視覚障害者PCサポートフォーラム2006のご報告

更新:2006年 7月 9日 22:00


フォーラムの概要
基調講演の内容
分科会Aの内容
分科会Bの内容
全体会議の内容
サポート団体へのアンケート結果
フォーラム参加者へのアンケート結果
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フォーラムの概要:

●名称
未来へつなげ!虹のかけ橋
―視覚障害者PCサポートフォーラム2006―
●開催日・会場
1. 開催日:2006年5月13日(土) 10:30〜16:40
2. 会場:TEPIAホール(東京都港区北青山)
●参加者 123名
●主催 NPO法人 視覚障害者・パソコン・アシスト・ネットワーク(SPAN)
●後援 経済産業省 厚生労働省 総務省 東京都 (財)機械産業記念事業財団 (財)車両競技公益資金記念財団
●協賛 柏朋会 日本網膜色素変性症協会 (株)立花プランニングオフィス
●プログラム
1.10:30〜10:50 開会式
2.10:50〜12:00 基調講演
講師 越塚 登 氏 東京大学助教授、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所副所長
演題 「パソコンからキーボードが消える日」
基調講演の内容

 [基調講演の写真]
3.13:30〜15:30 分科会 
*分科会はA/B二つの会場で行われました。
A. 講習・指導に関わる問題(教室、訪問、メール、遠隔、教材)
  コーディネーター 松坂 治男氏(NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク)
  パネラー 飯村 富士雄氏(NPO法人 札幌チャレンジド)
       宮尾 勝氏(全国視覚障害者インターネット接続支援連絡会)
       新井 愛一郎氏(NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク)
分科会Aの内容

[分科会Aの写真]
B.団体運営に関わる問題(資金、活動場所、スタッフ養成、活性化、事業展開)
  コーディネーター 園 順一氏(京都福祉情報ネットワーク)
  パネラー 鈴木 信一氏(NPO法人 トライアングル西千葉)
       増本 旭氏(視覚障害者情報機器アクセス支援グループ)
       古川 繁子氏(パラボラ相模原)
分科会Bの内容

[分科会Bの写真]
4.全体会議 15:40〜16:40
全体会議の内容

[全体会議の写真]
展示・企業出店
1.展示 10:00〜16:00 ホワイエ
各団体から提供されたテキスト、教材、教育用ソフト、教室のチラシなどを展示しました。
2.企業出店 10:00〜16:00 ホワイエ 
パソコン教育に関する教材、書籍等の展示を行いました。
<出店企業名(順不同)>
●潟宴rット
●潟Xカイフィッシュ
●潟xスマックス
●アイネットワーク(有)
●KGS
●パナソニックコミュニケーション
●シナノケンシ
●(有)読書工房
●潟Cンフォメーションヒーローズ
●NPO法人ふれあいの輪
●(有)エーアンドエフコーポレーション
*その他、SPANによるテキストの紹介を行いました。
●懇親会 17:00〜19:00 ホワイエ
参加者 52名

[懇親会の写真]
 フォーラム終了後、ホワイエにて懇親会を行いました。各地から参加した方々のあいさつなどがあり、リラックスした雰囲気の中でさらに交流を深めることができました。

基調講演:


基調講演要旨
基調講演レジュメ

●講師 越塚 登 氏 東京大学助教授、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所副所長
●演題 「パソコンからキーボードが消える日」

●講師プロフィール
1994年 東大院・博士課程修了、博士(理学).
1994〜1996年 東工大院・情報理工学研究科・助手.
1996〜1999年 東大院・人文社会系研究科・助教授.
1999〜2006年 東大情報基盤センター・助教授.
2006年〜   東大院・情報学環・助教授.
2002年3月より、YRP・ユビキタスネットワーキング研究所・副所長を兼任
現在に至る。

