━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2012年1月号 No.63                       2012年1月27日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  文字の大きさ ● プロフェッショナルコース  バッチコマンドの使い方(3)   FCコマンド ● 【コラム】 パソコンよもやま話  プレクストークリンクポケット [2] サポートお役立ちサイト  国立国会図書館の障害者サービス [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  社会福祉法人岐阜アソシア   〜視覚障害者とともに生きる社会〜 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  ♪色を音声と楽器音で伝える♪「カラートークプラス」♪ [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  見えない見えにくい方のための音声パソコン体験講習会開催のご案内 ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎文字の大きさ 前回「あくまでも、基本は大きすぎないことがお勧めです」と書きました。 私の場合ですが、どんな大きな文字で表示できる場合でも、画面から眼を 7センチの距離で、36ポイントの画面の文字を見ているのが何となくしっくり くるのです。 もっとポイントの大きな文字を表示させれば姿勢よくできるわけです。 でも、なぜか「近づく」ことに慣れているわけです。そんな風な姿勢に慣れて いるのです。  ですから、晴眼者が40センチのところで見ているのに比べると、随分と 大変そうに見えます。 「もっと倍率をあげて大きくして見れば姿勢が楽なのでは」と言われますが、 この見る物との距離と、文字の大きさ、視野に入る文字の数、これらの 組み合わせが大切になるわけです。  今回は、文字の大きさについて述べました。もちろん、文字と画面との コントラストなども大きな要素になることは当然ですが、とにかく、画面に 近づいてみることに対しては、当たり前のものとして受け止めてください。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎バッチコマンドの使い方(3)  FCコマンド 今回は、ファイルの内容を比較するFCコマンドです。 このコマンドは、ファイルの内容を比較した結果を知ることができます。 FCの後に半角の空白を空けてファイル名1を書きます。 さらに、半角の空白を空けてファイル名2を書きます。 比較結果は画面に表示されます。 画面に表示される内容をANS.TXTに入れて、後から見てみましょう。 FC WK1.TXT WK2.TXT >ANS.TXT を実行すると、比較結果がANS.TXTに記録されます。 東京から新宿までの駅名ファイル3個で試してみます。 WK1.TXT 東京 神田 御茶ノ水 水道橋 飯田橋 市ヶ谷 四谷 信濃町 千駄ヶ谷 代々木 新宿 WK2.TXTは市ヶ谷が抜けているファイルです。 WK3.TXTは御茶ノ水の「の」がひらがなになっているファイルです。 下記2行の内容のバッチファイル、TEST.BATを作成します。 FC /N WK1.TXT WK2.TXT > ANS.TXT FC /N WK1.TXT WK3.TXT >> ANS.TXT ちなみに/N は行番号を付けるオプションです。 「>ANS.TXT」は、画面に表示される内容を記録するファイルです。 すでにANS.TXTがある場合は、削除されてしまうので注意が必要です。 「>>ANS.TXT」は画面に表示される内容をANS.TXTに追加します。 実行後、ANS.TXTの内容は以下のとおりです。 ファイル WK1.txt と WK2.TXT を比較しています ***** WK1.txt 5: 飯田橋 6: 市ヶ谷 7: 四谷 ***** WK2.TXT 5: 飯田橋 6: 四谷 ***** ファイル WK1.txt と WK3.TXT を比較しています ***** WK1.txt 2: 神田 3: 御茶ノ水 4: 水道橋 ***** WK3.TXT 2: 神田 3: 御茶の水 4: 水道橋 ***** 【ワンポイント1】 比較したファイルが同じ場合は下記のメッセージになります。 FC: 相違点は検出されませんでした 【ワンポイント2】 FCコマンドの詳細な機能を知りたい場合は テキストファイルに HELP FC > FC.TXT と入力して拡張子をBATにします。 たとえば、ファイル名をH_FC.BATにしてこれを選んで[Enter]キーを押すと 実行結果がFC.TXTに記録されます。 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎プレクストークリンクポケット 今回は昨年後半から発売の始まった「プレクストークリンクポケット(PTP1)」 について紹介します。 これは、2010年3月、4月号で紹介したdaisyのプレイヤーであり、更に高機能 になっています。 