━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2010年12月号 No.50                       2010年12月24日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  ファイル保存 ● プロフェッショナルコース   パソコンワンポイントの知恵(5) ● 【コラム】 パソコンよもやま話  視覚障害者用ツール 単眼鏡 [2] サポートお役立ちサイト  弱視者問題研究会(弱問研) [3] ここが知りたい!団体運営のヒント   ◎社会福祉振興助成事業   〜福祉医療機構が団体へ助成金を交付〜 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  今のところ最新の点字ディスプレイ、「ブレイルメモ BM32」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎ファイル保存 今月は作成した文章をファイルとしてパソコンに保存する操作を説明します。 パソコンで作成した文書を保存する場合、その保存するデータのことを ファイルといいます。 通常ファイルというと書類を整理するためのバインダー的なイメージがあり ますが、パソコンで使われるファイルは、作成した文書を管理しておくための 単位と考えられます。 作成した文章をファイルとして保存する場合、後から他のファイルと区別する ためにファイルに名前をつけておきます。 以下、名前を付けて保存の操作手順を記します。 1. [Alt]を押して、メニュー「ファイル(F)」に移ります。 2. [↓]を押して「名前を付けて保存(A)」まで移動します。 3. [Enter]を押します。 4. ファイルを保存するためのダイアログボックスが開きます。  このダイアログボックスは、ファイルに名前を付けたり、ファイルの種類の  選択、ファイルを保存する場所を決定するなどファイル関連の様々な項目を  選ぶことができます。 ダイアログボックス内の各項目を移動するには以下の操作を行います。 ・順方向に進むには[Tab]を押します。 ・逆方向に進む場合は、[Shift] + [Tab]を押します。 5. ダイアログボックスを開いた直後はファイル名を入力する項目が選択  されています。  そこで[BackSpace]を押して、文字を入力できる状態にします。 6. ファイル名を入力します。 7. [Tab]を押して、「保存(S)」まで移動します。 8. [Enter]を押すと、パソコンに文章が保存されます。 受講者がファイルに名前をつけるときには、保存するファイルの内容に近い ものを選んでつけるようにしましょう。なぜなら、保存したファイルを再び 読み込むことを考慮し、後でファイルを見つけやすくするためです。 また、先の操作で保存したファイルを再び読み込んで、そのファイルに何らか の変更を加えてから、ファイルを再び保存しなおします。 この操作を「上書き保存」といいます。 1. [Alt]を押して、メニュー「ファイル(F)」に移ります。 2. [↓]を押して「上書き保存(S)」まで移動します。 3. [Enter]を押します。  文書が変更された状態でファイルが上書きされて保存されます。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎ パソコンワンポイントの知恵(5) 前回セーフモードについて説明しましたが、数日前、実際にセーフモードを 利用してパソコンを復旧する事件が発生しました。今回は、その実例について 報告します。 半年ほど使用していなかったパソコンを起動したところ、WindowsUpDateを 実行したところ、数十個のプログラムをダウンロードしました。 スタートメニューから終了オプションを選び、「コンピュータの電源を切る」 の画面からショートカットUで「電源を切る」を実行すると、インストールが 始まりました。画面には、「電源を切らないでください」と表示されているの ですが、誤ってパソコンの電源プラグを抜いてしまいました。 パソコンを起動して、ユーザー名に対応するパスワードを入れましたが、以後 画面は背景の色だけで、タスクバーが表示されず、Windowsキーも無効でした。 [Windowsロゴ]+[E]でエクスプローラの起動を試しましたが起動しません でした。 ハードディスクも動作していない状態で10分以上経ったので、あきらめて、 パソコンの電源ボタンを押して強制終了しました。 そこで、パソコンを[F8]を押してセーフモードで起動し、終了して再起動 しましたが改善されませんでした。 「前回正常起動時の構成(正しく動作した最新の設定)」でも効果がありません でした。 もう一度セーフモードで起動しました。 そこで、スタートメニューを開き「アクセサリ」→「システムツール」→ 「システムの復元」を実行しました。 ラジオボタン「コンピュータを以前の状態に復元する」を選び、トラブルが 発生する以前の日付を選び再起動すると、タスクトレイが表示され、復旧しま した。 気の利いたソフトウエアでは、インストール時に復元ポイントが自動的にでき ます。しかし、復元ポイントができるとは限りません。自分では、フリーソフト などうまく動作するとは限らないソフトウエアをインストールする時には、 できるだけ復元ポイントを作成しています。 次回は、このシステムの復元について説明します。             文責 村山慎二郎 WindowsXPで記載しました。