基調講演要旨
 今のパソコンはGUIが進んだ結果、視覚障害者には使いにくい方向で発展してしまった。それを解決する技術開発はされているがコストの問題で商品化されにくいという問題がある。
ユビキタスコンピューティングは「いつでも、どこでも」使えるコンピューターを目指しているが、これは同時に「誰でも使える」にもつながる。ユビキタスはユニバーサルデザインにも共通するものである。
現在、全世界で使われているコンピューターのうちPCが占める割合は2%程度で、あとは携帯電話や自動車、家電製品などに組み込まれているコンピューターである。
0・3ミリ角のゴマ粒の様な小さなコンピューターチップスもある。たとえば薬や野菜などの商品に付けて品質の情報を表示させたり、自動認識させたり様々な使い方をすることが出来る。人間にも付けて、その人に合わせて情報を知らせることも出来る。電子タグを道路に埋め込み位置情報を知らせるなど街中をユビキタス化することも夢ではない。
PC以外のコンピューターが主力になることで生じるいくつかの問題がある。まず1つ目として、初期段階でユニバーサルデザインにしておかないと後で対応することが難しいという組込みコンピューター特有の問題がある。ユビキタスは生活のあらゆる場面でコンピューターを使えるようにすることなので、ユニバーサルデザイン化されていないと対象外の人にとって何も出来ないことになってしまい日常生活に支障をきたす。ユニバーサルデザインは技術的には可能でも価格の問題で出来ないことがある。しかし、特注品は高くつくが汎用性を持たせ大量生産ラインに乗せることでコストダウンを図ることが出来る。つまり、特定のニーズをもった人だけでなく、できるだけ多くの人にも共通して使える技術を採用することでコストダウンにつながる。
  例えば、アメリカで法制化されているテレビのクローズドキャプション(文字放送)は、もともとは聴覚障害者のためのものであったが、外国人など言葉を聞き取りにくい人にとっても役に立つ。又その技術を使ってインターネットでテレビ番組をキーワード検索することも可能にした。逆に、携帯電話のメール機能は障害者を意識したわけではないが、結果として聴覚障害者のコミュニケーション手段として広く使われている。そしてユビキタス化することがユニバーサルデザインにもつながり、更にニーズも出てくる。
今のコンピューターはPCが主力ではないが、PCは今後も残るだろう。ただその役割はワープロや表計算やインターネットや電子メールといった限られた用途になると予想される。ただまだこれからも永年に使われ続けて行く可能性が高いので、不十分な点は直していく必要がある。
[質問]
 新製品の展示会で電気調理器具の音声化についてメーカーに要望したが返事をもらえなかった。
[越塚]
 初期設計の段階からユニバーサルデザインの考え方を入れていくことが重要で、後から入れるのは、特に家電ではコストの面もあり難しい。JRの券売機の開発に携わったが、後からユニバーサルデザインにしたが比較的うまく行った例。技術者に悪意はないのでユニバーサルデザインの考え方を技術者教育の中に入れていくことも大事ではないか。

基調講演レジュメ
 最近よく耳にするユビキタスとは「いつでもどこでも」ということです。ユビキタスコンピューティングが普及すればいつでもどこでも誰でもICT(Information and Communication Technology)の恩恵に浴することができるようになります。
 一方、ユニバーサルデザインは身体に障害を持つ一部の人のための技術という捕らえ方をされますが、実は全ての人に関連する技術であるという考え方が重要です。
 これら二つの技術は環境と身体条件のミスマッチを埋めるという点では共通の技術といえます。
 例えば、コンピュータの画面を読み上げる技術は、目が見えない方がコンピュータを使うための技術として開発された経緯がありますが、暗闇では晴眼者でもコンピュータの出力を見られませんし、自動車の運転中も画面を見ることはできませんので目が見えなくてもコンピュータが使える技術というのは、広く様々な状況下で有用性があります。
 また、携帯電話は電子メールやブラウザなどの文字情報が扱え、さらに振動や光で着信を知らせる機能があるため、聴覚障害者への普及度が視覚障害者への普及度よりも高いとも言われています。現在の携帯電話はあらゆる環境で使う、まさにユニバーサルにデザインされたユビキタスコミュニケーションツールだからでしょう。
 今回はユビキタスとユニバーサルという面から今後のICT社会がどのようになるかを展望します。

分科会A:


分科会Aの要旨 講習、指導に関わる問題
分科会 A 資料1 NPO法人 札幌チャレンジド
分科会 A 資料2 全国視覚障害者インターネット接続支援連絡会(ASV)
分科会 A 資料3 SPAN(視覚障害者パソコンアシストネットワーク