何ができるのか。(PTP1取扱説明書 テキスト版より一部引用) 1) DAISY図書を聴く DAISY形式の録音図書を再生することができます。長時間再生が可能で、 読みたい場所がすぐに探せる優れた検索機能があります。 2) 音楽やオーディオブックを聴く 音楽やオーディオブックを内蔵メモリやSDカードに取り込んで聴くことが できます。 3) テキストファイルを聞く テキストファイルを、合成音声で読み上げます。 4) インターネット経由で図書などを聴く オンラインサービスを利用して図書などを聴くことができます。 5) ポッドキャストやウェブラジオを聴く インターネット上のポッドキャストやウェブラジオを聴くことができます。 6) 録音する 授業や会議などを録音できます。フレーズが自動的に切れるので、録音した 内容の重要な部分を繰り返し聞くことができます。 *引用ここまで 特に、今回特徴的なところは、PTP1がパソコン無しで、無線LAN経由でインター ネットに接続できるようになったことです。 4)、5)でも書かれているように、サピエの会員であれば、PTP1から直接 サピエにログインして、図書の検索・ダウンロードして聞くことができます。 また、インターネットラジオを聞くことができます。 そして、PTP1をインターネットに接続する方法です。 自宅などにインターネット回線がきていれば、PTP1を購入すれば無線LAN ルーターがついてくるのでそのルーターをインターネット回線に接続する だけです。 また、最近はモバイル・ルーター(Pocket WiFiやWiMAXなど)のサービスも あり、これらを利用すれば外出先でもサピエに接続したり、インターネット ラジオを聞くこともできます。                           文責 園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎国立国会図書館の障害者サービス 国立国会図書館の、視覚障害などで資料や情報の利用に支障をきたす方々の ための様々なサービスや支援についての情報提供です。 国立国会図書館というと、なんとなく縁遠い感じですが、利用のしかたに よってはかなり使えそうです。  情報の宝庫をぜひ私たち視覚障害者が使えるものとしていきたいものです。 インターネットでのサービスをピックアップしてみます。 *一般資料の検索(蔵書検索 NDL-OPAC) *障害者向け資料・データの検索(国立国会図書館サーチ) *学術文献録音図書のDAISYデータ配信(サピエ図書館) *その他のオンラインサービス(オンラインサービス一覧) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.ndl.go.jp/jp/service/support.html ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎社会福祉法人岐阜アソシア  〜視覚障害者とともに生きる社会〜 社会福祉法人岐阜アソシアが経営する民間の福祉施設で、 「視覚障害者生活情報センターぎふ」は 主に在宅の視覚障害者・児の方々を対象とした幅広い事業を展開しています。 ニーズに応じて各種相談やリハビリテーションを行い、さらに、一般市民への 啓発などにより、「視覚障害者とともに生きる社会」を目指して事業を進め、 視覚障害者福祉の拠点としての役割を果たしています。 *主な事業 ・情報提供部門 1、点字図書の製作と貸し出し 2、録音図書の製作と貸し出し 3、拡大写本サービス 4、触図の製作 5、ボランティアの養成 6、全国視覚障害者情報提供施設ネットワークへの参加 7、点字印刷・出版 8、関係機関・団体との連携 ・生活相談部門 1、生活相談 2、視覚障害者の結婚に関する意識調査の報告 3、「視覚障害者外出サポート事業」の充実 4、移動支援サービス 5、移動支援従業者移動支援 6、日常生活用具の収集・展示・斡旋 7、施設機能強化事業(体験ツアー)の実施 8、各種クラブ活動の推進 9、交流会の開催 10、視覚障害者福祉協会等の行事や活動への協力 11、視覚障害者福祉の啓発活動 12、施設案内ボランティアの養成 ・技術指導部門  1.生活訓練(歩行・日常生活動作等) 2.パソコン指導 3.中途視覚障害者点字学習指導 総合的な視覚障害者への支援を行っている団体として、ぜひ知っておいて いただきたいところです。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.gifu-associa.com/jigyou1.htm ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎♪色を音声と楽器音で伝える♪「カラートークプラス」♪  今回は、レハ・ヴィジョン株式会社から発売された携帯型色認識装置 「カラートークプラス」をご紹介します。  カラートークプラスは、色彩をセンサーで識別して、音声で色を読み上げる 装置です。以前販売していたカラートークを大幅にグレードアップしました。  物体の平らな部分にカラートークプラスのセンサー部分を当て、スイッチを 押すと、その色を解析して音声で読み上げます。 