━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCやICTの恵みを伝えるために 〜           2023年7月号 No.201                       2023年7月28日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  「拡大鏡」で「フラッシュライト」の活用 ● プロフェッショナルコース  PythonでExcelをテキストベースで操作する その2 ● 【コラム】 ICT よもやま話  iOSアプリ VoiceVista [2] サポートお役立ちサイト  調査報告。ECLO制度、日本ではどうなのか。 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  けやきパソコンボランティアクラブ [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  携帯型OCRマルチプレーヤー、「センスプレーヤー」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  2023年 中山視覚障がい者 iPhone講座 ほか [6] SPANからのご案内 [7] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎「拡大鏡」で「フラッシュライト」の活用 文字を見るときはルーペで拡大して見ますが、ここ15年くらいは ライト付きのルーペでないと見えません。 大きさだけでなく、私には明るさもなくてはならないものです。 このライト付きルーペはかなり多くの方が使っていると思います。 iPhoneの「拡大鏡」でも「フラッシュライト」というものが使えるように なっています。これを使わないと損です。 「拡大鏡」のデフォルト設定は「倍率」しか出ていません。 しかし、ズーム以外にあと2つの項目を、「拡大鏡」を開いた時に出る画面に 追加できます。(主コントロール、と言います。) こうしておかないと、「ライト付きルーペ」のようにスイッチを押すだけで サッと明るく照らすことと同じにはなりません。 設定でフラッシュライトというところで右スワイプするとフラッシュライトを 並び替えと読み上げます。そこでダブルタップしてそのまま指を離さないで 「ズーム」の下までドラックします。その後、右上の完了でダブルタップ。 こうしておけば、「ズーム」と「フラッシュライト」の2項目が「拡大鏡」の 最初の画面に出ます。 使い方ですが、「拡大鏡」を開いて「ズーム」というところまで 右スワイプして、ズームと言ったら上下スワイプで自分の好きな倍率を 選びます。その次に右スワイプするとフラッシュライトと読み上げます。 ここでダブルタップするとライトが付きます。 ライトの調整もできますが、ライト以外にいろいろと調整項目がありますので それは次回にします。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎PythonでExcelをテキストベースで操作する その2 1.Pythonが動作することの確認 前回の操作で、Pythonをインストールしました。 PC-Talkerを使用して、対話形式で動作を確認します。 できるだけ管理者権限がある状態で行ってください。 手順1 [Windowsロゴ]キー+[X]キーでメニューを開きます。 手順2 ターミナルを実行します。 Aを押すとWindowsPowerShellが 起動します。 安全操作の画面が開くのでOKを実行してください。 図1 開いたメニュー https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/07py02a/img010.png 図2 起動した様子 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/07py02a/img020.png 手順3 pyを入力したら[Enter]キーを押します。 「ぱいそん さん」 と聞こえ始めます。 図3 py と入力した様子 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/07py02a/img030.png 手順4 a=10 と入力します。「だいなり」と聞こえます。 手順5 print(a)と入力します。「10 だいなり」と聞こえプログラムが正常に 動作しています。 図4 実行結果10が表示された様子 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/07py02a/img040.png 2.必要なライブラリーの登録 Excelなどに必要なライブラリ「openpyxl」と「selenium」をつなぎます。 ネットワークが接続されたパワーシェルを使用して行います。 パイソンが動作している場合は、[Ctrl]キー+[Z]キーで終了します。 「py -m pip install selenium」と「py -m install openpyex」を 実行してください。 図5 py -m pip install selenim を実行しインストール中 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/07py02a/img060.png 図6 py -m pip list でインストールされた内容を表示した様子 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/07py02a/img080.png 3.テキストベースで簡単なプログラムを作成し実行する (1)exit を入力して[Enter]キーを押すと ターミナルを終了します。 (2)適切なフォルダを作ります。 (3)パイソンのプロラムpy02.txt をメモ帳で作成し、拡張子をpyにします。 a=10 b=20 c=30 print(c) (4)実行用バッチプログラムgo.txtをメモ帳で作成します。 py py02.py >wk.txt 2>&1 作成したら、拡張子をbatにします。 (5)エクスプローラーで go.bat を実行すると、画面出力が リダイレクトされたテキストファイル wk.txt が作成されます。 内容は30です。 4.まとめ py02.py go.bat wk.txt のzipファイルをダウンロード https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/07py02a/test.zip 次回は、Excelファイルを読んだり書いたりします。                         