分科会Aの要旨 講習、指導に関わる問題
  コーディネーター 松坂 治男 (SPAN=NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク)の司会により、以下の3名のパネラーによる現状と問題点の発表があった。
飯村 富士雄氏(NPO法人 札幌チャレンジド)の発表要旨。会の沿革に続き、視覚障害者向けの訪問および団体指導についての説明。指導は有料で、訪問指導は90分で3000円、団体は2時間半で1300円としているが、これは対価を得ることによって指導者側の責任と自覚を促すものであると同時に、障害者の就労支援の意味ももっている。障害者の内、指導を受けた者で今度は指導者側に回るものも多く、現在指導者の約半数に上り、常に障害者が参加した形で運営されているという点が大きな特徴と思われる。
宮尾 勝氏(ASV=全国視覚障害者インターネット接続支援連絡会)の発表要旨。視覚障害者のパソコントラブルを、訪問支援によって解決しようとする晴眼ボランティア団体で、交通費と実費以外は無料支援。支援の要請を受けた場合、それが販売店に任せるべきものか、ボランティアが出向くものかを十分に検討した上で支援するかどうかを決定する。訪問支援は2人一組で出向くが、これは1名がユーザに対する説明役となる他、思い違いなどによるトラブル発生を防ぐため。訪問先では、ユーザ自身による操作をしてもらい、問題解決後もユーザが自分で操作して状況を確認してもらう。現在、依頼件数は減少しているが、今後、TVや携帯などとパソコンとをリンクして使う場合が増えル可能性があり、依頼件数も増えるのではないかと思われる。
新井 愛一郎氏(SPAN=NPO法人 視覚障害者パソコンアシストネットワーク)の発表要旨。パソコン講習会、アシスタント養成講座も行っているが、ここでは電話による遠隔講座について。視覚障害の受講生は講習会場への移動も困難が伴い、また、訪問指導も、指導者が視覚障害者の場合は困難である。そこで、電話での講習を、車両記念財団の協力で実証実験を行った。受講生には必要なハードのフルセットを丸ごと無料で貸与し、それは、ピッチカードをつけたXPノートマシン、テプラフォン機能付きの電話機、外付けスピーカー、109キーボードからなっている。現在までの受講生は19名、講師は11名で内8名は視覚障害者。終了後のアンケートでも、受講生からは十分役に立ったとの結果が得られたが、これには、受講生と講師との1対1の信頼関係が大きく効いたと思われる。
10分の休憩の後、14:45より質疑応答に入る。
1.指導者側のボランティアのレベルをどのように保つか、の質問に対し、指導に対価を支払い、責任と自覚を促す。レベルアップの講習会やチェックの会を開く。経験の豊富な人と浅い人を組み合わせる。指導者側に判らないことは判らないという勇気をもってもらうようにする。などの回答があった。
2.電話による遠隔サポートの具体的方法に関する質問に対し、電話代は最近安くなり、それほどの負担にはならない。将来はネット電話も考慮する。テプラフォン電話で、十分にパソコンの音声は聞くことが出来た。受講生に送るハード一式は、受講生でも簡単に配線できるものにした。受講生と講師には同じ設定のマシンを用意して対応したので、ハードトラブルは少なかった。などの回答があった。
3.ASVの宮尾さんへの質問に対し、支援依頼の内、業者に可能なものは業者に依頼するように断るが、どのように業者にトラブルを説明するか、を指導する。今まであったトラブルと対処報をデータベースにして公開することは、検討したい。などの回答があった。
4.パソコン購入はサポートしてもらえないのか、の質問に対し、近くのお店までよく一緒に購入に出かける。むしろキーボードの購入に注意が必要。一般の業者は紹介しないが、ここに出品しているような視覚障害者を理解している業者を紹介する。XPリーダーを預けておいて、マシンとリーダーの相性を確かめてくれるようなお店を用意している。などの回答があった。
5.弱視の受講生への対応の仕方の質問に対し、場合場合により、スクリーンリーダーを使う人、フォントを拡大する人、あるいはこれらを併用する人など、一番適切そうな状態で講座を受けてもらう。との回答があった。
6.受講生さんの生活向上に、講座がどこまで役に立っているかをチェックする方法についての質問に対して、その講座がどこまでどのように取り扱うか、を前もって理解してもらってから受講してもらえば、余分な思い込みもなくなり満足してもらえると思う。という回答があった。

