━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2010年9月号 No.47                       2010年9月24日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  Windows7の拡大鏡その6 ● プロフェッショナルコース  パソコンワンポイントの知恵(2) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  視覚障害者用ツール SPコード読み取り装置 [2] サポートお役立ちサイト  点訳PLAZA(プラザ)   LP・CDの解説書を点訳します! [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  NPOなどの経理処理を応援   〜NPO法人 ふれあいの輪の「経理サポートサービス」〜 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  視覚障害者の生活必需品!!、「らいふ」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  視覚障害者に対するパソコン指導者養成講座(盛岡)開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎Windows7の拡大鏡その6  Windows7の「拡大鏡」の説明に少し追加があります。 弱視者が拡大読書器で拡大して見ているとき、その拡大率が高ければ高いほど 狭い部分を見ていることになります。パソコンでもそうです。拡大した狭い 部分を少しずつ動かして見ているのです。部分を懸命に見ていると、一体全体 の中で、どのあたりを見ているのかわからなくなります。晴眼者がすごいと 思うのは、一目で全体が見渡せることです。この作業は、なかなか弱視者には できません。テレビで、何かのほんの一部分を映して、何なのかを当てる クイズがありますね。部分で見ていることが、どんなにか全体把握を妨げて いるかわかりますね。 Windows7の「拡大鏡」の全画面表示で見ているときに、見ている部分がどこ なのかわからなくなるときには[Ctrl] + [Alt] + [Space]で「全画面プレ ビュー」というのがあります。それをやると、カメラで望遠から普通にもどる ように、ズームインしていたものが元に戻り、2秒くらいしてまたズームイン します。 通常画面に一瞬戻った時に(戻りながらといった方が良いかもしれませんが) 拡大されていない部分が反転色になります。それで、位置がわかるわけです。 倍率を細大にしてみていると、この作業をしたときに、どんなに狭い部分を 見ていたかがわかります。 部分を、少しでも全体の中で把握するために役立つかもしれません。この機能 は、上記のショートカットキーで一瞬の切り替えで行ってください。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎パソコンワンポイントの知恵(2) 今回は音についてです。 視覚障害者の場合、パソコンから音がしないと使えません。何かの都合で音が しない時があります。そのようなときは、まずスクリーンリーダの音量調整を します。次に、音を一時停止するショートカットで音声の復活を試みます。 それでもダメなときは、パソコンを再起動します。 WindowsXPの場合に、音なしで再起動する手順は、 [Windows]キー→[上方向]キーを1回押します。 [Enter]キーを押します。 [R]で再起動します。 これでもスクリーンリーダの音声が出ない場合の処置について説明します。 外部スピーカーで聞いている場合、スピーカーの電源と音量を確認します。 外部マイクを付けている場合、誤って、スピーカーをつなぐところにジャック が刺さっている場合があります。 パソコンの音量調整をします。 方法(XPの場合) 「スタートメニュー」→「すべてのプログラム」→「アクセサリ」→ 「エンターテーメント」→「ボリュームコントロール」を実行します。 通常、「マスタ音量」のウィンドウが開きます。 左端には「マスタ音量」があり、「バランス」、「音量のスライダ」と 「全ミュート」のチェックがあります。「全ミュート」にチェックがあると スクリーンリーダの音声が出ないことがあります。 通常は、マスタ音量の「バランス」がフォーカスを持っています。 ここで、[Ctrl]+[M]を押すと、全ミュートのチェックが外れます。 [Alt]+[Space]でメニューを開きます。 [上方向]キーを押して「閉じる」に移動します。 ここで[Enter]キーを押して閉じます。 しかし、音がない状況でこの作業をすることは困難です。 スタートメニューに「ボリュームコントロール」のショートカットがあれば より簡単になります。 次回はその方法を紹介します。                          文責:村山慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎視覚障害者用ツール SPコード読み取り装置 今回はSPコード読み取り装置、スピーチオ・プラスについての紹介です。 視力障害によってできなくなる事の一つに、文字処理があります。 パソコンがあり、デジタルデータであれば、対応もできますし、印刷された 資料などでも、拡大読書機や、拡大鏡があれば可能な場合もあります。 