━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCの恵みを伝えるために 〜           2013年9月号 No.83                       2013年9月27日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  視覚障害者は支援機器を活用しているか? ● プロフェッショナルコース  NVDAについて その3 ● 【コラム】 パソコンよもやま話  iPad 触れてみましたか?その9 [2] サポートお役立ちサイト  国際視覚障害者援護協会 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  認定NPO法人イーパーツ [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  ワンセグTV(音声)に対応したラジオサーバー新登場、「PJ-35」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  土曜講座「視覚障害者のためのPowerPoint 2010」開講のお知らせ ほか [6] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎視覚障害者は支援機器を活用しているか? 2008年にある県で支援機器の使用状況を把握するために アンケート調査したところ、以下の実態が明らかになりました。 視覚障害者の自立支援および就労・就業支援に必要な拡大読書器、 Windows拡大鏡、ピンディスプレイ、スクリーンリーダー、 光学式文字読み取り装置に対して、「知らない」と答えた割合は それぞれ下記の通りでした。 視覚障害者の自立支援および就労・就業支援に必要な拡大読書器→79.5% Windows拡大鏡→85.5% ピンディスプレイ→94.4% スクリーンリーダー→94.4% 光学式文字読み取り装置→91.5% 多くの視覚障害者がこのように支援機器や支援ソフトを知らないということは 3月11日の大震災の支援活動でも明らかになったことでした。 受けていたサービスが大震災により受けられなくなったのではという思いで いろいろな支援活動が行われました。 もちろんそのようなことは大きな問題でしたが、そもそも支援機器やソフトを 知らないという根本的な問題に直面したわけです。 そこには「まさか」という現実があるわけです。 私たちはいったい何をやっていたのか。本当に力不足を感じます。 また、個別の機器やソフトがその人に合うかどうかではなく、 たとえばその人が仕事をするうえで、 どのようなものを使ったらよいのかということを総合的な視点で どれだけ理解しているのかということも大切です。 iPadの体験会で拡大して見る機能があることを知った方がいました。 それは素晴らしい発見でしたが、拡大読書器のことは全く知りませんでした。 「読む」ということに特化したら、その人には拡大読書器の方がよいのかも しれません。 弱視者の場合特にそのような問題があるかと思います。そのようなことを 十分に知りながらサポートしていきたいものです。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎NVDAについて その3 今回はNVDAでEXCELを使用した場合についてです。 その1 (1)空白のセルA1に「3」を入力すると「3エディット3」と聞こえます。 (2)[左方向]キーを押すと、「3 A1」と聞こえます。 (3)そこから[SHIFT]キーを押したまま[右方向]キーを2回押して C1まで移動すると、「A1 3からC1 選択」と聞こえます。 その2 ここではセルB2からB6までを使用します。 B6には数式があり、計算結果が205であるとします。 (1)数式があり、計算結果が205であるセル(B6)に移動すると 「205 数式があります B6」と読み上げます。 (2)ここで[F2]キーを押すと、通常のEXCELと同様にセルB6には計算式が 表示されます。ちなみにB6の数式は「=sum(B2:B5)」です。 音声では「エディット =sum B2:B5」と聞こえます。 別のダイアログボックスが表示されることはありません。 しかし、数式の作成では、力不足です。 B6の計算式を入れる場合、いくつかの方法があります。 「=su」と入力すると、下に先頭が「su」ではじまる関数のリストが 表示されます。ここで、[下方向]キーを押してリストに移動しても 読み上げません。 その3 ここではセルA3からC3までを使用します。 C3に A3とB3の積を設定したい場合、数式(=A3*B3)は 下記の手順でできますが、音声が乗りません。 (1)C3に移動します。 (2)「=」を入力 ここは正しく読み上げます。 (3)[左方向]キーを2回押して、セルA3に移動します。しかし、   音声は「改行」としか読み上げません。 (4)「*」を入力します。これは正しく読み上げます。 (5)[左方向]キーを1回押して、セルB3に移動します。しかし、   音声は「改行」としか読み上げません。 (6)[Enter]キーを押して数式入力が完了します。   C3には「=A3*B3」という数式が入力されますが、[Enter]キーの仕様で   カーソルはC4に移動します。 利用するには音声で苦手な操作を避けて利用すれば、 十分に実用的なレベルと思います。 このスクリーンリーダに限らず、表の作成、特に数式の設定では、 今後のスクリーンリーダの改良に期待したいと思います。 次回は、Wordの音声化の状況をお知らせします。                         文責 村山 慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎iPad 触れてみましたか?その9 iPhoneの新製品 5S、5Cが発表/発売が始まりました。 また基本ソフトOSも、iOS7にバージョンアップされました。 そして、NTTdocomoからも発売がはじまり、これで大手3キャリアが 取り扱いを始めました。 iPad、iPhoneなどを持っている方は今までにお知らせしたアプリは インストールされましたか? 今回も引き続き、アプリの紹介です。 ○Oto-Latte iPhone 3GS、iPhone 4、iPhone 4S、iPhone 5、  iPod touch(第3世代)、iPod touch (第4世代)、iPod touch (第5世代)、  およびiPad 対応 https://itunes.apple.com/jp/app/oto-latte/id597877924?mt=8 オトラテは「聴く」アプリ! 気になったら「見る」アプリ!! あなたがスマホで「見ている」ニュース、「聴いている」音楽。 それらをまとめてラジオ番組にしました。 その番組は自分でカスタマイズすることができるので、ニュースや音楽、 天気などの自分の好きなコンテンツを登録して、毎日聴くことができます。 満員電車、運転中、家事中。新しい「WEBのながら聴き」をぜひ 体験してみて下さい。 *無料 ○お金占い iPhone 3GS、iPhone 4、iPhone 4S、iPhone 5、  iPod touch (第4世代)、iPod touch (第5世代)、iPad 2 Wi-Fi、  iPad 2 Wi-Fi + 3G、iPad (3rd generation)、iPad Wi-Fi + 4G、  iPad (4th generation)、iPad Wi-Fi + Cellular (4th generation)、  iPad mini、およびiPad mini Wi-Fi + Cellular 対応 https://itunes.apple.com/jp/app/o-jin-zhani/id608928881?l=ja お金占いアプリであなたの金運を占えます。 あなたの財布の中からお札を取り出し、そのお札に スマートフォンをかざすことで今日のあなたの金運を占うことができます。 *無料 ○新聞読み比べ iTunes App Store で見つかる iPhone、iPod touch、iPad 対応 https://itunes.apple.com/jp/app/xin-wen-dumi-bibe/id611654445?mt=8 シンプルで使いやすい、新聞アプリの決定版! 主要全国紙のホームページから配信される最新のニュースを このアプリひとつで簡単に読み比べることができます。 どのニュースを読み比べるかは、自分で選ぶことが可能です。 *無料 ○洋楽ヒットソング ~青春の名曲~ iPhone、iPod touch、iPad 対応 https://itunes.apple.com/jp/app/yang-lehittosongu-qing-chunno/ id482384653?mt=8 ※上記URLが長いため、途中で改行しています。 「すべての洋楽ファン、必携のアプリ ! 」 青春時代に聞き込んだあの名曲と思い出が、今よみがえる ! 1960年-2011年までの過去50年間5000曲以上の洋楽ヒットソングが満載 ! *無料 つづく                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎国際視覚障害者援護協会 国際視覚障害者援護協会は視覚障害を持つ発展途上国の有為の若者を 日本に招待して、日本での留学を支援する活動を行っている団体です。 以前もご紹介しましたが、URLも変わり内容も一新しましたので 再度ご紹介します。 2カ月に一度の機関紙もこの2年半のものを全部見ることができます。 以前、SPANでも韓国から留学生を招き、韓国の音声読み上げソフトの 紹介を行ったり、留学生のパソコンサポートなども行ってきました。 常に、国際交流の視点を持っていければと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.iavi.jp/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎認定NPO法人イーパーツ 〜身近なパートナーを応援する〜 イーパーツは、IT.情報化支援をつうじて非営利団体や市民活動団体を サポートする、認定NPO法人です。 イーパーツの主な活動 イーパーツ3事業 情報機器などをどう寄贈するか、情報を効果的にどう使うか、さらに、 今、私たちNPOが取り組まなければならないことを、3つの事業を 連携することで取り組んでいます。 ■寄贈プログラム 「寄贈プログラム」とは、企業からのリユースPCや周辺機器、ソフトウェアを 非営利団体・ボランティア団体などの市民活動団体やNPOへと無償で寄贈し、 その情報化を支援するプログラムです。 協力企業からご寄付を頂いたパソコン・プリンタを再生し、必要な ソフトウェアや周辺機器とともに、全国の市民活動団体やNPOに 寄贈することで、市民活動・ボランティア活動の情報化を進めました。 リユースPC寄贈は、定期的に実施している「全国版」「高齢者支援」 「精神障害者支援」「子育て支援」などのテーマ性を持たせました。 これにより、寄贈プログラムがより周知される結果となりました。 また、地域の団体と連携した「地域版」も実施しております。 PC以外に、カラーレーザプリンタ、シュレッダーや事務用品などの寄贈も 行っております。多様な寄贈により、市民活動を総合的に 支援することができました。 これにより、地域の中間支援団体と様々な連携が生まれつつあります。 ■レクチャー/プロジェクト イーパーツでは、ただ単に情報機器を寄贈するだけでは、 本当の情報化につながらないと考えています。 市民活動団体やNPOにとって、高度情報化社会において、どのように情報を 利用しどのようにリスク管理をするのか、また今後情報化社会は どこへ向かおうとしているのか、そこで生じる問題は何か、 解決の仕方などを考えていかなければなりません。 イーパーツは、これらの課題に対して専門性とネットワークで ソリューションを提示したいと思っています。 イーパーツで行っているプログラムは、団体のニーズや時代の変化に合わせて 実施され、プログラム別に選考を行います。選考基準はプログラムによって 異なりますが、寄贈の必要度や実績、社会貢献度、将来性などを考慮し、 一定の基準を満たす団体に寄贈されます。 モノを寄贈するだけではない! レクチャーおよびスペシャルプロジェクトは、モノを渡すだけではなく 技術や知識の提供をめざしています。 情報機器とその使い方が両立して、初めて市民活動の情報化が進むと 考えます。 