━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2010年10月号 No.48                       2010年10月22日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  文字の編集 (1) ● プロフェッショナルコース   パソコンワンポイントの知恵(3) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  視覚障害者用ツール 拡大鏡(ルーペ) [2] サポートお役立ちサイト  財団法人日本障害者リハビリテーション協会 DAISYについてのページ [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  全国NPOバンク連絡会 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  ポケットサイズの音声電波クロック、「DA207S」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  アイダス協会研修会を開催 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎文字の編集 (1) 前回は文字の消し方と音声読み上げについて説明しました。 今回はいよいよ文字の編集の操作方法についてです。 パソコンで文字列の選択・コピー・貼り付け・削除が自由自在にできるように なると文章作成がスムーズに行えるようになります。 本格的に文章を入力する前に、キー操作での文字の編集方法を習得しておくと 便利です。 Windowsでは、作成中の文章の中で同じ単語や、短文、フレーズなどを繰り返し 入力する場合、その文字列をコピーして同じものを必要な入力箇所に貼り付ける ことができます。 まず初めに、コピー元の単語や短文を範囲選択します。以下、手順を箇条書き で記します。 1. [上下左右矢印]キーで選択したい文字列の先頭に移動します。 2. 選択したい文字列の先頭が確定したら[Shift]+[→]で選択したい文字列  の末尾まで移動します。 3. [→]、次に[Shift]の順に離して、選択範囲を確定します。  スクリーンリーダーの読み上げは、2.の操作で[Shift]を押しながら[→] で文字を1文字ずつ選択した時点でその文字を読み上げます。 なお、選択が確定するまでは、 [Shift]を押し続けます。途中で[Shift]を 離してしまうと選択が解除されてしまうので、注意しましょう。 文字列の範囲選択ができたら、次にコピーの操作を行います。手順は以下の 通りです。 1. 文字列を範囲選択した状態で、[Alt]を押してメニュー「ファイル(F)」  に移ります。 2. [→]を押して「編集(E)」に移動します。 3. [↓]を押して「コピー(C)」まで移動します。 4. [Enter]を押します。  上記で選択された文字列が「クリップボード」に取り込まれます。 次に、貼り付けの操作を行います。 5. 文字列をコピーしたい場所へ[上下左右矢印]キーで移動します。 6. [Alt]を押してメニュー「ファイル(F)」に移ります。 7. [→]を押して「編集(E)」に移動します。 8. [↓]を押して「貼り付け(P)」まで移動します。 9. [Enter]を押します。  クリップボードに取り込まれていた文字列が5.で指定した場所に挿入され  ます。 (注)コピーや移動したデータを一時的に保存しておく場所をクリップボード といいます。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎ パソコンワンポイントの知恵(3) 今回は「ボリュームコントロール」をスタートメニューに入れる方法です。 1. [Windows]キーで「スタートメニュー」を開きます。 2. [上方向]キーを押して「すべてのプログラム」を開きます。 3. そのあとは「アクセサリ」→「エンターテイメント」→  「ボリュームコントロール」の順に移動します。 4. 「ボリュームコントロール」を開かずに[アプリケーション]キーを押し  ます。 5. 開いたコンテキストメニューの中の「[スタート]メニューにアイコンを  追加」まで[下方向]キーで移動して[Enter]キーで実行します。 6. [Windows]キーを押してメニューを閉じます。 すると,スタートメニューに「ボリュームコントロール」のアイコンが追加されます。 それでは,確認してみましょう。 1. [Windows]キーを押して「スタートメニュー」を開きます。 2. [下方向]キーを何回か押すと、「ボリュームコントロール」と聞こえ  ます。 3. ここで[Enter]キーを押せば起動します。 しかし、音がしない時にこの「ボリュームコントロール」を起動できなければ 意味がありません。[Windows]+[数字]キーで起動するようにしましょう。 まず、[Windows]+[数字の0]を押して、何も起動しないことを確認して  ください。 もし何か起動する場合は、数字や英字で何も起動しないキーを探してみてください。 それでは、下記の手順で設定してみてください。 1. [Windows]キーを押して「スタートメニュー」を開きます。 2. [下矢印]キーで「ボリュームコントロール」まで移動します。 3. ここで[F2]キーを押します。[F2]キーは名前を変更する機能を持って  います。  「ボリュームコントロール」全体が選択され変更可能な状態になります。 4. [Home]キーを押して先頭に移動します。 5. 半角で「0と空白」を入力し[Enter]キーを押して確定します。 6. もう一度[Windows]キーを押してください。 これで設定が終了しました。試してみましょう 1. [Windows]+[数字の0]キーでボリュームコントロールが起動すます。 2.