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎視覚障害者用ツール 単眼鏡 今回は単眼鏡について紹介します。 手元の物を拡大して見るためには拡大鏡があります。 ところが、駅の時刻表など近寄ることが困難な場合には単眼鏡が必要になって きます。 単眼鏡と聞いて、どのような物かすぐに分かりましたか? 私は普通に見えていた頃は「単眼鏡」という名前を聞いたことがありません でした。 「双眼鏡」、「望遠鏡」はよく聞いていました。 「双」が二つで一組になる物くらいは分かっていましたので、「単」である から、一つだな、だから双眼鏡の一方だけの物だろうとの想像はできました。 実際に使うようになって、意外に使いづらいことに気がつきました。 これは、私の「視野が狭い」が為に、目的の対象物を見つけ出すことが難しい のです。 視野の狭いことが、単眼鏡を使用することにより更に増幅されるためでしょう。 このことの解決方法については次回にお伝えいたします。 ■日本ロービジョン学会用語委員会より引用 http://jslrr.org/ [単眼鏡《たんがんきょう》および双眼鏡《そうがんきょう》] 対象物の眼への入射角を拡大(または縮小)して見る器械で、通常、焦点 非結像系の光学系を持つもの。ケプラー式とガリレイ式がある。 ■カールツァイス ジャパンより引用 http://www.zeiss.com/c125694a004bde67/Contents-Frame/993e7ec39265992e c12573cd00239544 (URLを途中で改行しています。) ガリレアン式とケプラー式の違い ●ガリレアン式 一般的に2枚のレンズで構成されており、対物レンズに凸レンズ、接眼レンズ に凹レンズが採用されています。 特長は、 ・軽量、コンパクトなボディ ・シンプルな構造 ・ただし、倍率を上げようとすると、対物レンズと接眼レンズの距離を 広げるか、対物レンズをより度の強いものにしなくてはいけません。それに 伴い、像質が悪くなり、視野の辺縁部がゆがんでしまい、実用的ではありま せん。 ●ケプラー式 対物レンズ1枚、接眼レンズ2枚で構成されており、すべてに凸レンズが採用 されています。光路内にプリズムを入れ、光を屈折させることにより、像質を 低下させることなく、倍率を上げることが可能です。 特長は、 ・明るく鮮明な像質 ・広い視野径 ・高倍率                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎弱視者問題研究会(弱問研) 多くの方が、弱視の方のパソコンサポートをされたことがあると思います。 きっと、見え方がみんな違い、サポートも多様であり、なかなか理解しヅらい と感じた方も多いかと思います。 このホームページをのぞくと、弱視者自身が、自らの見えづらさを素直に表現 して、困っている問題や、解決したい問題について、地道に取り組んでいる ことがわかります。 また、弱視の理解を広げるために、「カルタ」を作ってみたり、各地で集まり 交流することを大切にしながら、弱視ならではの「声なき声」を社会にアピール しています。 「虫めがね」のシンボルマークが印象的です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://jakumonken.com ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎社会福祉振興助成事業  〜福祉医療機構が団体へ助成金を交付〜 ●事業の概要 社会福祉振興助成事業では、政策動向や国民ニーズを踏まえ、NPOや非営利 任意団体等、民間の創意工夫ある活動や地域に密着したきめ細かな活動等に 対して助成を行い、高齢者・障害者が自立した生活を送れるよう、また、 子どもたちが健やかに安心して成長できるよう必要な支援等を行います。 国や地方公共団体などが行う公的な福祉サービスでは十分カバーすることが できないニーズに対応するNPO、非営利任意団体等が行う草の根的な活動に 助成し、団体とその活動を育成・支援していきます。 また、福祉医療機構が適切な情報提供、助言等の働きかけを行うことによって NPO、非営利任意団体等が地域の福祉医療等の機関・団体等も含めて連携を 深め、団体間の繋がりが醸成され、事業そのものの広がりが得られるよう支援 していきます。 ●助成事業の種類 *先進的・独創的活動支援事業 社会福祉の振興に資する創意工夫ある事業又は全国若しくは広域的な普及等を 念頭に施策等を補完若しくは充実させる事業 *地域活動支援事業 社会福祉諸制度の谷間や制度外のニーズ、地域の様々な福祉ニーズに対応した 地域に密着した事業 ●助成対象事業者 特定非営利活動法人、非営利任意団体、社会福祉法人、一般社団・ 一般財団法人、公益社団又は公益財団法人 等 ●助成額 地域活動支援事業は、助成額上限300万円、 先進的・独創的活動支援事業及び障害者スポーツ支援事業は上限なし。 ただし、50万円に満たない場合は助成の対象としません。 NPO団体の資金繰りや、これからNPOを立ち上げようとしている皆様には、 助成金や融資情報など迅速に見つけ出せるのでは? ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://hp.wam.go.jp/guide/jyosei/tabid/176/Default.aspx ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎今のところ最新の点字ディスプレイ、「ブレイルメモ BM32」  今回は、2009年にケージーエス株式会社より発売された小型点字 ディスプレイ「ブレイルメモ BM32」をご紹介します。  