文責 村山 慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 ICt よもやま話 ◎iOSアプリ VoiceVista 昨年(2022年)2月号でMicrosoft Soundscapeについて紹介しました。 筆者はロービジョンであり、視力と白杖を使い道路を単独で歩くことは できます。 いつも利用している店や施設などは行くことができますが、 お店や、公共施設などがあっても、気づかずに通り過ぎていることが多い。 ところがMicrosoft Soundscapeを起動して、いつも歩いている道を 通ったところ、新たなお店などの存在を知ることができました。 しかし、評価の高かった視覚障害者向けナビゲーションアプリ 「Microsoft Soundscape」が、2022年12月に提供の中止がアナウンスされ、 すでにApp Storeからは削除されています。 インストール済みのアプリについては有効期限が8月30日まで延長されることが 発表されました。 そしてここにきてオープン化されたソースコードを組み込んだアプリ VoiceVistaが、発表され、日本語でも使用できるようになりました。 このアプリは、高度な iOS オーディオ テクノロジーと正確な 位置情報サービスを活用して、環境に対する感覚を高めることができるように します。不慣れな環境でも安心感を提供し、ユーザーが頭の中で地図を作成し 自信を持って希望のルートをナビゲートできるように支援します。 使用しているYouTube動画を紹介すます。 https://youtube.com/watch?v=UeniEgy5lPM&feature=share VoiceVista on the App?Store https://apps.apple.com/app/id6450388413                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎調査報告。ECLO制度、日本ではどうなのか。 多くの団体が懸命になって、中途視覚障害者に寄り添いながら、 問題解決に向け頑張っています。SPANもその一端を担っているわけです。 英国での実践が紹介されています。 英国のECLO制度  失明の可能性の告知を受けた視覚障害者及びその家族に対する早期の 相談支援体制の構築は、急務の課題です。眼科の医学的治療に限界があり、 医療機関において失明の可能性の告知を受けた人々の多くは精神的に大きく 落胆してしまい、引きこもりや精神疾患を発症するケースが 少なくありません。  英国では、患者が現在の医療では視機能の回復が望めないと診断した医師が 患者に失明の可能性の告知をする時から、患者に寄り添いサポートする 専門家がいます。その専門家はECLO(エクロ)と呼ばれており、本事業では この英国のECLO制度を参考に調査を行い、同様の制度が日本において 構築可能かを探りました。  このほど、本事業の調査結果をとりまとめた報告書が完成しましたので、 公開をいたします。ご活用の程、よろしくお願いいたします。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://nichimou.org/notice/230630-jouhou-2/ ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎けやきパソコンボランティアクラブ 今回は団体紹介です。 さいたま市を中心に活動するパソコンボランティア団体です。 独自のWebサイトは持っていませんが、地域の視覚障害者へのサポートを 継続して行っています。 *活動内容 視覚障害者を対象として 1.毎月2回(第1・第3月曜日に、大宮ふれあい福祉センターで活動  午前はボランティアのスキルアップのための勉強会  午後はサポート 2.移動困難やパソコン不具合の場合は訪問サポートを実施 3.電話やメールでのパソコン操作等の相談対応 4.会員同志の親睦活動 こうした地道な活動が地域の視覚障害者を支えています。 まさに、第一線で活動する団体です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://www.saitamacity-support.jp/G0000401/aboutus.html ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎携帯型OCRマルチプレーヤー、「センスプレーヤー」 今回は、5月19日に有限会社エクストラから発売された携帯型OCR マルチプレーヤー「センスプレーヤー」をご紹介します。 本機は多彩な機能を備えた携帯型OCRマルチプレーヤーです。 視覚障害者の快適な日常生活をサポートします。 DAISY図書の再生/録音が可能。Wi-Fiに接続することで、DAISY図書や ポッドキャストを検索・ダウンロードしたり、インターネットラジオを ストリーミングできます。 本体背面の13メガピクセルカメラで様々な印刷物をスキャンし、活字を音声で 読み上げるOCR機能、スマートフォンやタブレットの Bluetoothキーボードとして使用し、タッチスクリーンデバイスを操作可能な スマートコネクト機能を搭載。 DAISY、ドキュメントファイル、音楽、ビデオ、オーディオブックファイル、 ポッドキャスト、ラジオなど、さまざまな種類のファイルを再生できます。 また講義や授業、音楽などを、内蔵のステレオマイクや外部ステレオマイクで クリアに録音できます。 そのほか、ファイル管理、カラーリーダー、メモ、電卓、アラーム、 ストップウォッチ、カウントダウン、スリープタイマーなどの機能も搭載。 活字文書を正確に読み取るためのOCRスタンドが付属します。 ■製品仕様 サイズ・重さ:縦130mm、横64mm、厚さ14.5mm  140g メモリ:内蔵フラッシュメモリ64GB、microSDカード256GBまで対応 Wi-Fi:802.11ac デュアルバンド(2.4GHz/5GHz)、Bluetooth5.0 バッテリー:2300mAh 充電時間3時間、フル充電で約9時間の音楽再生可能 インターフェース:USB-C 2.0、イヤホンジャック、内蔵ステレオスピーカー、 内蔵ステレオコンデンサーマイク ●価格:99,800円(非課税)、日常生活用具給付等事業制度候補品 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://www.extra.co.jp/sense/senseplayer.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎2023年 中山視覚障がい者 iPhone講座 認定NPO法人神戸アイライト協会では、音声でiPhoneを操作する方のための 講座を開催します。 *開催日時:8月5日(土)・19日(土)・26日(土)、9月2日(土)   13:30〜16:00 *会場:中山記念会館2階(神戸市兵庫区) *定員:5名 *参加費:4,000円(税込) *受講資格:視覚に障害がある方で兵庫県在住の方(県在勤・在学の方は  ご相談ください) *申し込み方法:神戸アイライト協会 078-531-6340へお電話ください。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://eyelight.eek.jp/gyotei.html#r ◎第267回 仙台ロービジョン勉強会のご案内 仙台ロービジョン勉強会は、視覚障害児・者の支援について さまざまなテーマについて学ぶ定例の勉強会です。 *テーマ:高齢者の住まいについて *講師:鈴木 大樹(すずき だいじゅ)さん ウチシルベ仙台 *日時:8月9日(水) 19:00〜20:30 *会場:仙台市福祉プラザ 11階 研修室1 *参加費:500円 *定員:30名 *参加申し込み期限:8月3日(木) *お申し込み・お問い合わせ先  仙台市視覚障害者支援センター アイサポート仙台  担当:善積  電話 022-341-1728  メール sisien@sky.plala.or.jp ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] SPANからのご案内 SPANが開催する講座などのご案内やご寄付のお願いです。 多くの方に私たちの活動を知っていただければ幸いです。 *講座の開催 SPANでは以下のような講座を開催しています。 ★教室での訓練や講座、またジョブコーチによる支援を再開しています。  ただし、一部はオンラインによる実施となっています。  詳しくはお問合せください。  ・ 個人対象講座   マンツーマンで学んでいただく講座で、内容や日程はご相談の上   決めていきます。初歩から職業スキル向上まで多様なニーズに   対応できます。  ・ グループ講座   グループ(2〜4名)で同じ内容を学んでいただく講座で、内容や日程は   ご相談の上決めていきます。受講料は個人対象講座より割安です。  ・ 遠隔講座   ネット通話アプリZoomミーティングなどを利用して  行う講座で、   教室に来なくても学べます。   内容や日程はご相談の上決めていきます。  ・ 在職者訓練   東京都内に在勤、または在住の就労中の視覚障害者を対象とした   職業訓練で費用負担はありません。   → 現在、令和5年度下期の訓練の受付を行っています。  ・ジョブコーチ支援   訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援です。視覚障害者が   勤務する職場環境の整備や職業スキルの向上を図ります。   詳しくは、東京障害者職業センター、またはSPANに  お問い合わせください。  東京障害者職業センター   https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/tokyo/  ・ 企業研修   視覚障害者が在籍する企業からの委託により実施する職業研修です。   内容や日程はご相談の上決めていきます。 上記の各講座や訓練は常にお申し込みを受け付けています。  ・ 土曜講座、ワンポイント講座   原則として土曜日にテーマを決めて実施する講座です。   また、ワンポイント講座はテーマを絞って1〜4時間で学ぶ講座です。   いずれも遠隔で実施する場合があります。   内容や日程はその都度Webサイトでお知らせします。   → 現在、募集している講座はありません。  ・ インストラクター養成講座   視覚障害者に対するパソコンサポートをしていただく方のための講座で、   原則として奇数月の第2日曜日に開催します。   → 現在、9月17日の第135回講座の募集を行っています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/activity/#future20221211 *資格取得コース  視覚障害者が受験できる資格試験受験のための対策講座を行います。  現在、以下の資格取得コースの募集を行っています。  ・ 日商PC検定2級データ活用  2024年1月期  ・ 日商PC検定3級文書作成 2023年10月期  ・ 日商PC検定3級データ活用  2023年10月期 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/certification/ *ご寄付のお願い SPANは外部からの補助を受けずに自主運営している団体です。そのため、 みなさんからのご寄付が、活動を続けるために不可欠なものとなっています。 どうぞみなさんのお力でSPANを支えていただければうれしいです。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/support/ ───────────────────────────────── [7] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 全国的に暑い日が続いていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか? コロナの感染は続いていますが、社会活動は戻りつつあり、対面での行事や 講座なども多くなっています。 ただ、ここ数年の変化は、私たちに活動方法についての課題を考える機会を 与えてくれたと思います。 今後は、対面とオンラインのよさを活かして活動していくことが 大切ではないでしょうか。 そして、一人でも多くの人が時代の流れから取り残されない社会を 目指していければと思っています。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は8月25日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼メールマガジンのバックナンバーはこちら https://span.jp/useful/magazine/index.html ▼配信停止や配信先の変更、また、ご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク           SPAN(スパン)メールマガジン編集部     発行責任者:北神 あきら https://span.jp 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