お出かけ前に着ていく洋服の色合いを調べるとき、表紙の色で雑誌や本の区別が できるとき、コーヒーやジュースをこぼして汚れたかなと思ったときなど、 普段は色で判別することのできない視覚障害者でも、色を手がかりにいろいろな ことが判断できるようになります。  スイッチをしばらく押しっぱなしにしておくと、楽器音が聞こえてきます。 これは、色の色彩を音で表現したものです。 色相を5つの楽器音で表現する「色相楽器音方式」を採用し、これまで以上に 細かな色の変化を楽器音により聞き分けることができます。  スイッチを押しっぱなしにしてカラートークプラスをスライドさせると、 色の変化に連動して、楽器音も変化していきます。  色と楽器音は、「赤=ピアノ」「黄=トランペット」「緑=バイオリン」 「青=ビブラホン(鉄琴)」「紫=フルート」「灰色=ノイズ」に対応して います。 この仕組みにより、1点ごとに色を見るのではなく、面の色をシームレスに 見ていくこともできます。もちろん、いったんスイッチを離してからもう一度 スイッチを押せば音声で色名を発声しますから、「この楽器音は何色を表して いるのだろう?」と思ったときは、カラートークプラスの動きを停め、いったん スイッチを離してからもう一度スイッチを押すだけでOKです。 こんな風にして、視覚障害の方にも色の世界が広がります。 本製品は、一部の自治体では日常生活用具として給付されます。 ●サイズ・重量:幅58mm×高さ150mm×厚さ30mm  175g(バッテリー込) ●電源:単三電池2本使用、バッテリー仕様 価格:126,000円(税込) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://yougu.nittento.or.jp/product261_130.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎見えない見えにくい方のための音声パソコン体験講習会開催のご案内 神戸アイライト協会では「見えない見えにくい方のための音声パソコン体験 講習会」を開催します。 *日時:2012年3月10日(日)・3月17日(日) 13:30〜16:00(全2回) *会場:神戸ライトセンター 中山記念会館内 *内容:音声パソコンの体験講習 画面を読み上げる音声ソフトを使って  パソコンを操作します *参加費:無料  *お問合わせ・予約申込み:神戸アイライト協会 TEL:078-221-6019 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://eyelight.eek.jp/pctk1.html#main ◎マイクロソフトOffice製品に対応した「AOK Office」のご紹介 高知システム開発は昨年、「AOK Office」を発売しました。 「AOK Office」は、Microsoft Officeを業務レベルで利用できるビジネス向け 上級モデルです。 (以下は、高知システム開発のWebサイトから引用しています) *特徴:複雑化するビジネス文書をスムーズに操作・編集できるAOKインター フェースを装備しました。 Microsoft Officeは、晴眼者向けのマウス操作をメインとしているため、 キーボート操作と音声利用には限界がありました。 AOKインターフェースは、従来のスクリーンリーダーでは対応できなかった 機能に簡単にアクセスすることができる画期的なシステムです。 たとえば、Excelのシートで、AOKインターフェースのクイックビュー機能を 使用すると、シート内のテキストボックスを瞬時に見つけ出して編集すること が可能になります。 ※AOKインターフェースは、AOK Office独自の機能です。 PC-Talkerと同じ操作で安心・簡単 Microsoft Officeの読み上げ機能のベースとなる部分を、基本から見直し大幅 に強化しました。 基本操作からマクロ編集(VBA)まで、スキルに応じた高度な利用が可能です。 ※この読み上げ機能はPC-Talkerでもご利用いただける予定です。 *製品価格:AOK Office ... 128,000円(税込み134,400円) (引用ここまで) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.aok-net.com/products/aokoffice.html ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽にお寄せ  ください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 新しい年、2012年をどのように迎えられましたでしょうか。 今年もまた大きな変化が予想されますが、視覚障害者がより便利に、そして 手軽にICTを利用していくための情報をお届けするよう努めていきます。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は2月24日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━