分科会 A 資料1 NPO法人 札幌チャレンジド
1 表題: 「障害者に対するパソコンの普及と社会参加、就労支援を柱にして」
2 所属・発表者:
NPO法人 札幌チャレンジド 
事務局 飯村 富士雄 
3 会の紹介
パソコンやIT技術の普及を手がかりに、自立を目指すチャレンジド(障害をもつ人)を支援する団体として2000年3月に発足。翌年4月NPO法人格取得。以来、パソコン講習会を中心としてPCの訪問指導、重度障害者支援、就労支援等、様々な活動を展開、継続しています。
4 会のURL
http://www.s-challenged.jp/
5 視覚障害者に対するパソコンサポート
■2001年4月よりの「札幌市障害者向けIT講習会」への講師派遣と併せて、自主事業として訪問講習を始動。
■翌年7月からの日本財団助成事業により視覚障害者への訪問講習を強化。
■2004年4月より、視覚障害者向け団体講習を開始。以後、個人講習と団体講習の2本立てで講習を継続。
また、札幌チャレンジドでは視覚障害者用ソフトの販売代理を2003年より行っており、販売利益を訪問指導派遣費用に充て、ユーザーに対し無料の訪問指導を実施している。
講習の一方では、2002年4月〜翌年3月「情報のユニバーサルデザインに関する共同研究」を開催。視覚障害の側面からのWeb環境に対する考察を深める契機となりました。
いずれの事業についても、視覚障害者が参加し、その成果に大きく寄与しています。
6 活動と取り組み
@ 個人指導のシステムについて 
A団体講習の方法と運営について
B講師養成の問題について
札幌チャレンジドの活動は、障害者に対するパソコンの普及と社会参加、就労支援を柱としています。自主事業としてのパソコン指導は個人指導および団体講習ともに有償が基本。講師に対しては講習の対価が支払われますが、これは受講者に対する責任を持った指導を確保する為と、チャレンジドの就労の場を用意するという二重の意味を持っています。
活動は特定の障害に限定してはいないものの、障害に固有の知識とスキルが必要になります。視覚障害を対象としては、その独自性に対処するべく「視覚講習プロジェクト」を発足させ、活動の母体としています。
また、プロジェクトでは講師養成講座を2004年より定期開催。同じく2004年から札幌市より受託の「障害者のためのパソコンボランティア養成講座」と併せて講師およびボランティアの養成の場となっています。
授業は先ずスクリーンリーダーおよびキーボード操作の基礎技術習得に大きく時間を割き、文字入力・読み上げ確認の習得を経、メール操作の学習で仕上げとすることを目安。墨字およびCD化した音声テキストを用意していますが、授業では、サポートによる例題読み上げ等の補助が必要で、講師の力量もさることながら、サポートによるコミュニケーションが授業を成立させる大きな要因となっています。
個人を対象とした指導から始まりましたが、団体講習を開始することにより、受講者がその場に赴くこと、共に学習する楽しさ、そこから生まれるコミュニケーション等、個人指導では得られないものを成果として受講者、講師共に実感しています。

分科会 A 資料2 全国視覚障害者インターネット接続支援連絡会(ASV)
1 表題: 「視覚障害者(ユーザー)一人一人のニーズに合わせたサポートを」
2 所属・発表者:
  全国視覚障害者インターネット接続支援連絡会(ASV)
  宮尾 勝(みやおまさる)
3 会の紹介
当会は1998年に神戸にて、ユーザーのインターネット接続および利用支援を目的に発足しました。在籍会員は北海道登別から九州福岡まで65名、海外に1名、計66名が在籍しています。会員のほとんどが社会人で、活動は土日、祝祭日を主に行っています。
4 会のURL
URL:  http://asvjp.org
Mail: info@asvjp.org
5 活動内容
現在、ASVの活動は大きく3つの柱で行っています。
1.訪問サポート
主にインターネットの接続利用支援を目的として、ユーザーの自宅へ訪問しPCの設定,トラブル対応などを行っています。
2.オープンサポート
神戸では2000年、東京では2001年から「オープンサポート」という名称で「パソコンよろず相談会」をそれぞれ実施しています。
これはカリキュラムを予め設定した「講習会」でなく、ユーザーのPCに対する相談事にできるだけ答えようという目的で開催しており、PCをはじめるに当たってのアドバイスから、ユーザー個人のPCの操作方法まで、問題解決の支援を行っています。
3.メールサポート
ASV会員とASVのサポートを受けたユーザーで構成されるメーリングリストを運営し、ユーザーのメール送受信の練習場所としての活用やオンラインでのサポートを行っています。

