━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCやICTの恵みを伝えるために 〜           2016年10月号 No.120                       2016年10月28日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  Excel基礎(34)   名前の定義(1) ● プロフェッショナルコース  Word2016 どこが変わった? ● 【コラム】 パソコンよもやま話  iOS10で拡大鏡 その1 [2] サポートお役立ちサイト  視覚障害者の就労に対応する合理的配慮について [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  筑波技術大学 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  iPhoneやパソコンをらくらくリモコン操作、「ミュージッククリック」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  第190回仙台ロービジョン勉強会開催のご案内 ほか [6] SPANからのご案内 [7] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎Excel基礎(34)  名前の定義(1) 前回はオートフィルタ機能について説明しました。 今回は範囲選択したセルに名前をつけて、数式の中で利用する方法について 説明します。 今回は、受講票の空欄の項目に別表の内容をVLOOKUP関数で参照して 表示させるという方法を例にとることにしましょう。 仮に受講票の項目は、左から 「氏名」、「コード」、「受講内容」、「受講料」とし、縦に20人分 並んでいるとしましょう。そのうち、空欄なのは、「受講内容」と 「受講料」です。 そして、別表のコース表の内容は、「コード」、「受講内容」、「受講料」の 3列の表とします。 ここでVLOOKUP関数を利用して受講票の空欄のセルに内容を参照させます。 まずは、VLOOKUP関数で参照させたいセル範囲に名前をつけます。 1.別表に入力されている   データのみのセル範囲を選択します。  仮に、セルI6からK16まで範囲選択をします。  なお、データは6行目から14行目の3列12行に表示されています。 2.[Alt]キーを押してリボンに移動します。 3.[左右方向]キーを押して「数式」タブに移動します。 4.[Tab]キーを押して「名前の定義」に移動して[Enter]キーを押します。  「名前の定義」のメニューが開きます。 5.「名前の定義」が選択されているので、そのまま[Enter]キーを押します。 6.指定した範囲の名前を入力するエディット ボックスが開くので、  『コース表』と入力します。 7.[Tab]キーを押して「参照範囲」に移動して、「$I$6:$k$14」と  入力されていることを確認します。 8.[Tab]キーを押して「OK」ボタンに移動して[Enter]キーを押します。  指定したセル範囲に「コース表」という名前がつきます。 次に上記で設定した名前「コース表」を利用して受講表の「受講内容」、 「受講料」のそれぞれの項目をVLOOKUP関数を使用して表示させるのですが、 この続きは次回説明します。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Word2016 どこが変わった? pdf版は http://smuramura.web.fc2.com/201610K/Of201610.pdf をご覧ください。 大きな変更点の一つは標準フォントの変更です。 「游明朝」が標準になりました。 このフォントですが、1ページに表示できる行数とフォントサイズの関係が MS明朝などと異なるので注意が必要です。 図 1 游明朝 http://smuramura.web.fc2.com/201610K/image001.jpg Word2013でA4の標準設定では、1ページ36行になっています。 フォントサイズが13ポイントぐらいまでは1ページに36行表示できます。 アウトラインなどで使用している大きさは12ポイントなの変化はありません。 ところが、Word2016の「游明朝」の場合、12ポイントにすると、 2行分の行間隔を使用します。  アウトラインで見出し1を使用すると、ポイントは12になります。 注意が必要ですね。 図 2 游明朝で文字の大きさと使用する上下の広さ http://smuramura.web.fc2.com/201610K/image002.jpg Windows Vista以後提供されている「Meiyo UI」や「Meiryo UI Gothic」でも フォントサイズが11になると2行分使用します。 