━━━━━━━━<< 視覚障害者PCサポート >>━━━━━━━━   〜 一人でも多くの視覚障害者にPCやICTの恵みを伝えるために 〜           2023年9月号 No.203                       2023年9月22日発行 このメールマガジンは、視覚障害者へのパソコンサポートをする方々の スキルアップと情報交換、また相互の連携を図るためのものです。 どうかみなさんの日々の活動に役立てていただければ幸いです。 ===== も く じ ===================== [1] 教えて!サポートの知恵袋 ● ベーシックコース  拡大鏡の設定のいろいろ ● プロフェッショナルコース  PythonでExcelファイルを読む 続き ● 【コラム】 ICT よもやま話  iOSアプリ Merlin Bird [2] サポートお役立ちサイト  おしゃれは大切 [3] ここが知りたい!団体運営のヒント  消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)について [4] ソフトウエア・ハードウエア情報  Windows画面拡大表示ソフト、「ZoomText 2023 日本語版」 [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など  視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド2023」のご案内 ほか [6] SPANからのご案内 [7] 編集後記 ================================= [1] 教えて!サポートの知恵袋 −−−−−−−−−−−−−−−− ● ベーシックコース  サポートの基本やスクリーンリーダーなどの基礎知識がテーマです。 ◎拡大鏡の設定のいろいろ iPhoneやiPadの拡大鏡にはズーム、フラッシュライト、明るさ、 コントラスト、フィルタなどの設定項目があります。 (フラッシュライトはiPhoneのみ) 明るさ、コントラストは文字通りですが、見え方によって いろいろ調整してみてください。 ところで、フィルタというのがわかりにくいですね。 それには、フィルタなし(普通の表示)、グレイスケール(白と黒、 その中間の何段階かの灰色で表す)、黒地に赤、黒地に黄色、青地に黄色、 青地に白、反転、反転グレイスケール、赤地に黒、黄地に黒、黄地に青、 白地に青、とたくさんあります。 黒地に赤や、赤地に黒を選ぶ人はあまりいないと思いますが、 これだけの多様性があります。それぞれの見え方により、いろいろな中から 選んでください。少しでも、見やすくなるのなら良いと思います。 特に、黒バックに文字は白、というのが良いという人はかなりの割合で いると思います。そのような人は、まずフィルタの設定で 反転にしておいてください。拡大鏡を起動すると、常に反転で 読めるわけです。 基本的な設定を反転にしておいて、ズームと、コントラストか明るさなどの 二つを「主コントロール」に設定してすぐに調整できるように しておいたほうが良いと思います。 とにかく、いろいろと試して、自分なりの設定をしてみてください。 ───────────────────────────────── ● プロフェッショナルコース  PCの設定やサポートのスキルアップ、またトラブル対応などが テーマです。 ◎PythonでExcelファイルを読む 続き PythonでExcelブックを読む 前回紹介した、読むプログラム「read004.py」を詳細に説明します。 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/09b/py09_read.pdf (1)読み込むExcelファイル https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/09b/sample003.xlsx A1からA5に下記の内容が表示されています。 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/09b/img010.png (2)プログラムの説明 A1の内容は数値で 12,345.00 と表示しています。 print("A1= "+str(ws["A1"].value)) A1の内容を文字列と結合したいのですが、A1の内容は数値なので、 文字列に変換する関数 str() を使用して文字列に変換してから結合しています。 c=ws["A1"] セルA1の内容を変数cに入れます。 編集cの型を表示します。 print("A1 data_type="+c.data_type) セル変数.data_type はセルの型です。 セルA1は数値なので n が表示されます。 セルが日付や時刻の場合、セルの形は数値のnを返します。 print("A1 number_format="+c.number_format) セル変数.number_format は セルをどのような書式で表示したかです。 この場合 #,##0.00 が帰ります。3桁ごとにカンマを付る. ゼロでも 小数点以下2桁まで表示することを、指定しています。 A2とA3は、日付です。数値なので、型はnです。 A3の場合 number_format は mm-dd-yy を返しました。 年月日を表示していることを示しています。 このように セルの型と表示形式も獲得することができます。 