ここで[Tab]キーを押すとマスター音量のスライダに移動します。 3. [Home]キーを押せば、最大音量になります。 4. 更に[Tab]キーを押すと「全ミュート」のチェックに移動します。  全ミュートにチェックがあると、音が全くしません。 5. ここで[Space]キーを押すとチェックのON/OFFが切り替わります。   切り替えた後に音が出る操作をしてみてください。 この5つの手順を練習しておけば、よいのではないでしょうか? *備考 アイコンに登録されたプログラムを起動するには、アイコンの プロパティでショートカットを設定する方法があります。しかし、その方法は プロパティの画面を見ないとわかりません。サポートスタッフにはわかり にくい方法です。 スタートメニューを使用するこの方法は、サポートする晴眼者にやさしい 方法です。スタートメニューを見ればわかるからです。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎視覚障害者用ツール 拡大鏡(ルーペ) 今回は拡大鏡についての紹介です。 一般的には、よく虫眼鏡とも呼ばれているものです。 何を今更虫眼鏡の紹介など、と思われた方もいた事でしょう。 加齢により視力が落ちてきて、虫眼鏡で新聞や、細かな文字などを読まれて いる方もおられることでしょう。 通常これらの場合、倍率は2倍程度の物が多いことかと思います。 そして、文房具屋さんなどでも取り扱ったりもしていますね。 ところが、今回取り上げる拡大鏡は4〜20倍程度のものです。 多くのロービジョン者にとっては、2倍程度の倍率ではあまり役に立ちません。 焦点距離のことなど細かな説明は省略しますが、倍率が高くなるほど、対象物 との距離が短くなり、数cmまで近づける必要があります。 また、拡大鏡と眼の距離もかなり近づけて見る事になります。 中途で視覚障害となられた方の場合、今までの虫眼鏡と同様の使い方を去れ、 上手に見ることができない方もおられ、訓練が必要な場合もあります。 この様な事から、近づいて見た時に、対象物が拡大鏡で陰になって暗くなる ので、ライト付きのものや、焦点距離を合せるのが難しいので、枠付きなどで 焦点距離を固定できるものなどもあります。 最近のライト付きはLEDライトのものが多く、電池のもちもよいですね。 実際には自ら触れて、見てみないと実感できないかと思います。 いままで、もう新聞は拡大読書機でないと読めないと思っていた方も、試して みられることをお勧めします。 本屋さんでの立ち読みができるかも分かりませんよ。 ※ 参考 日本ロービジョン学会・ロービジョン関連用語ガイドラインより [拡大鏡《かくだいきょう》(縮小鏡《しゅくしょうきょう》を含む)] 視対象の拡大または縮小された虚像を見るための焦点結像系を有するレンズ。 <補足>拡大鏡(縮小鏡を含む)について、保持・装用の形式や照明光源の 有無等により分類を加える場合があるが、分類法や呼称はいまだ確立しておらず、 今後の検討課題である。 <参考>「ルーペ」の呼称 「ルーペ」は、一般用語として、また、特定の商標として用いられているが、 単に「ルーペ」と表記した場合に何をさすものか曖昧であるので、学術用語 としては「拡大鏡」を用いるべきである。                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎財団法人日本障害者リハビリテーション協会 DAISYについてのページ エンジョイ・デイジー 私らしい方法で読む、わかる! DAISYとは、視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のために カセットに代わるディジタル録音図書の国際標準規格として、約40ヵ国の会員 団体で構成するデイジーコンソーシアムにより開発と維持が行なわれている アクセシブルな情報システムです。 以上は、このページにあるDAISY図書についての説明です。 サポータの方々のような、晴眼の人達は、紙でできた本を手に取り、ページを めくり、シオリをいれ、章を読み飛ばして先を読む、なんてことは常識です。 しかし、視覚障害者が録音の図書を聴くとき、普通ではとてもそんな風に自由 に図書の中を移動することはできません。 晴眼者に負けないほど、録音図書の中を自由に操作できるようにしたのが、 このDAISY図書なのです。  日本障害者リハビリテーション協会は、このページのDAISY図書の普及以外 の活動も多数行っています。 しかし、このページでは、DAISY図書を読むための無料ソフトのLPプレイヤ とか、AMISとか、あるいはWord文書からDAISY図書を作成するための無料ソフト のDAISY Translator日本語版とかをダウンロードすることができます。 サポートしている視覚障害者が、録音図書に興味をもたれた場合や、サポータ ご自身が、DAISY図書を作成して見ようと思われた場合には、是非一度訪問 して見られることをお薦めいたします。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎全国NPOバンク連絡会 「NPOバンク」とは、趣旨に賛同する個人やNPOなどの団体が、組合員となって 1口数万円単位の出資を行い、それを原資に福祉や環境、また地域活動などを 含むさまざまな社会的な活動を行うNPOや個人などに対して、低利(1〜5%程度) で融資する仕組みです。 融資審査は、税理士などの専門家が、財務面や活動の社会性などを検討して 行われるほか、融資申込者とのコミュニケーションを密にしたり、融資先を 公開するなど「顔の見える」関係づくりを心がけているのが特徴です。 全国NPOバンク連絡会は、2005年から活動を開始したNPOバンクの連絡組織で、 全国のNPOバンクのほか、各種市民金融関係者、NPOサポート団体、弁護士や 公認会計士といった専門家などのネットワークを有しています。 活動資金の確保は、助成金や寄付金というのが知られていますが、こうした NPOバンクを活用するのも一つの方法ではないでしょうか。 