下の図はグリッド線を表示して「Meiyo UI」でポイントを11にした例です。 図 3 Meiryo UI ポイント11が2行の広さを使っている例 http://smuramura.web.fc2.com/201610K/image003.jpg そもそもWordの場合、1ページ当たりの行数の仕組みが 直感的に理解できる仕様ではありません。 たとえば、表示できる行数は、文字を小さくすれば増えるということは ありません。  設定した1行の間隔は文字を大きくしても、小さくしてもかわりません。 行数が足りない場合は、複数行の間隔の設定を使用します。 ページ設定のダイアログボックスを表示し、「文字数と行数」のタブに 切り替えます。 「行数だけを指定する」では36になっています。事前に罫線を表示しておくと よくわかります。([Alt]キー,[W]キー,[G]キーでグリッド線を 表示できます。) 図 4 ページ設定で「行数だけを指定する」「行数36」の例 http://smuramura.web.fc2.com/201610K/image004.png 図 5 文字の大きさと行間隔 Word2007にMeiryoUIを組み込んだ例 http://smuramura.web.fc2.com/201610K/image005.jpg 対応方法はいくつかあります。 対応方法1 Word2010などで作成したファイルを使用する。 対応方法2 標準スタイルのフォントを変更します。下記はその例です。 Word2016で新規ファイル、つまり空ファイルを開きます。 「あいうえお」と入力します。 [Ctrl]キー+[A]キーで選択します。 [Ctrl]キー+[Shift]キー+[F]キーでフォントがフォーカスを持った フォントのダイアログボックスが表示されます。 [下方向]キーを押して別のフォントを選びます。 OKボタンを実行して確定します。 図 6 別のフォントに切りかえた様子 http://smuramura.web.fc2.com/201610K/image006.png [Alt]キーでリボンにフォーカスを移動します。 [H]キーでホームのタブに切り替えます。 [L]キー,[2]キーでスタイルを開きます。標準が選ばれているはずです。 注意:Word2010は[L]キーのみです。 [アプリケーション]キーを押してリストを開きます。 [下方向]キーでメニューを開きます。 [Enter]キーを押すと、選択した部分が標準になります。 つまり、標準のフォントも変更されます。 図 7 現在の段落の書式を標準にする場合の様子 http://smuramura.web.fc2.com/201610K/image007.jpg ****************************************************************** ● 【コラム】 パソコンよもやま話 ◎iOS10で拡大鏡 その1 ここ数年の間に、携帯型拡大読書機や、電子ルーペが多く 発売されてきました。 長文を読んだり、書類に名前を書くなどの場合には、 必ずしも適してはいませんが、郵便物が誰から来たのかとか、 外出先で書類を見たりするのにはとても便利です。 でも、既に据え置き型の拡大読書機を購入している場合には、基本的に8年間は 助成を受けることができません。 ところが、既にiPhoneや、iPadなど、iOSを10にアップデートできるデバイスを お持ちであれば、それを拡大鏡にすることができます。 拡大鏡は1つのアプリとして、アイコンが追加されたのではありません。 その設定方法について説明します。 ○拡大鏡を有効にする方法 iOS10から追加された拡大鏡は、アプリとしてホーム画面に 表示されるのではなく、アクセシビリティ機能の一つとして、 ホームボタンのトリプルクリックで起動させることができます。 事前の設定が必要です。 「設定」アプリを開き、「一般」→「アクセシビリティ」→「拡大鏡」と 順番にタップしていきます。 メニューに、「拡大鏡」という項目があるので、Onにします。 これ以降、拡大鏡機能が有効になります。 その他の項目については必要に応じて設定してください。 ○拡大鏡を起動する 上記の設定をしておけば、ホームボタンのトリプルクリックで拡大鏡が 起動します。 すでにホームボタンのトリプルクリックに、VoiceOverや、ズームなどの アクセシビリティ機能を割り当てている場合は、 起動する機能を選択するメニューが画面下の方に表れます。 この中から拡大鏡を選択します。 画面が切り替わり、背面カメラで移した映像が表示されます。 拡大鏡を終了するときは、ホームボタンを押せば元の画面に戻ります。 つづく                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎視覚障害者の就労に対応する合理的配慮について 視覚障害者、とりわけ弱視者の就労に対応する合理的配慮について、 弱視者問題研究会でまとめられています。 