次回は、Pythonで Excelのブックを作成します。 Pythonのプログラムは、下記のzipファイルにあります。 https://smuramura.web.fc2.com/SPAN/2023/09b/09.zip                         文責 村山 慎二郎 ****************************************************************** ● 【コラム】 ICt よもやま話 ◎iOSアプリ Merlin Bird 今までにも植物の名前などを教えてくれるアプリはありました。 しかし、目が不自由だと、例えば咲いている花の名前を調べようとしても、 花が近くにあるのか、あることが分かっていても、カメラで撮ることが 困難な場合もありました。 今回は鳥の鳴き声でも、名前を教えてくれるので、 見えなくても対応できそうですね。 あなたが見るすべての鳥を特定するアプリ 「Merlin Bird ID by Cornell Lab」をApp Storeで ※下記URLが長いため、途中で改行しています。 https://apps.apple.com/jp/app/merlin-bird-id-by-cornell-lab/ id773457673 より引用します。 説明 あの鳥はなんでしょう?世界をリードする野鳥識別アプリMerlinに 聞いてみましょう。アプリ「Merlin野鳥識別」がまるで魔法のように その謎を解いてくれます。 Merlin 野鳥識別は、あなたが見たり聞いたりした鳥を識別する際に 役立ちます。Merlinと他のアプリの違いは、鳥の観察情報や音声、 写真の世界最大のデータベースであるeBirdと連動しているところです。 Merlinには、鳥の識別に役立つ4つの楽しい使い方があります。 1.簡単な質問に答える 2.写真をアップロードする 3.鳴き声を録音する 4.地域の鳥を検索する 一度だけ見たことがある鳥に興味がある人も、観察した鳥を すべて識別したい人も、このコーネル大学鳥類研究所による無料アプリで 調べることができます。 Merlinを使うことで ・専門家による識別のヒント、分布域の地図、写真、音声によって、 見た鳥について学び、バードウォッチングのスキルを身につけることが できます。 ・住んでいる場所や旅行先で見られる鳥のリストをカスタマイズできます。 ・「Merlin野鳥識別」は、鳥類の専門家により、あらゆる人のために 作られました。 ・Merlinは世界中、どんな場所でも、どんな鳥についてでも調べることが できます。 ・10億件以上の野鳥の観察記録を持つ世界的なデータベース「eBird」と 連動し、観察記録を残すことができます! Merlinの機械学習 ・ Visipedia を搭載した Merlinの写真識別と音声識別は、 ディープラーニングにより、その写真や音声の鳥を識別します。 Merlinは、コーネル大学鳥類学研究室のマコーレー・ライブラリーに 保存されている、eBird.orgによりバードウォッチャーから収集された 数百万の写真と音声のトレーニングセットに基づいて、鳥類を認識するように 学習します。 ・経験豊かなバードウォッチャーが、観察情報や写真、音声を キュレーションし、注釈を付けてくれることにより、Merlinは最も正確な 識別結果を提供します。 驚きのコンテンツ ・メキシコ、コスタリカ、南米、ヨーロッパ、アフリカ、中東、インド、 オーストラリア、韓国、日本、中国など、世界中のあらゆる地域の鳥の、 写真、さえずり、地鳴き、識別のヒントが含まれる「バードパック」を 選ぶことができます。 ・あなたの国の言語で利用できます。Merlinは、英語、スペイン語、 ポルトガル語、フランス語、ヘブライ語、ドイツ語、日本語、韓国語、 トルコ語、マラティー語、マラヤーラム語、アフリカーンス語、アラビア語、 インドネシア語、ロシア語、簡体中国語、繁体中国語で利用できます。 コーネル大学鳥類学研究室の目的は、何百万人もの人々が 鳥について学べるよう支援することです。鳥と自然に対する理解と 保護を向上させるという私たちの非営利の使命は、 コーネル大学鳥類学研究室のメンバー、サポーター、市民科学に 貢献する皆さまのご協力により、実現されています。                           文責:園 順一 ───────────────────────────────── [2] サポートお役立ちサイト −−−−−−−−−−−−−−−−−  見て役立つお勧めサイトをご紹介。 ◎おしゃれは大切 マスクもなくなり、お化粧の話題もいろいろと出てきましたね。 生き生きとした生活には、おしゃれ、というのは大切なことですね。 ファンケルは、視覚に障がいのある方へ外出して人に会うことや、 おしゃれを楽しんでいただきたいという想いから、セミナーを2013年から 実施しており、2022年7月までの開催実績は104回、延べ1,174人以上の方に 参加いただいています。 フルメイクをした参加者からは、「メイクすると自分に自信が持てる。 おでかけしようという意欲がわいた。」 「見えなくなってから、メイクはあきらめていた。化粧品売場なんて こわくて行けなかった。」 こんな声も出されているようです。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://www.fancl.co.jp/clip/sdgs/2309-01/index.html ───────────────────────────────── [3] ここが知りたい!