広報誌 SPAN2019 第6号 2019年6月発行 ~ 視覚障害者のPC・ICT利用を進めるための掛け橋となることを目指して ~ ICTで視覚障害者の社会参加と就労を支援 SPANは 視覚障害者のSの略 パソコンのPの略 アシストのAの略 ネットワークのNの略 スマート家電で快適な生活を SPAN理事  園(その) 順一(じゅんいち)   一昔前までは考えられなかった様な生活環境がはじまっています。 スマート家電を取り入れて、快適な生活をはじめませんか。  iPhoneをはじめとするスマートフォンの発達で、多くのことが見えなくても調べたり操作できる状況になってきています。ところが使い方を勉強したり、家にいても常に手元に置いておく必要があるため、十分に使いこなしていない方が多いのではないでしょうか。そんな中、一昨年末頃からスマートスピーカーの販売が始まりました。  これはセットアップに多少の知識が必要ですが、利用するには話しかけるだけでよいのです。 さらにスマートリモコンと組み合わせることにより、家電(照明、エアコン、テレビなど)の操作が声だけでできます。詳しくはSPAN発行のメルマガ「視覚障害者PCサポート」をお読みください。   以下のページにバックナンバーが掲載されています。    http://span.jp/useful/magazine/  そしてもう一つがスマート家電です。 最近の電子レンジや洗濯機、テレビなどがスマートフォンで操作できるようになってきてい ます。家電量販店などに行かれたとき、店員さんに確認してみましょう。 目が利用できなくても、声や耳を活用することでできることが増えてきています。  写真は視覚障害者の間でも利用が進むスマートスピーカーで現在使用しているものです。 SPANの活動理念* SPANは、1999年11月に発足し、2001年にNPO法人の認証を受け、視覚障害者のパソコンやICT(情報通信技術)の利用が快適・積極的に進むよう、点在する組織や情報を繋ぎ合わせることを目指す有志によって活動を続けています。 SPANの特徴と活動* ・特徴 ・ 視覚障害者と晴眼者が同じ立場で活動している ・ 初級講座から職業訓練まで、幅広いニーズに応えられる ・ Microsoft Officeのマニュアルなど、豊富なテキストを制作 ・ Skypeを利用した講座など、多様な講習形態に対応 ・ Windows10やスマートフォン・タブレットPCなど、最新の技術にチャレンジ 活動 図:9つの活動  サポートスタッフへの講習会の開催  他の関係団体の設立及び運営支援  機関紙の発行  PC教室開催と普及  個人や団体、行政との情報交換  社会参加と就労を支援  ハード/ソフトウェアの評価及び提言  PC活用促進の情報収集と提供  その他の事業 図終わり 2ページ目 これまでの活動 2018年1月~2019年5月活動実績 表1:講座・職業訓練等 ○土曜講座 Word、Excel、PowerPoint、HTML、労務・税務などをテーマに5回実施 ○個人対象講座 受講する方のニーズに応じた内容で49回実施 ○インストラクター養成講座 視覚障害者へのパソコン指導の基本を学ぶ講座として6回実施 ○タブレットサロン iPhone、iPadを学ぶ場として15回実施 ○在職者訓練 在職中の視覚障害者への職業訓練を11回実施 ○タブレット体験会(札幌市・鹿児島市)を実施 ○視覚障害者への職業講習(札幌市)を2回実施 ○視覚障害者への職業講習(神戸市)を3回実施 ○自治体、企業・団体からの委託によるパソコンやタブレットなどの講座を7回実施 ○企業の新入社員研修において講演とPC等のデモで協力 表2:イベント等 ○第27回視覚障害リハビリテーション研究発表大会(神戸市) ポスター発表で参加 ○ロービジョンセミナー SPANの活動紹介で出展 ○視覚障害者職業スキルアップセミナー 資格取得をテーマに開催 ○神戸市で視覚障害者就労促進フォーラム、支援者向けセミナーを開催 ○企業が主催するコンサート2回において、QRコードを利用したプログラム読上げのデモで協力 ○チャリティー販売会(日本ユニシス)に参加 表3:テキスト制作・情報提供 ○視覚障害者向けiPhon・iPad操作マニュアルを制作 写真1:視覚障害者就労促進フォーラム 「職業訓練が就労を支える」をテーマに開催。