就労に関するいろいろな場面での問題提起がされています。 弱視者のパソコンサポートなどを行う場合の、参考になりますね。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://jakumonken.sakura.ne.jp/teigen/shuurou/20160828.htm ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎筑波技術大学 〜伝わる大学・伝える大学〜 筑波技術大学は視覚障害者・聴覚障害者に特化した教育・研究を行っている わが国唯一の国立大学です。 *大学の概要 産業技術学部 聴覚障害者のための高等教育機関で、産業情報学科と総合デザイン学科が あります。 保健科学部 視覚障害者を対象とした高等教育機関で、保健学科と情報システム学科の 2つの学科があります。 保健学科には鍼灸学専攻と理学療法学専攻の2つの専攻分野があります。 保健学科では、はり師、きゅう師、あん摩・マッサージ・指圧師、 理学療法士を養成しています。 情報システム学科では、情報通信技術(ICT)の専門技術者を養成します。 *大学院 大学院 技術科学研究科には、保健科学専攻と産業技術学専攻、および 情報アクセシビリティ専攻があります。 視覚障害者の支援をする方には、こうした視覚障害者が学べる国立大学が あることをぜひ知っておいていただきたいと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.tsukuba-tech.ac.jp/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎iPhoneやパソコンをらくらくリモコン操作、「ミュージッククリック」  今回は、パソテックから発売された「ミュージッククリック」を ご紹介します。  ミュージッククリックは、iPhoneやパソコンのリモコンとして使える ボタンです。iPhoneがカバンやポケットに入ったままでも再生・一時停止、 早送り・巻き戻し、音量調節などの操作ができます。 本体は黒でフラット、側面はシルバー、超軽量10gで、500円玉を 二回り大きくしたくらいの大きさです。 音楽のみならず、ラジオや読書でも使えます。また、iPhone標準の カメラアプリ、e.Typistやスキャナー&翻訳者などで遠隔シャッターとしても 使えます。  ミュージッククリックには、ミュージッククリックプレイヤーという Windows用の音楽プレイヤーが付属しています。MyFileからは連携再生、 エクスプローラーからは「送る」のメニューを使って簡単に再生できます。 曲間でのタイトル読み上げ、左右カーソルで曲移動、上下カーソルで 音量調整、スペースキーで再生/一時停止が行えます。  専用アプリをダウンロードすることなく、一度ペアリングさえしておけば 手軽に使えます。また、パソコンとペアリングすることで、パソコンでも ミュージッククリックで再生、音量調整などの操作ができるようになります。 ペアリングとは、Bluetooth接続のことです。Bluetooth非搭載の パソコンの場合は、市販のBluetoothアダプターを利用してください。 ●スペック 周波数帯:ISMバンド2.4GHz ワイヤレス範囲:12メートル バッテリー寿命:CR2016電池1つで最大2年間 対応機種:ほとんどのiOS機器(iPhone4s以降など) ミュージッククリックプレイヤー対応OS:Windows10, 8.1, 8, 7 *ミュージッククリックプレイヤーはPC-Talker起動環境でのみ動作します。 梱包内容:ミュージッククリック(ネックストラップ付き)、ホルダー、 携帯ストラップ、CR2016電池(本体に装着済)、3M両面テープ、 ミュージッククリックプレイヤー・プログラムCD、マニュアル (音声解説CD2種) 価格:15,800円(税込、送料無料) ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://pasotec.net/music_click_frame.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎第190回仙台ロービジョン勉強会開催のご案内 アイサポート仙台(仙台市中途視覚障害者支援センター)では、 第190回仙台ロービジョン勉強会を開催します。 *日時:2016年11月9日(水) 19:00〜20:30 *会場:仙台市福祉プラザ 10階 第2研修室 *内容:点字の基本〜点字習得の必要性について〜 *参加費:300円 *お申し込み・お問い合わせ先:アイサポート仙台 仙台市中途視覚障害者  支援センター  Tel:022−212−1131  E-Mail:sisien@sky.plala.or.jp 詳しくは上記お電話かメールにてお問い合わせください。 ◎見えない・見えにくいというかたに、岡山県倉敷駅前で体験会開催のご案内 「活字文書読上げ装置アイビジョンスピーチオ」の体験会を11月12日 岡山県倉敷駅前の会場で開催します。 *日時:2016年11月12日(土) 10:00〜15:00 *会場:倉敷駅 西ビル 8階 社会福祉協議会分室(倉敷市結婚相談所) *内容:「活字文書読上げ装置アイビジョンスピーチオ」の体験会 なお、この装置を利用すると、SPコードがついた書類を読むことができます。 SPコードが印刷されていると、ワンタッチで解読して音声で読み上げします。 *参加費:無料 ▼詳しくは下記にお問い合わせください。 主催:NPO法人岡山県視覚障害者自立支援センター Tel:086-250-8278 ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] SPANからのご案内 SPANが開催する講座などのご案内やご寄付のお願いです。 多くの方に私たちの活動を知っていただければ幸いです。 *講座の開催 SPANでは以下のような講座を開催しています。  ・ 個人対象講座   マンツーマンで学んでいただく講座で、内容や日程はご相談の上   決めていきます。初歩から職業スキル向上まで多様なニーズに   対応できます。  ・ グループ講座   グループ(2〜4名)で同じ内容を学んでいただく講座で、内容や日程は   ご相談の上決めていきます。受講料は個人対象講座より割安です。  ・ 遠隔講座   無料のネット通話Skypeなどを利用して行う講座で、教室に来なくても   学べます。内容や日程はご相談の上決めていきます。  ・ 在職者訓練   就労中の視覚障害者を対象とした職業訓練で費用負担はありません。   → 現在、平成28年度下半期の訓練の受付を行っています。  ・ 企業研修   視覚障害者が在籍する企業からの委託により実施する職業研修です。   内容や日程はご相談の上決めていきます。 上記の各講座や訓練は常にお申し込みを受け付けています。  ・ 土曜講座、夜間講座、ワンポイント講座   土曜日やウイークデーの夜間にテーマを決めて実施する講座です。   また、ワンポイント講座はテーマを絞って半日で学ぶ講座です。   内容や日程はその都度Webサイトでお知らせします。   → 現在、募集している講座はありません。  ・ インストラクター養成講座   視覚障害者に対するパソコンサポートをしていただく方のための講座で、   原則として奇数月の第2日曜日に開催します。   → 現在、11月6日(日)の募集を行っています。    *11月については、都合により第1日曜日に開催します。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://span.jp/offering/index.html *ご寄付のお願い SPANは外部からの補助を受けずに自主運営している団体です。そのため、 みなさんからのご寄付が大切な活動資金になっています。 どうぞみなさんのお力でSPANを支えていただければうれしいです。  また、以下のサイトの中の「応援する」ボタンを毎日押していただくことで SPANを寄付でご支援いただけます。ぜひご協力ください。 http://gooddo.jp/gd/group/span/?from=fbn0 ───────────────────────────────── [7] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 今年もサイトワールドの季節になりました。どんな新技術が紹介されるか 楽しみですね。 ただ、いろいろなところで話を聞くと、そうした新しい技術の恩恵がまだ 受けられていない人がとても多いことに気づかされます。 地域や環境の壁を乗り越えて一人でも多くの視覚障害者にこうした技術の 恩恵が行き渡ることを願っています。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は11月25日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼メールマガジンのバックナンバーはこちら http://span.jp/useful/magazine/index.html ▼配信停止や配信先の変更、また、ご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク           SPAN(スパン)メールマガジン編集部     発行責任者:北神 あきら http://www.span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━