しかし、会議で配られる資料や、大量に配布されるような市民新聞の場合など はどうでしょうか。 晴眼者、視覚障害者のどちらもが対象の場合、今までは同じ資料では困難 でした。 そこで開発されたのが、SPコードであり、SPコードを読み取るための装置です。 詳しくはつぎのURLをご覧ください。 http://www.sp-code.com/ SPコードとは切手大のサイズの3次元バーコードです。 よく似たものとして、携帯電話で電話番号やメールアドレス、またURLなどを 記録するために用いられているQRコードがあります。 SPコードは約800文字の文字データをコード化して、印刷することができます。 また、word文書をSPコード化するためのプラグインソフトも提供されている ので、会議資料を作成した時に、SPコード作成のボタンをクリックしておけば 印刷する時に、用紙の角近くに文書と共に印刷することができます。 「ねんきん定期便」にもSPコードが印刷されています。 これらのSPコードを読むための装置が、スピーチオ、およびスピーチオ/プラス です。 スピーチオはスタンドアロン(単独で使用)タイプと、パソコンに接続して、 SPコードのデータを取り込むことができる、スピーチオ・プラスがあります。 スピーチオは内蔵カメラで読み取った後、内蔵の合成音声で読み上げます。 スピーチオ・プラスはパソコンで取り込んだテキストデータを、スクリーン リーダなどで読み上げます。 日常生活用具給付制度で、視覚障害者用活字文書読上げ装置として認められて います。 詳しくは地元の福祉事務所などで確認してください。                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎点訳PLAZA(プラザ)  LP・CDの解説書を点訳します! 「音楽に国境はない」といわれ、言葉や国境の壁を超えて、音楽は私たちの 心に感動や、癒しや、励ましを届けてくれます。 一方で、音楽を生み出した作者は、その音楽に自身の思いやメッセージを 込めており、また、その時の時代背景、環境、境遇の影響を受けています。 そして演奏者は、楽器や声やタクトを通して、作者の思い、メッセージを自分 なりに表現しようとします。 それらを、解説書やライナーノーツで読み、その上で、聴くことで、その 音楽への理解、感動、共鳴が、より深まるのではないでしょうか。 そのような感動、共鳴を一層深めるお手伝いができないだろうかと、LPや CDの解説書を点訳して差し上げることを始めました。 視覚障害者も当然、音楽好きは晴眼者に負けないくらい沢山います。 しかし、好きなLPやCDの説明書は読むことができない。  でも、その説明書のコピーを郵送すればちゃんと点字データ(bes)に変換 してくれる。 そして、他の人が依頼したLPやCDの説明書も自由に見ることもできて、 ちょっとした音楽説明書の図書館、みたいな感じ、これがこのサイトの目指し ているものかもしれません。  とは言ってもまだその図書館の蔵書数は少なく、例えばベートーベンの 交響曲では、 ベートーヴェン : 交響曲No.5「運命」 / No.6「田園」 ギュンター・ヴァント 指揮 北ドイツ放送交響楽団 と、 ベートーヴェン : 交響曲No.9「合唱」 アンドレ・プレヴィン 指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 の2枚しかない状況です。 なお、説明書の点訳は、上のクラシック以外の全ての音楽ジャンルについても 受け付けてくれているようです。 皆さんがサポートしている視覚障害者が、音楽好きなら、このサイトを教えて あげて、LPやCDの説明書を点訳してもらってはいかがでしょうか。 その結果として、このサイトの蔵書数が増えるなら、それこそがこのサイトの 目指しているものかもしれません。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://tenyakuplaza.jimdo.com/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎NPOなどの経理処理を応援  〜NPO法人 ふれあいの輪の「経理サポートサービス」〜 団体運営の中で、日常の経理処理は大変重要ですが、経理の専門家がいない ところも多く、悩みを抱えている会も少なくないようです。 そうしたニーズにお応えするのがNPO法人 ふれあいの輪の「経理サポート サービス」です。 *対象事業所等:首都圏に所在し、経理担当者が実務に不慣れで日常の経理  処理にお困りの小規模事業所(小規模事業、NPO法人、ボランティア  団体、自治会など) *サポート体制:当会所属の経理実務経験者およびパソコンのエキスパートが  担当します *サポート内容:経理業務についての次のような事項のサポートを行います。  ・経理担当者を採用したが、なかなか経理業務が軌道にのらない。  ・経理業務のため会計ソフトを購入したが、うまくいかない。  ・会計ソフトによる経理業務を実施したい。  ・経理業務の改善、効率化を図りたい。 *サポート方法:訪問指導、メール、電話、スカイプなどにより実施します。 *サポート料金:メール・電話・スカイプでの指導・・・無料  訪問指導 訪問指導ご希望者には、内容により料金の見積りをします。  ※障害者を経理担当として雇用されている事業所、団体の指導料金は、  半額とします。