━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCやICTの恵みを伝えるために 〜           2023年6月号 No.200                       2023年6月23日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  今さら聞けないExcel使い方あれこれ(20)   IF関数の使い方(1) ● プロフェッショナルコース  Python で Excel をテキストベースで操作する ● 【コラム】 ICT よもやま話  ドキュメントトーカ Apple版の提供を開始 [2] サポートお役立ちサイト  一般社団法人SSP(Side Stand Project) [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  視覚障害者支援部「てんとうむし」 [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  点字ディスプレイを使いこなす、「BrailleWorks Neo」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  2023年度 全国ロービジョン(低視覚)セミナーのご案内 ほか [6] SPANからのご案内 [7] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎今さら聞けないExcel使い方あれこれ(20)  IF関数の使い方(1) IF関数は、指定した条件により該当する値を返します。 例えば、以下の数値が入力されていたとします。 セルA4:70 セルA5:69 そして、セルB4とB5に、A列の値により、70以上ならば「合格」、 それに満たない場合は「不合格」と表示させるようにします。 そのため、セルB4とB5にIF関数を入力します。 手順は以下の通りです。 1.セルB4を選択します。 2.[F2]キーを押して編集状態にします。 3.以下の関数式を入力して[Ctrl]キー+[Enter]キーを押します。  セルB4に「合格」と表示されます。  =if(a4>=70,"合格","不合格") 4.セルB4の内容をコピーします。 5.セルB5を選択します。 6.[アプリケーション]キーを押してコンテキストメニューを表示させます。 7.[下方向]キーを押して[形式を選択して貼り付け]に移動して[Enter]キーを  押します。 8.[下方向]キーを押して[数式]に移動して[Enter]キーを押します。  セルB5に「不合格」と表示されます。 【解説】 IF関数は「条件」「真の場合の値」「偽の場合の値」から  成り立っており、それらの間を「,」で区切ります。  この場合、条件は「A4>=70」つまり70以上です。  「真の値」は「合格」「偽の値は「不合格」ですが、  それらは文字列なので、「"」で囲んで入力します。  そして、[Ctrl]キー+[Enter]キーを押すのは、そうすることで、  セルを移動せずに結果が確認できるからです。  [Enter]キーだけだと下のセルに移動してしまいます。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎Python で Excel をテキストベースで操作する 1.はじめに 「Python」(パイソン)は、メモ帳などを使用しテキストベースでの プログラミングが可能です。エラーを含めてリダイレクトすれば、実行結果を テキストファイルにすることも可能です。Excelを利用するライブラリが 公開されています。 openpyxl をインストールすれば、セルA1の内容を取り出すことや 変更することがテキストベースでできます。 今回から、少し説明をします。下記はプログラムの例です。 import openpyxl # Excelのブックを「ブック変数」に読み込む wb = openpyxl.load_workbook("./sample001.xlsx") # はじめのシートを「シート変数」に取り込む シート番号はゼロから 始まる。 ws = wb.worksheets[0] # セルの内容を標準出力に出す A1 形式 print(ws["A1"].value) 2.Pythonのインストール  STEP-1 下記のURLを実行します。 すると、実行したOSに合わせた画面になるそうです。 https://www.python.org/downloads/ STEP-2 表示された画面の黄色の部分 Download Python 3.11.4 をクリックすると、 ダウンロードが始まります。そのファイルを実行します。 図1 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/06py01/img010.png STEP-3 インストールを開始するウインドウが表示されます。 赤枠で囲んだ Add Python.exe to PATH の前のチェックを有効にしてから Install Now を実行して インストールを実行します。 図2 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/06py01/img020.png インストール中の様子です 図3 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/06py01/img040.png STEP-4 インストールが終了しセットアップが成功していることを示しています。 Close をクリックして終了です。 図4 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/06py01/img050.png 次回は、実行環境の作成を説明します。                         文責 村山 慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 ICt よもやま話 ◎ドキュメントトーカ Apple版の提供を開始 以前からIT関係に関わってきた人にとっては「ドキュメントトーカ」は 懐かしい名前ですよね。 2023年06月01日に、Create Systemより、ドキュメントトーカのApple版の 提供が開始されました。 iPhone、iPad、Macに対応しております。 