また、NPOバンクが対象をNPOに限っていないというのもうれしいことです。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://npobank.net/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎ポケットサイズの音声電波クロック、「DA207S」  今回は、今月末にセイコークロック株式会社から発売される音声電波時計 「DA207S(愛称:セイコー・ポケットトーク)」をご紹介します。  本製品は、音声で時刻をお知らせする携帯タイプの電波目覚まし時計です。 厚さ10mmと持ちやすく、ポケットに収まるサイズなので、旅行やお出かけの 際に便利。 前面の音声ボタンを押すと現在時刻、日付、曜日を音声でお知らせします。 スヌーズ(止めてもまた鳴る寝過ごし防止機能)つき。 アラーム設定時刻なども音声でお知らせ。アラームは停止ボタンを押さなくても 約5分後に自動で止まります(アラームオートストップ機能)。 また、時報設定により、毎正時に時刻を音声でお知らせします。 音声は日本語と英語の2ヶ国語から選択できます(バイリンガル機能)。 時計前面のオートスピーキングボタンを押すと、1分ごとに15分間現在時刻を 音声でお知らせします。お出かけ前や調理中など分刻みでの時間管理に役立ち ます(防水機能はなし)。  使用頻度の高い音声・スヌーズボタンなどは前面に大きく配置し、 アラームセットなどのあまり使用しないボタンは側面と背面に配置して、 すっきりとしたデザインになっています。 携帯時に使用できる専用ソフトケースつき。 ●製品仕様 サイズ:高さ108×幅67×奥行き10mm 重量:約70g 材質:プラスチック枠(銀色パール塗装) 時間精度:午前2時以後3時間ごとに標準電波を受信し、時刻を修正。 使用電池:リチウムボタン電池CR2450×1個 電池寿命:約1年間 希望小売価格:5250円(税込) ▼詳しくは下記のURLを1行につなげてご覧ください。 http://www.seiko-clock.co.jp/search/product/clock_search/select_detail.php? skey=c2VhcmNoX3dvcmRzPURBMjA3Uw==&model_no1=DA&model_no2=207&frame_color_code=S ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎アイダス協会研修会を開催 アイダス協会(視覚障害情報機器アクセスサポート協会)は、以下の通り今年度 の研修会を開催します。 テーマは、本年が「国民読書年」にあたることから「視覚障害者を取り巻く 読書事情」としました。 *日時:2010年10月31日(日) 10:00〜16:00 *会場:幼きイエス会(ニコラ・バレ)修道院9F(四谷雙葉学園内) *参加費:3,000円(予稿集代と昼食代含む) *テーマ 国民”ひとしく”読書年 〜 視覚障害者を取り巻く読書事情 〜 *内容:  本音で生討論   「本のアクセシビリティはどこまで実現しているか」    〜何度目かの電子出版元年を迎えて〜   「サピエ」でどう変わるか? 視覚障害者の読書環境  話題提供   アーカイブ「日本の拡大読書器」   iPadで、どこまで本を読めるか   読書は、紙切れの束から0と1の世界へ    〜視覚障がい者が情報の洪水に流されないための準備を〜 *申し込み(問い合せ)先:    アイダス協会事務局(北林裕)   (社福)日本盲人職能開発センター内   E-mail hiroshi.k@mx3.ttcn.ne.jp *申込み締切り日:10月27日(水) ◎「第3回視覚障害者雇用継続支援セミナー」を開催 NPO法人タートルでは、視覚障害者の就労拡大を目的に、以下の通りセミナー を開催します。 *開催日時:2010年11月17日(水) 13:00〜16:45 *会場:中野サンプラザ *定員:100名 *参加費:無料 *内容:  産業医の役割と視覚障害者への対応  展示会・体験会・ビデオ上映  優秀な人材を見落としていませんか?    〜実際に企業で働く視覚障害当事者と人事担当からの発表〜 *主催:特定非営利活動法人タートル(中途視覚障害者の復職を考える会) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.turtle.gr.jp/ ◎視覚障害者に対するパソコン指導者養成講座(東京)開催 この講座は、視覚障害者のパソコン指導者を養成するために開催します。 *開催日:2010年12月11日(土)・12日(日) (2日間コース) *会場:TEPIA ITセミナリオ(東京都港区北青山) *内容:視覚障害者が使いやすいパソコンの設定やキーボードの指導法の学習     及びキーと音声によるWindows操作と文字入力など、音声による     パソコンの操作と指導法を習得。 *参加費:無料 *主催:財団法人 機械産業記念事業財団 TEPIA ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.span.jp/tepia/info_101211-12tokyo.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 11月1日から3日まで「サイトワールド」が開催され、また新しい技術が紹介 されると思います。これらが、視覚障害者の生活や仕事に生かされてくるのは とても楽しみであると同時に、こうした情報を伝えていくのも私たちの大切な 使命だと感じています。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は11月26日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━