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.fureainowa.jp/keiri.html ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎視覚障害者の生活必需品!!、「らいふ」 今回は、(株)日本テレソフトから発売された視覚障害者のためのポータブル 印刷物音声変換出力機「らいふ」をご紹介します。以前は「ボイスアイ・ らいふ」という名称でしたが、このたび「らいふ」とシンプルなネーミングに 変更されました。 「らいふ」はバーコード読み取り、紙幣の認識、デイジー機能など10の機能を 1つにしたオールインワンの携帯型マルチ音声プレイヤーです。軽くて長時間 使える内臓電池式なので、どこでも安心して利用できます。 まずはバーコードリーダー機能。バーコードアイテムを音声で提供します。 商品のバーコードを認識することができます。25cm程度離し、あらゆる角度から バーコードを読み取ることができます。自分だけの音声ラベルを作れます。 簡単にスキャンして録音し、バーコードのデータベースに情報が追加できます。 専用のバーコードシールがついてます。 続いて音声コードリーダー機能。これまでのSPコードを認識し音声で提供する ほか、より情報量が多く、印刷条件が緩和されたHi-SP(ハイスペックコード)を 読み取り、音声化することができます。 そのほか、千円、二千円、五千円、一万円を音声で案内してくれる紙幣の認識 機能、色を音声で案内してくれる色の認識機能、パソコンやWebサイトから お気に入りブックにダウンロードしていつでもどこでも聴くことができる テキストリーダー機能、音楽を楽しめるMp3プレーヤー機能、デイジー プレーヤー機能、ICレコーダー機能、時刻と日付を音声で案内してくれる トーキング時計機能など充実しています。 ●仕様 OS:WinCE 6.0 メインメモリー:256MB Mobile DDR フラッシュメモリー:4GB SDカードスロット:標準(最大32GBまで) サイズ:115(W)×63(D)×27(H)mm 重さ:170g ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.nippontelesoft.com/b/life.htm ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎視覚障害者に対するパソコン指導者養成講座(盛岡)開催 この講座は、視覚障害者のパソコン指導者を養成するために開催します。 *日時:2010年10月23日(土) 10:00〜17:00・24日(日) 10:00〜16:00 *会場:アイーナ(いわて県民情報交流センター) 研修室810 *内容:視覚障害者が使いやすいパソコンの設定やキーボードの指導法の学習     及びキーと音声によるWindows操作と文字入力など、音声による     パソコンの操作と指導法を習得。 *参加費:無料 *主催:財団法人 機械産業記念事業財団 TEPIA ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://span.jp/tepia/info_091128-29sendai.html ◎第5回 視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド2010」開催 世界でも例を見ない視覚障害者のための総合イベントが今年も開催されます。 *日時:2010年11月1日(月)〜11月3日(水) 10:00〜17:00(最終日16時まで) *会場:すみだ産業会館 サンライズホール *内容:最先端の技術・機器、及び日常用品等の展示会、体験会の他、  イベント会場では点字制定120周年記念企画として、身の回りのあらゆる  ものに表示されている点字の現状が紹介されます。また、活弁士の解説付き  ドキュメンタリー映画の上映会などが催されます。 *入場料:無料 *主催:社会福祉法人日本盲人福祉委員会(サイトワールド委員会) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.sight-world.com/ ◎Office2010のテキストをWebで公開 NPO法人 SPANは、マイクロソフト社のOffice2010のテキストを「視覚障害者の ためのOffice 2010キー操作マニュアル」としてWeb上で公開しました。 今回はWord、Excelの一部、そしてExcel VBAの基礎編ですが、来年春を目標に 順次内容を増やしていきます。 視覚障害者ユーザーのみなさん、そして指導者の方々に活用していただければ と思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://span.jp/office2010_manual/top.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Windows7が登場して約1年、そしてOffice2010が世に出て3カ月が経ちました。 Windows Vista、またOffice2007が出た頃のカルチャーショックは少しずつ 和らいできてはいますが、まだまだ情報が少ないのは確かです。 このあたりが私たちの課題だといえるでしょう。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は10月22日配信を予定しています。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━