団体運営のヒント −−−−−−−−−−−−  課題はありませんか?資金、活動場所や教材、そして会の活性化。 ◎消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)について 10月1日から実施される消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式) への対応はお済ですか? 内閣府のNPOホームページでは、この制度についての解説や対処方法などが 分かりやすく紹介されています。 関係者の方は、ぜひ参考にしていただければと思います。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://www.npo-homepage.go.jp/news/invoice ───────────────────────────────── [4] ソフトウエア・ハードウエア情報 −−−−−−−−−−−−−  チェックしておきたい最新のソフト、ハード。 ◎Windows画面拡大表示ソフト、「ZoomText 2023 日本語版」 今回は、7月3日に有限会社エクストラから発売された Windows画面拡大表示ソフト「ZoomText 2023 日本語版」をご紹介します。 ZoomTextはWindowsの表示画面を拡大し、見やすくするために開発された ロービジョンの方向けのソフトウェアです。 拡大機能のみのZoomText2023と読み上げ機能も備えたZoomText2023+リーダーを お選びいただけます。 新機能と改良点は以下の通り。 関連画面:拡大画面の表示範囲外にある関連アクティビティを拡大画面内に 表示します。現在Windowsスタートメニューの検索ボックス、 Excelの数式バー、Wordのコメントに対応しています。 中央追従:拡大画面中央にマウスポインタを固定表示する機能です。 本来の画面端まで拡大画面中央に表示できるようになりました。 音切れ抑制機能の追加(+リーダーのみ):Bluetooth機器から出力する音声や 音が途切れてしまう問題を解消できます。 アーリーアダプタープログラム:開発中の新機能やアップデートされた機能を 正式リリース前に試すことができます。 ZoomText+リーダーの読み上げ機能は画面拡大機能を使いながら 音声読み上げを行います。拡大画面を確認しつつ音声で ユーザをフォローすることに特化した機能です。コントロール情報読み上げ、 APP Reader機能によるアプリケーション内のテキスト読み上げなどが 可能です。 ●動作条件 OS:Windows11、Windows10の64ビット版の各エディション タッチスクリーン:5点マルチタッチディスプレイが必要 USBカメラ(HD)を接続する場合:USB2.0ポートが必要 +リーダーの読み上げ機能はJAWS以外のスクリーンリーダーと併用できません。 ●価格(税込) ZoomText 2023 新規:107800円、日常生活用具給付等事業制度候補品 2022からのバージョンアップ:33000円 ZoomText 2023+リーダー 日本語版 新規:143000円 ※バージョンアップ版のご購入には、ユーザー登録が必要です。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 http://www.extra.co.jp/zoomtext/index.html ───────────────────────────────── [5] ひろば 読者のページや各団体の情報など −−−−−−−−−  みんなで作ろう!サポートの輪 ◎視覚障害者向け総合イベント「サイトワールド2023」のご案内  ふれてみよう!日常サポートから最先端テクノロジーまで *開催日:11月1日(水)〜3日(金・祝) *時間:10:00〜17:00(11月3日は16:00まで) *会場:すみだ産業会館サンライズホール ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://www.sight-world.com/ ◎中山視覚障がい当事者 ICTサポーター養成講座のご案内 認定NPO法人神戸アイライト協会では、視覚障害当事者を対象とした ICTサポーター養成講座を開催します。 パソコンや iPhoneなど、自分も困った、または今も困っているけど 同じように困っている人の助けになりたい。という気持ちをお持ちの方の 受講をお待ちしています。できなくても大丈夫です。 *開催日:11月11日(土)・18日(土)・25日(土) *時間:13:30〜16:00 *会場:中山記念会館 2階 *参加費:無料 *定員:3名 *申込:神戸アイライト協会 078-531-6340 へお電話ください。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://eyelight.eek.jp/gyotei.html#r ★このコーナーは読者のみなさんからの投稿を中心に作っていきたいと  考えていますので、サポートや団体運営で疑問を感じていること、また  技術的な質問や「自分のところはこうしている」というようなご意見など  何でも構いませんので、メルマガ末尾に記載のアドレスまでお気軽に  お寄せください。 ───────────────────────────────── [6] SPANからのご案内 SPANが開催する講座などのご案内やご寄付のお願いです。 多くの方に私たちの活動を知っていただければ幸いです。 *講座の開催 SPANでは以下のような講座を開催しています。 ★教室での訓練や講座、またジョブコーチによる支援を再開しています。  ただし、一部はオンラインによる実施となっています。  詳しくはお問合せください。  ・ 個人対象講座   マンツーマンで学んでいただく講座で、内容や日程はご相談の上   決めていきます。初歩から職業スキル向上まで多様なニーズに   対応できます。  ・ グループ講座   グループ(2〜4名)で同じ内容を学んでいただく講座で、内容や日程は   ご相談の上決めていきます。受講料は個人対象講座より割安です。  ・ 遠隔講座   ネット通話アプリZoomミーティングなどを利用して行う講座で、   教室に来なくても学べます。   内容や日程はご相談の上決めていきます。  ・ 在職者訓練   東京都内に在勤、または在住の就労中の視覚障害者を対象とした   職業訓練で費用負担はありません。   → 現在、令和5年度下期の訓練の受付を行っています。  ・ジョブコーチ支援   訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援です。視覚障害者が   勤務する職場環境の整備や職業スキルの向上を図ります。   詳しくは、東京障害者職業センター、またはSPANに  お問い合わせください。  東京障害者職業センター   https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/tokyo/  ・ 企業研修   視覚障害者が在籍する企業からの委託により実施する職業研修です。   内容や日程はご相談の上決めていきます。 上記の各講座や訓練は常にお申し込みを受け付けています。  ・ 土曜講座、ワンポイント講座   原則として土曜日にテーマを決めて実施する講座です。   また、ワンポイント講座はテーマを絞って1〜4時間で学ぶ講座です。   いずれも遠隔で実施する場合があります。   内容や日程はその都度Webサイトでお知らせします。   → 現在、11月3日のPowerPointに関する講座の募集を     行っています。  ・ インストラクター養成講座   視覚障害者に対するパソコンサポートをしていただく方のための講座で、   原則として奇数月の第2日曜日に開催します。   → 現在、11月12日の第136回講座の募集を行っています。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/activity/#future20221211 *資格取得コース  視覚障害者が受験できる資格試験受験のための対策講座を行います。  現在、以下の資格取得コースの募集を行っています。  ・ 日商PC検定2級データ活用  2024年1月期  ・ 日商PC検定3級文書作成 2023年10月期  ・ 日商PC検定3級データ活用  2023年10月期 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/certification/ *ご寄付のお願い SPANは外部からの補助を受けずに自主運営している団体です。そのため、 みなさんからのご寄付が、活動を続けるために不可欠なものとなっています。 どうぞみなさんのお力でSPANを支えていただければうれしいです。 ▼詳しくは下記をご覧ください。 https://span.jp/support/ ───────────────────────────────── [7] 編集後記 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− この秋は、4年ぶりにサイトワールドが開催されるなど、多くの対面での 活動が戻ってきました。 一方で、古いタイプの携帯電話が使えなくなる、いわゆる 「2025年問題」など、視覚障害者を取り巻く事情は、まったなしの状態です。 本当の意味での「実りの秋」を迎えるため、私たち支援者に何ができるかが 問われていると思います。  今回の「視覚障害者PCサポート」、いかがでしたか? みなさんと情報を共有することで一人でも多くの視覚障害者がパソコンの 楽しさと有用さを知り、サポートの輪が広がればと願っています。 次号は10月27日配信の予定です。 ───────────────────────────────── ▼メールマガジンのバックナンバーはこちら https://span.jp/useful/magazine/index.html ▼配信停止や配信先の変更、また、ご意見や感想はこちらまでお願いします。 office@span.jp ★尚、迷惑メール対策の一環として、「@」を全角で表示しています。  メールアドレスとしてお使いになるときは、半角に訂正してくださるよう  お願い致します。   編集・発行:NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク           SPAN(スパン)メールマガジン編集部     発行責任者:北神 あきら https://span.jp ★本メルマガの内容を許可なく複写、転送、改変することを禁じます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━