコモインフォメーションセンター(電話:0120-800-000) ▼詳しくは下記をご覧ください。  http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/090319_00.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 北国では桜が満開となり、また新緑がまぶしい地域、そして初夏を思わせる ようなところと、日本の春はさまざまな色を見せてくれます。 そんな国内全てに、視覚障害者へのパソコンサポートの輪がもっと広がれば と願っています。 今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は5月22日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。  office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 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