6 具体的な活動や取り組み
ASVでは下記のように3つにフェーズを分けて訪問サポートを実施しています。
1.訪問サポートの受け付け、準備
メールや電話などを通じて、事務局にてユーザーから訪問サポート依頼を受け付けます。様々な用件が依頼されてきますが、全てを受け付けるのでなく「業者がサポートすべき依頼ではないか?」「ASVがサポートできる範疇か?(技術的、時間的、地理的な制約など)」を判断し、サポート可能な場合に、ASV側のサポート条件(交通費負担など)を納得していただき受け付けます。
 次に、担当になったASV会員は依頼ユーザーに直接連絡を取り、担当者名を伝え、依頼内容やユーザーのPC環境等、詳細を確認し訪問日の調整を行います。担当ASV会員は確認した情報を元に、当日スムーズに作業ができるように前準備 (ソフトウェアの設定方法調査や最新パッチのダウンロードなど) を行います。
視覚障害者のPC環境は、ハードウェア,ソフトウェアとも晴眼者が触れたことのないものも多く「簡単に終わるだろう」という思い込みは慎んで、ひとつひとつを確認することを心がけるようにしています。
2.訪問サポート当日
ASVでは基本的に2名で訪問サポートを行うようにしています。これは、1名がPCの操作,設定を行い、1名がその状況をユーザーに説明するのが主な目的ですが、他に、ユーザーとの行き違い防止や、女性のユーザー宅訪問時の配慮などに非常に有効と考えています。
次に作業開始に当たってですが、いきなりサポータがPCを立ち上げるのでなく、ユーザーに操作をお願いし、依頼事項の確認の後作業に入る手順を踏んでいます。これによって、事前聞き取りとの差異を明確にして作業に入ることが可能になります。通常、2時間から4時間くらいを作業時間として見込んで行くのが良いと考えていますが、思った以上に時間がかかってしまう場合は、状況を説明し、再訪問などの手段をとるようにしています。帰宅する時には、かかった費用(交通費など)は清算し、領収書を置いてきます。
3.訪問サポートクロージング
ASVでは会員専用ページに、定型の報告フォームを準備しており、サポート終了時にASV会員で構成するメーリングリストにレポートを投稿し、投稿されたレポートはデータベース管理を行ってサポート情報の共有化と運営の改善に役立てています。
[その他]
個人情報について
ASV会員は、訪問サポートや個人のPCに触れることでユーザーの個人情報に接する立場にありますが、ユーザー個人の連絡先や住所などの管理は事務局が行い、担当者のみに開示する運営を行っています。上記DBなど、ASV内に蓄積されるのは技術情報のみに制限されています。
以上