写真は基調講演の様子 写真2:タブレット体験会(鹿児島) iPhoneやiPadの操作を学ぶ視覚障害者のみなさん 写真3:企業研修でスピーチ 新入社員のみなさんへ視覚障害者のICT利用について紹介 写真終わり これからの活動 2019年活動予定 (6月~12月) 表4:講座・職業訓練等 ○土曜講座 Word、Excel、PowerPointなどをテーマに計画 ○ワンポイント講座 Word・Excelの活用法などをテーマに計画 ○インストラクター養成講座 視覚障害者へのパソコン指導の基本を学ぶ講座として計画 ○タブレットサロン iPhone、iPadを学ぶ場として計画 ○在職者訓練 在職中の視覚障害者への職業訓練を計画 ○タブレット体験会 福島・新潟を計画 ○資格取得 対策コース開設を計画 表5:イベント等 ○ロービジョンセミナー SPANの活動紹介出展予定 ○視覚障害者職業スキルアップセミナー PCスキル活用をテーマに計画 ○第28回視覚障害リハビリテーション研究発表大会(盛岡市) ポスター発表参加予定 表終わり 3ページ 会員に 「ちょっとインタビュー」 ○会員 秋田(あきた) 百合(ゆり)江(え)さん 2017年入会 顔写真あり 笑顔で続けて、広がるサポート Q:SPANとの出会いのきっかけは? A:以前、広島に住んでおりその頃から障害者のICTサポートをしていました。東京に引っ越して2年経ったころ、こちらで人の輪や活動を広げたいと考え、インストラクター養成講座を受講しました。広島でサポートを始めた時は数日間の講座を受けましたが、SPANでは1日だけの入門編で、気軽に一歩踏み出せました。 Q:SPANではどんなことに参加されていますか? A:講座やイベントのお手伝いが中心です。今年は、岩手で行われたサポーター向けの講習に同行し、初めて東北に行きました。全国に繋がりがあるSPANならではの活動の広さだと感じました。 Q:障害者のサポートというと多岐に渡ります。なぜICTの支援を始めたのですか? A:実はパソコンは苦手でした。足を患っていた母が、高齢者/障害者向けのパソコン教室に通う送り迎えをしていた時、「あなたも見ていないで参加したら?」と勧められて受講しました。やってみると楽しくて、自分でもどんどん調べたりするようになりました。身に着けた便利な知識が誰かの役に立てば嬉しいと考えて、視覚障害者のパソコンサポートを始めました。やがて、住んでいた東広島市の地域で活動できるように、対象を障害者に広げて、自らボランティアグループを作りました。 Q:SPANの活動の他に、普段なさっていること、趣味など教えてください。 A:東広島のグループの仲間から連絡をもらうので、年に一度、地域の障害者イベントでSPANでの経験を紹介しています。趣味はかばん作りです。自分で考案した方法でバッグなどを作り、発表しています。考え方を広げ、いろんな人に合わせてよい形を工夫するということは、オリジナルのかばん作りとパソコンサポートの共通点です Q:ご家庭を持ちながら、SPANの活動にも積極的な秋田さん、継続の秘訣ってありますか? A:空いた時間に無理なく参加しています。スタッフ募集で、都合がよい時にはすかさず申し出ています。みなさん、いつもにこにこされていて、挨拶や感謝の言葉がたくさん交わされます。見えている人同士だと、笑顔の表情は続きません。視線だけで言葉が省略されるからです。言葉や表情を豊かに使う場の気持ちよさが魅力です。 聞き手:上田 喬子 ○会員 富岡(とみおか) 宜喜(のぶき)さん  2011年入会 顔写真あり こわがらずに触ってみよう! Q:SPANに入会されたきっかけは? A:現在、群馬県で視覚障害者のパソコンサポートをしています。さらに多くの視覚障害者の方のパソコンのサポートをしてみたいと思い、ネット検索をしていたところ、SPANの情報を知り入会いたしました。 