iPhone:iOS 16.0以降が必要です。 iPad:iPadOS 16.0以降が必要です。 iPod touch:iOS 16.0以降が必要です。 Mac:macOS 13.0以降が必要です。 言語:日本語、 英語 価格:無料 App内課金有り デモバージョンの解除(2ヶ月)\300 デモバージョンの解除 (1ヶ月)\200 今まではVoiceOverのみであったスクリーンリーダーの選択が 増えたことになりますね。 アップルストアより購入、ダウンロードができます。 https://apps.apple.com/jp/app/id6447055469?platform=ipad 無償版には「これはデモバージョンです。」という音声が入ります。 ドキュメントトーカ は、日本語 Text To Speech エンジンです。 いろいろなテキストの読み上げに使用できます。 「たかし」「けいこ」「太郎」「花子」の4種類の声が入っています。 「システム設定」「アクセシビリティ」「読み上げコンテンツ」から 「システムの声」で 「DTalker_TTS」の中から「Keiko」「Takashi」 「Hanako」「Taro」のいずれかをお選びください。 選択項目の読み上げや、VoiceOverでの使用、AVSpeechSynthesizer を使用した 開発用にも使用できます。 まだ、初期バージョンのため、一部不具合も起きているようですが、 順次対応されてきています。                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎一般社団法人SSP(Side Stand Project) 自動車の運転は知り合いが何度か参加しているのですが、オートバイは 初めて聞きました。 事業概要には次のように書かれています。 支える勇気 支えられる勇気 オートバイに乗る事は健常者しか楽しめないと誰でも思い、 障がいを抱えた人を乗せる事は無謀だと言います。 風を切りオートバイを自在に傾け、カーブを颯爽と駈け抜ける楽しさは 虜にする乗り物かも知れません。 誰もが諦めた事が出来る喜び、人生にとってかけがえのない事になると 思います。 この活動は世界でも前例のない取り組みで、楽しめる環境が有れば 隔たりのない社会に変わります。 世界中の障がいを抱えている方にも届けられるように活動をしてまいります。 風邪を切って走るのは気持ち良いでしょうね。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://ssp.ne.jp/index.html ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎視覚障害者支援部「てんとうむし」 佐賀県にある団体紹介です。 この団体は、たかだ電動機株式会社という企業の中の1つの部門として 活動しているというユニークな存在です。 実施事業 *佐賀県視覚障害者団体連合会が県の委託で主催する事業 ・相談支援「心のケア相談」 ・訪問訓練「佐賀県中途視覚障害者緊急生活行動訓練事業」歩行訓練 *同行援護従業者養成研修の実施 *盲ろう者向け通訳・ガイドヘルパー(介助)養成講習会の実施 *その他 各種職員研修 講師 こうした団体が全国に広がるといいですね。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://takada-dendouki.com/tentoumushi/ ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎点字ディスプレイを使いこなす、「BrailleWorks Neo」  今回は、4月3日に高知システム開発から発売された、 点字ディスプレイ出力強化オプション「BrailleWorks Neo」をご紹介します。 BrailleWorks Neoは、PC-Talkerシリーズのオプションソフトです。 PC-Talkerの点字ディスプレイ機能をさらに強化します。 点字の本を読むように読書を楽しんだり、メールを送る前に点字で 再確認してから送信できるようになります。 Windows操作を支援するステータス表示や点字ディスプレイを優先する 音声ミュート機能を装備。静かなオフィスや夜間でも、 周囲を気にすることなくWindowsを操作することができます。 また、盲ろう者の方々にとっても快適なコミュニケーションツールとして ご利用いただけるよう配慮しました。 ニューブレイルシステムの点訳エンジンを標準装備。操作中のテキスト情報を かな点字に変換して出力できます。 また、最新版では世界標準の文字規格ユニコードに対応。 ユニコード文字の点訳、ユーザー辞書への登録も可能。さらに、六点漢字や 8点式漢点字にも対応しました。 点訳エンジンのシステム辞書は、インターネットのクラウド機能で定期的に 自動更新されます。ユーザー登録用の点訳辞書は クラウド機能で管理することにより、複数台のパソコンで共有できます。 本製品をご利用の方は契約期間中、最新の製品を無料でお使いいただける 自動更新サービスや専門スタッフによる電話・メールサポートを 受けられます。 ●動作環境 対応OS:Windows 11/10 対応スクリーンリーダー:PC-Talker Neo/Neo Plus 対応点字ディスプレイ:ケージーエス(株)、(有)エクストラ、 (株)日本テレソフト、各社販売の点字ディスプレイ ●製品価格(すべて税込) 標準価格(利用期間5年):33,000円、日常生活用具給付等事業制度候補品 自費割引(利用期間3年):13,200円 ※個人におすすめのプラン 学生割引(利用期間3年):6,600円 ※学生におすすめのプラン ※DVD版は、プラス3,300円。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://www.aok-net.com/products/brailleworksneo.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎2023年度 全国ロービジョン(低視覚)セミナーのご案内 毎年恒例となっている、日本視覚障害者職能開発センターが主催する 就労をテーマとしたセミナーです。 今年のテーマは「オンラインとリアルの交差点 −働き方・通勤の仕方を 問い直す− 」です。 *開催日:2023年7月29日(土) *実施方法:戸山サンライズとZoomでのオンライン *内容:公園とパネルディスカッション、機器展示、団体展示 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://www.jvdcb.jp/seminar/lowvision/lowvision2023/ ◎遠隔ワンポイント講座「Wordの表が苦手な方のために」  (7月22日)のご案内 SPANでは、遠隔ワンポイント講座を開催します。 内容は、Wordの表を上手に操作するコツです。 *日時:7月22日(土) 13:00〜17:00 *実施方法:通信アプリZoomミーティングによる遠隔  講師の画面の映像と音声を受講するみなさんと共有しながら実施 *募集定員:4名 *テキスト:テキストは事前にメールに添付してお送りします。 *講師:北神 あきら(SPAN) *受講料:8,800円(テキスト代を含む)事前にお振込でお支払いください。 *お申込先:office(@)span.jp  お名前、電話番号、お使いのWordのバージョン、そして  ご希望の画面読み上げソフトをお知らせください。  折り返し、受講料の振込先をお知らせします。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/activity/#future20230722 ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] SPANからのご案内 SPANが開催する講座などのご案内やご寄付のお願いです。 多くの方に私たちの活動を知っていただければ幸いです。 *講座の開催 SPANでは以下のような講座を開催しています。 ★教室での訓練や講座、またジョブコーチによる支援を再開しています。  ただし、一部はオンラインによる実施となっています。  詳しくはお問合せください。  ・ 個人対象講座   マンツーマンで学んでいただく講座で、内容や日程はご相談の上   決めていきます。初歩から職業スキル向上まで多様なニーズに   対応できます。  ・ グループ講座   グループ(2〜4名)で同じ内容を学んでいただく講座で、内容や日程は   ご相談の上決めていきます。受講料は個人対象講座より割安です。  ・ 遠隔講座   ネット通話アプリZoomミーティングなどを利用して  行う講座で、   教室に来なくても学べます。   内容や日程はご相談の上決めていきます。  ・ 在職者訓練   東京都内に在勤、または在住の就労中の視覚障害者を対象とした   職業訓練で費用負担はありません。   → 現在、令和5年度上期の訓練の受付を行っています。  ・ジョブコーチ支援   訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援です。視覚障害者が   勤務する職場環境の整備や職業スキルの向上を図ります。   詳しくは、東京障害者職業センター、またはSPANに  お問い合わせください。  東京障害者職業センター   https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/tokyo/  ・ 企業研修   視覚障害者が在籍する企業からの委託により実施する職業研修です。   内容や日程はご相談の上決めていきます。 上記の各講座や訓練は常にお申し込みを受け付けています。  ・ 土曜講座、ワンポイント講座   原則として土曜日にテーマを決めて実施する講座です。   また、ワンポイント講座はテーマを絞って1〜4時間で学ぶ講座です。   いずれも遠隔で実施する場合があります。   内容や日程はその都度Webサイトでお知らせします。   → 現在、7月22日の講座の募集を行っています。  ・ インストラクター養成講座   視覚障害者に対するパソコンサポートをしていただく方のための講座で、   原則として奇数月の第2日曜日に開催します。   → 現在、7月9日の第135回講座の募集を行っています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/activity/#future20221211 *資格取得コース  視覚障害者が受験できる資格試験受験のための対策講座を行います。  現在、以下の資格取得コースの募集を行っています。  ・ 日商PC検定3級文書作成 2023年7月期  ・ 日商PC検定3級データ活用  2023年7月期 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/certification/ *ご寄付のお願い SPANは外部からの補助を受けずに自主運営している団体です。そのため、 みなさんからのご寄付が、活動を続けるために不可欠なものとなっています。 どうぞみなさんのお力でSPANを支えていただければうれしいです。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/support/ ───────────────────────────────── [7] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− おかげさまで、このメールマガジンも200号を迎えました。 2006年に配信を開始して23年、これまで続けることができたのは、 ひとえに読者のみなさんのお力によるものと心から感謝いたします。 デジタル化、2025年問題など、視覚障害者のICT利用への課題は多くありますが これからも、視覚障害者のサポートをする方にとって有益な情報を 提供できるよう努力してまいりますので、 今後ともどうぞよろしくお願いします。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は7月28日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼メールマガジンのバックナンバーはこちら https://span.jp/useful/magazine/index.html ▼配信停止や配信先の変更、また、ご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク           SPAN(スパン)メールマガジン編集部     発行責任者:北神 あきら https://span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━