分科会 A 資料3 SPAN(視覚障害者パソコンアシストネットワーク
1 表題: 「電話による遠隔講座の可能性を探る」
2 所属・発表者:
 SPAN(視覚障害者パソコンアシストネットワーク)
 新井 愛一郎
3 会の紹介
SPAN(スパン)とは、視覚障害者のS、パソコン利用のP、アシストのA、ネットワークのNからなり、視覚障害者のパソコン利用を推進し、アシストする為のネットワークです。
英語のspanという単語が「両岸を結ぶ」という意味があるように、私達SPAN(スパン)も視覚障害者と晴眼者、企業と個人等を問わず様々な人の掛け橋となることを目指したいと考えています。
4 会のURL
http://span.jp/
5 活動紹介
・視覚障害者向けパソコン教室の開設
・アシスタントの養成
・視覚障害者にとってのハードウェア・ソフトウェアの評価
・視覚障害者にとって有益な情報の提供
6 電話による遠隔講座の可能性を探る
(1) システムの説明と使用器機・ソフト
@基本システム
基本は、SPANの指導者延べ5名が、受講者にそれぞれマンツーマンで電話を通して、パソコンの基本操作、文字入力から電子メール習得までをサポートする。(SPANの通常の初級パソコン講座と基本的に同じ内容。)
移動困難な視覚障害者が在宅で、パソコンの基本を習得するというもの。
4回の講座で19人の方が受講、アンケートの結果にも明らかなように、この講座形態が有効であると考えます。
講師は延べ11人、そのうち視覚障害者が8人。視覚障害者の社会活動への参加という意味においても、意味ある講座形態だと感じます。
講座は1回90分、20回30時間を基本にして、3ヶ月、あるいは5ヶ月での機関で実施しましたが、1回の時間を少なくして回数を増やすことなども実施、
A基本的に使用した機器とソフト
・機器
WindowsXP ノートパソコン
109キーボード
USB接続マルチメディアスピーカー
受話器を置いたまま話せるスピーカーフォン機能の電話
PHS回線使用のためのUSBカード
・基本ソフト
WindowsXP
XPReader
ワードパッドまたはメモ帳
MMメール(電子メール)
・テキストなど
墨字版テキスト
テープ版テキスト
内訳
墨字版の全文
操作手順のみの簡易版
五十音の指の対応表
こんな時どうする(起こりそうなトラブルをパターン化した、簡単なトラブル対処のマニュアル)
デージー版
機器は受講生に貸与した。また、講師にも同じ設定のパソコンを用意したが、講師の慣れなどにも規定されるが、同じ設定のパソコンがなくても指導可能なことが実証されている。
開催の前には、オリエンテーションを持ち、器機の説明や、座る位置や姿勢の説明、キーボードへの手の置き方などを十分に説明した。基本的には受講生と講師が会うのはこの機会だけなので、電話では説明しにくい上記の点の説明を重視しました。
Bテキストの工夫
テープ教材の提供、ポイントだけをピックアップしたテキストの作成、困った時の操作マニュアルなど、復習がやりやすくすること、一人での操作がやりやすくすること、等を重視しました。
(2) 成果と問題点について
受講生に対するアンケートより
Q 電話での講座は役立ちましたか
役立った 19人
あまり役立たなかった  0人 
Q 講座を終えて、始める前と比べて、だいぶできるようになったと実感しましたか。
だいぶできるようになった 18人
あまり変わらなかった 1人
・だいぶとはいえないが、概念はわかった。
・妻ができるようになった。
Q その後パソコンを継続して使っていますか。
使っている    16人
使っていない    3人
Q 使っていない人のコメント
・妻が良く使っています。
・今年予定している。
・地域のパソボラにたまに教えてもらう
(3) 遠隔サポートの意味と今後の課題
@受講生と講師の一対一の信頼関係
Aその人に合わせた勉強のペース
Bきちんとした講座のテキストとそれに沿った進行
C音声を頼りに、受講生自信が操作することの充実感
今後の課題
この講座で一番困る時は、音声が出なくなることです。いくつかのパターンは把握できますので、トラブル対処も可能なのですが、どうしても実際に受講生のパソコンの画面を見なければならないときもあります。今後は、受講生の住む地域のボランティアとの協力・連携をとりながらこの方式が行われれば、さらに実施可能なものになると思います。
(今回の、電話によるパソコンの基本操作の習得のための実証実験(遠隔IT教育)は、(財)車両競技公益資金記念財団様のご支援により開催することができました。)

分科会B:


分科会B要旨 団体運営に関する問題
分科会 B 資料1 CATS(視覚障害者情報機器アクセス支援グループ
分科会 B 資料2 特定非営利活動法人 トライアングル西千葉
分科会 B 資料3 パラボラ相模原

分科会B要旨 団体運営に関する問題
視覚障害者PCサポートフォーラム2006のプログラムの一部としてなされた分科会Bにおいて
三つの支援グループがそれぞれの活動について発表をおこなった。
以下にそのグループ名と、簡略したグループでなされているサポート内容を記してみたい。
1 CATS(視覚障害者情報機器アクセス支援グループ)
  NPO-CATS(視覚障害者サポートネット) 
  発表者:増本 旭(静岡福祉大学 社会福祉学部 講師)
視覚障害者専門 サポートの中心は Peer to peer
会員同士、当事者同士が互いをサポートし合うというもの
2 発表者:鈴木信一 特定非営利活動法人 トライアングル西千葉