ブレイルメモは、複数マスのタッチカーソル付き点字表示部と各種入力キーを 持ち、点字編集機能が充実した小型軽量の点字電子手帳です。バッテリー内蔵の 携帯仕様なので、職場や学校、外出先で手軽にメモを取ったり、入力した資料を 検索することができます。  ブレイルメモBM32は、長時間操作しても疲れない静かでソフトなタッチの キーボードを採用しました。また、本体にUSBメモリを挿して直接データの 読み書きができるようになりました。これにより大量の点字データを本体と 別に管理したり、バックアップ用としての利用、他の人の点字データをUSB メモリ経由で共有できます。USBメモリのサイズは4GB以下をお勧めします。  製品名の通り、点字表示部は32マスです。点字文書の1行をそのまま表示 できるので、レイアウトを確認しながら編集できて効率的です。 点字の両手読み、片手読みの切替がワンタッチになったり、点字表示の送り/ 戻しキーが手前に配置されるなど読みやすいキーレイアウトになっています。  着脱可能なリチウムイオンバッテリー使用。約12〜17時間連続使用が 可能です。USB使用時は、パソコンから電源供給されます。 点字での読み書き、保存などの編集機能に加え電卓、時計、スケジュール帳 などのアクセサリー機能も充実しています。 バッテリー、点字ピン等の消耗品を除いて業界初の5年保証なので安心です。 この商品は、日常生活用具給付対象商品です。 ●製品仕様 内蔵メモリ:8MB(ユーザーエリア6.5MB) 外形寸法:横266×縦129×高さ40mm  重量:約1.0Kg インターフェース:シリアル×1、USB×1、ブルートゥース 付属品:ACアダプター、USBケーブル、シリアルケーブル、専用ケース、 添付ソフトウェアCD、墨字版取扱説明書(入門編のみ)、 点字版取扱説明書(入門編のみ) 価格:357000円(非課税) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.kgs-jpn.co.jp/b_bm32.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎ラビットスクェア2011「拡大読書器大集合!」開催 株式会社ラビットは、携帯型の拡大読書器に焦点をあてたイベントを開催し ます。これは事前予約制で、当日は日本で販売されている機種をなるべく多く 展示し、それらに直接触れることができます。 *日時:2011年1月22日(土)  Aグループ 10:00〜11:30、Bグループ 12:30〜14:00  Cグループ 14:30〜16:00 *会場:株式会社ラビット402号室 *会費:無料 *定員:各グループ4名(先着順、必ずご予約願います) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.rabbit-tokyo.co.jp/news.html#10 ◎視覚障害者のためのパソコンサポートボランティア養成講座を開催 神戸市社会福祉協議会、市民福祉大学と神戸アイライト協会の共催で、 「やってみよう!視覚障がい者のためのパソコンサポート ボランティア講座」 が開催されます。 *開催日:2011年2月2日(水)・9日(水)・16日(水)(全3回) *時間:12:30〜16:00 *会場:こうべ市民福祉交流センター 303教室 *定員:10名 *受講料:1,500円(全3回、テキスト代含む) *締め切り:1月14日 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.with-kobe.or.jp/cgi-bin/news/index.cgi?file=news&mode=detail&select=1291355241 ◎視覚障害者に対するパソコン指導者養成講座(相模原)開催 視覚障害者のパソコン指導者を養成するための講座を相模原市で開催します。 *開催日:2011年2月26日(土)・27日(日)(2日間コース) *会場:けやき会館 第3中会議室(相模原市) *内容:視覚障害者が使いやすいパソコンの設定やキーボードの指導法の学習     及びキーと音声によるWindows操作と文字入力など、音声による     パソコンの操作と指導法を学習します。 *参加費:無料 *主催:財団法人 機械産業記念事業財団 TEPIA ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.span.jp/tepia/info_101211-12tokyo.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見  など何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 2010年も間もなく終わります。視覚障害者のパソコンやICTに関してもいろん なことがありましたが、環境は確実によくなっているように感じます。 ただ、まだ多くの視覚障害者がこの恩恵に浴していないのも事実で、私たちの 課題は新しい年に引き継がれることになります。 今年1年お読みいただきありがとうございました。 新しい年が皆様にとってすばらしいものでありますように。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は1月28日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━