活動のための機器は、私たちにとってなくてはならないものです。 ぜひ、こうした団体を活用していただければと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.eparts-jp.org/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎ワンセグTV(音声)に対応したラジオサーバー新登場、「PJ-35」  今回は、8月30日にオリンパスイメージング(株)から発売されたワンセグの 音声受信に対応したラジオサーバーポケット「PJ-35」をご紹介します。  本機は、ラジオレコーダーとして初のワンセグTV音声受信に対応し、1台で AM/FM/TVの3種類の放送を受信・録音できます。 本体は110gの軽量、小型ボディー。また、上部に遅聞き、早聞き、少し戻る、 インデックス、A-Bリピートの5つのボタンを配置、ポケットに入れた際にも 一連の操作が簡単に行えるよう操作性も向上させています。  同梱のスピーカー付アンテナステーションには、海外の高級車などでも 採用されているDirac社の音響技術を搭載。Dirac HD Sound技術は高精度の 信号処理技術により音の歪みの発生を限りなく抑え、原音に近い クリアな再生音を可能にします。スピーカーシステムとしては 本機が日本初の採用。より高音質でラジオやテレビの音声を楽しめます。  放送中にボタン一つで録音を開始できます。予約件数は最大で30番組。 日付指定、曜日指定機能で予約録音できるので、取り逃がしません。 無料ソフトでパソコンからでも番組予約が可能。自動時計補正機能で 時間も常に性格。 番組は、4GBの内蔵メモリーで最大175時間録音できます。 また、microSD/microSDHCカードは32GBまで対応。  音声ガイド機能で、日時や予約録音の設定、放送局の周波数など操作を 音声でガイドします。ただし、ガイドできる機能には制限があります。  もちろん、ICレコーダーやミュージックプレーヤーとしても使えます。 ほかにも録音した番組をすぐに探せるカレンダー検索機能、しおり機能、 イントロ再生機能、TV二重音声切り替え、ラジオノイズフィルター機能、 音声に反応して録音開始・停止する音声起動録音機能など…、機能も充実。 ●仕様 記録・再生方式:MP3形式(記録・再生)、WMA形式(再生) パソコン動作環境:Windows XP/Vista/7/8標準インストール(日本語版) 外形寸法:118.5×50.8×17.9mm  質量:110g(電池含む) 同梱品:スピーカー付アンテナステーション(CR19)、ACアダプター、 AMループアンテナ、FMケーブルアンテナ、TVアンテナ、 単4形ニッケル水素充電池2本、USB接続ケーブル、イヤホン、 取扱説明書(保証書付)、かんたんガイド 価格:オープン(30,000円前後) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://olympus-imaging.jp/product/audio/pj35/ ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎土曜講座「視覚障害者のためのPowerPoint 2010」開講のお知らせ NPO法人SPANでは4日間にわたり、視覚障害者のための PowerPoint 2010の活用法の講座を開催します。 *開催日:10月5日(土)・19日(土)、11月2日(土)・9日(土) 4日間コース *時間:10月5日、11月9日 12:30〜17:00 *会場:SPAN☆三田スカイプラザ *内容:キーと音声によるPowerPointの概要、及びプレゼンテーション資料の  作成(スクリーンリーダーはjawsを仕様)、最終日に実際の  プレゼンテーションを行います。 *受講料:29,000円(4日間) *定員:4名 *お申し込み先: office@span.jp ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.span.jp/activity/schedule.html#20131005-1109 ◎第8回 視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド2013」開催 世界でも例を見ない視覚障害者のための総合イベントが今年も開催されます。 *日時:2012年11月1日(金)〜11月3日(日) 10:00〜17:00(最終日16時まで) *会場:すみだ産業会館 サンライズホール *内容:最先端の技術・機器、及び日常用品等の展示会、体験会の他、  イベント会場では、点字関係やIT活用などの各種講演会、体験発表、  各種セミナー、相談会など。 *入場料:無料 *主催:社会福祉法人日本盲人福祉委員会(サイトワールド委員会) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.sight-world.com/ ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Windows XPとOffice 2003へのマイクロソフトからのサポートが、2014年4月で 終了し、一つの時代が過ぎようとしています。 一方で、アップルのiOS 7がリリースされ、新しい風も次々に吹いてきました。 こうした流れについていくのは、ユーザーはもちろん、 サポートをする人にとっても大きな負担です。 技術と人間との関係をどう調整するか。これからのICTの 課題だともいえると思います。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は10月25日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼配信停止や配信先の変更、またご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク                        SPAN(スパン)                       メールマガジン編集部   発行責任者:北神アキラ http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━