視覚障害者を中心とした障害者全体を含む、障害者の就労支援をおこなうパソコンサポート
3 発表者:古川繁子 パラボラ相模原
すべての障害者と65歳以上の高齢者をパソコン支援
分科会のコーディネーター自信も京都地方で視覚障害者専門の支援グループを
運営されているので、合計4グループの代表から活動内容や経験をお聞きすることができた。
そのあらすじは、フォーラムで受け取ることのできたCD-ROMに記録されている。
発表後になされた、聴衆から提出された質問には興味深いものがあったので、以下に記してみる。
1.最近、東京で視覚障害者のパソコン勉強会を始めた。これに、集まってくる人の中には
 パソコンを所有していない人もいる。しばらく練習してからパソコンを
 購入したいので、それまでの期間練習するためのパソコンを手にいれたい。
 無償で手にいれることができるのか、可能であればどこから手にいれられるのか?
2.障害者の中には、サポーターに自宅まで出張してもらい、個別のサポートを
 希望する人がいるが、それについては何を基準にして考慮するべきか。
 はたしてそれはほんとうに障害者にとって親切な行為だろうか。
3.グループとしてパソコンサポートや講習をおこなっているが、必要とする場所を
 どのように確保し、安定的・継続的に使用することができているのか。
4.障害者はサポートなどを無償提供されることになれてしまっているので、
 受ける側の障害者は当然のように受けている場合がある。 実際サポーターに
 要求されているパソコンスキルは高度なものであるから、無償ではおかしい。
 交通費など、必要経費も発生していること考慮して各グループは
 こうした問題にどのように対処しているのかを知りたい。
5.各グループの年間予算と、どのようにそれを捻出しているのか知りたい。
6.どのようなスクリーンリーダーを使用しているのか。
 練習用のスクリーンリーダーをどのように手にいれることができるのか。
など、多岐にわたる質問が提出され、各グループの代表者からのこたえや聴衆からの
意見もあり、とても参考になるものが多かったと思われるが、
そのいっぽうで、どの質問に対しても、決定的なこたえもなかったのが実情であった。
しかし、こうした意見の交換で明らかなことは、これらの多くの質問に表明されて
いることで、どれも障害者がパソコンという情報機器を使用するために必要とする
事柄全体を現していると思われる。
それで、この分科会を通じてパソコンサポートのスキルや方法について
グループが個別に独立しておこなうのではなく、グループ同士の綿密な連携や
連絡・情報交換が必要であることを痛感させられたしだいである。

分科会 B 資料1 CATS(視覚障害者情報機器アクセス支援グループ
1 表題: 「サポートの中心は Peer to peer」
2 所属・発表者:
CATS(視覚障害者情報機器アクセス支援グループ)
NPO−CATS(視覚障害者サポートネット) 
増本 旭(静岡福祉大学 社会福祉学部 講師)
3 会の紹介
本会は視覚障害者の潤いある生活の実現を目指して、平成5年に発足。一人でも多くの視覚障害者が、ITを使えるようになって生活を便利に楽しくしてほしいという願から様々な事業を展開してきました。サポートの中心は、あくまで当事者。現在の会員数は100余名、静岡県を中心に長崎から群馬まで会員がいます。 
4 会のURL
 http://www.e-switch.jp/cats/
5 活動内容 
 最も大きな活動として、毎週実施している定例会があります。これは静岡県内の4箇所(静岡市、浜松市、沼津市)で開催しているもので、各会場での日程の前半では視覚障害者に関するIT情報を中心に生活に役立ついろいろな情報を提供したり、参加者同志の情報交換を行ない、日程の後半では個別対応によるパソコンサポートを行なって各自が持ち込んだ課題解決を行っています。
 この他のサポートスタイルとしては電話サポートや訪問サポート、メーリングリストによるサポートなど様々なスタイルを用いて随時行っています。最近ではインターネット電話(スカイプ)を利用したサポートも増えてきています。
 サポート対象となる内容もパソコンの購入相談から、設置、セットアップ、インターネット接続、各アプリケーションの操作法やトラブル対策など、あらゆるものを対象として行っています。
 マニュアルなどの資料は必要に応じ、逐次作成する形をとっています。提供媒体としては拡大文字、点字、カセットテープ、CDなどで提供しています。 
 年3回発行している情報テープ(90分2本)の中にもパソコン講座の時間を設けスキルの向上に役立てています。
 講習会や研修会も、独自事業や委託事業などを行って、より多くの視覚障害者がパソコンを生活の中で使えるようにするために実施しています。
 これらの活動の全ては視覚障害者情報機器アクセス支援グループ(視覚障害当事者グループ)とNPO法人視覚障害者サポートネット(サポート団体)が互いに協力し合いながら展開しています。
6 会の活性化や団体運営などで工夫している点
 本会では視覚障害当事者がサポートの主役を担い、晴眼サポーターは、スクリーンリーダーがサポートしていない画面や音声メッセージが出なくなった場合など、視覚障害者によるサポートが困難な状況に陥った場合に、それを支援するといった方法を基本としています。
 この方法は視覚障害者自身が学んできた体験を生かしてサポートができるため、サポートされる側に理解されやすいとともに、サポートした視覚障害当事者の自信や喜びにもつながり、活動を活性化する原動力となっています。
 またこうしたサポート現場では初心者であっても内容によっては、サポート側に回ってもらいますが、こうした経験は自分の存在価値を再認識することになり、生きていく自信へとつながり、スキル向上の意欲を引き出す結果となっています。
 なお、サポートの方法については本人の希望を最優先するとともに、本人の意欲をそぐような声掛けは避けるようにし、安心して支援が受けられるような帯性をとっています。
 更に会員としての意識や会員間の連携を強化するため、定例会やメーリングリストを通じて、IT情報や視覚障害者に関する情報などが日常的に自由に交換できるような環境も整えています。
本会のこうした様々な活動は、年間会費を納入するという以外は特に規制は設けておらず、いつでも、どこにでも気楽に参加できるようにしてあります。
 そして全会員に対し定期的に発行している情報テープには、各個人宛に「声の便り」を同封し会員継続の意識を高めるようにしています。