Q:現在、SPANでどのような活動をしていますか? A:メルマガ「視覚障害者PCサポート」の構成をしています。メルマガ読者のみなさんにもっと投稿してもらえるようなテーマの提案ができたらいいなと思います。 Q:普段、SPANの活動以外に、趣味などどのようなことをされていますか? A:2002年にパソコン教室に行き、インターネットで飛行機のチケットが簡単に取れるようになったので、旅行を楽しんでいます。最近も子どもといっしょに大阪までコンサートを聴きに行ってきました。コンサートチケットもネットで取得しました。ほかには、以前にエレクトーンを習っていたのでバンドを組んでいたこともあります。もうずいぶんやっていませんが、また音楽を始めたいですね。 Q:今後、SPANの活動でやってみたいことはありますか? A:スカイプを用いた個人対象講座のサポートをしてみたいです。ネット関連であれば自信があります。オフィスなどもっと勉強したいので、以前のように、地方でもインストラクター養成講座を開いてもらえたら参加したいです。 Q:みなさんへのメッセージをお願いします。 A:スマホもパソコンもどんどん便利になっていきます。みなさんといっしょに楽しんで使うことができるといいなと思います。初心者の方はスマホやパソコンをこわごわ触られます。スマホもパソコンも落とさない限り壊れることはありません。こわがらずに思いきって触って欲しいです。 聞き手:平川純 4ページ目 SPANの活動紹介 SPANの原点「インストラクター養成講座」   技術の進歩は視覚障害者に多くの可能性を与えてくれていますが、そうした技術を視覚障害者に伝える人材が不足しています。 SPANは創立以来、視覚障害者にICTのサポートをしていただく人材の養成に力を入れており、その中心となっているのが「インストラクター養成講座」です。これまでに120回以上開催し、500名を超える方がこの講座を受講しました。 その意味で、この講座はSPANの活動の原点ともいえます。 原則、奇数月の第2日曜日に開催しています。視覚障害者のサポートに関心のある方の参加をお待ちしています。 写真:インストラクター養成講座で学ぶみなさん 写真終わり SPANでは、職業スキルの向上を目指す方はもちろん、ICTスキルを高めたい方、また支援をする方のために以下の講座を実施しています。  ・個々のニーズに応じてマンツーマンで学ぶ個人対象講座  ・数名で同じテーマを学ぶグループ講座  ・無料通信ソフトSkypeやFacetimeなどを利用した遠隔講座  ・就労中の視覚障害者を対象とした在職者訓練、社員研修  ・テーマを決めて実施する夜間講座、土曜講座、ワンポイント講座  ・視覚障害者の指導をする方を対象としたインストラクター養成講座 ○ご寄付のお願い 私達は視覚障害者がICTを使いこなすことにより、自立し社会参加、就労していけるよう活動していますが、公的な補助を受けず自主運営している団体です。皆様からのご寄付が活動を維持するための貴重な財源となっています。 この活動に共感していただける方のご支援をお願い致します。 振込先: 郵便振替口座 00110-4-183315 スパン寄付金口 ○写真:SPANの教室、講習の様子 「スカイプラザ」の愛称で呼ばれ、コンパクトでアットホームな雰囲気です 写真終わり 奥付 2019年6月20日 発行 特定非営利活動法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク(SPAN) 〒108-0014 東京都港区芝5-29-22 フェリス三田1103 電話&ファクシミリ 03-6435-1614 E-mail office@span.jp URL http://www.span.jp/ Facebook https://www.facebook.com/span.jp Twitter https://twitter.com/npo_span 以上 広報誌 SPAN2019 第6号 終わり