分科会 B 資料2 特定非営利活動法人 トライアングル西千葉
1 表題: 「就労の一助としてのパソコン講習」
2 所属・発表者:
特定非営利活動法人 トライアングル西千葉
鈴木信一
3 トライアングル西千葉メールアドレス 
triangle@xpost.plala.or.jp
4 トライアングル西千葉の概略
当法人は千葉市のJR稲毛駅より徒歩3分のところに位置しています。
2003年に特定非営利活動法人の法人格を取得し、視覚障害者を中心とした小規模作業所と障害者のパソコン講習を行っている法人です。
現在、小規模作業所には11名の利用者が通所しており、テープ起こし、名詞印刷、ダイレクトメールなどの発送作業を行っています。
パソコン講習では17年度実績で850名の受講者を数えています。
5 視覚障害者のパソコンサポートについて
パソコン講習においては、パソコンの基本的操作、ワード、エクセル、インターネット、電子メールの操作方法などを講習しています。その他季節により暑中見舞い、年賀状など葉書作成の講習を行っており、講習形態はマンツーマンの講義形式をとっています。
また、自宅への訪問サポートとしてパソコンのトラブル対処、接続回線の設定などを行っております。
パソコンボランティアの養成講座として年数会ボランティアの養成講座を行っています。
6 具体的な活動
千葉県からの委託事業としてパソコン利用促進事業、ITサポート事業を行っており、パソコン講習は火曜日から金曜日、月1回日曜日に講習を行っており、17年度実績で850名の受講生がありました。平日においてはQOLの向上を目的として講習を希望する人が多い反面、日曜日の講習生は業務でパソコンを活用するためにスキルアップを目的とする受講生が多くいます。
中途で視覚障害を受傷し、復職に向け訓練を希望する講習生については、会社の業務においてどのような訓練を必要としているのか、受講生や雇用主の意向に沿った内容のカリキュラムを組んでいます。
障害者高等職業訓練校からの委託でOA事務コースの職業訓練を実施していますが、この訓練は、視覚障害者に特定をせずに他の障害者も受け入れております。
これらの講習や訓練を通じ、17年度においては、4名の就職を実現することができました。内訳としては、弱支社2名、脳梗塞などの後遺症による身体障害者2名です。
サポートにおいては、電話サポート、自宅への訪問サポートを行っております。電話サポートは24時間行っており夜間、休日のサポート依頼が多いのが特徴です。訪問サポートは当法人で組織しているパソコンボランティアの方々に依頼し、自宅への訪問サポートを行っています。サポートとしてパソコントラブルの対応、インターネットなどへの接続のための設定などが主なサポートとなっています。自宅での講習は原則として行っていません。
パソコンボランティアの組織、スキルアップを目的として、ボランティアの養成講座を行っています。視覚障害の基礎的な知識を始めとして、視覚障害者の使用するパソコン環境においての操作方法、特にスクリーンリーダを用いての操作の講義を行っています。

分科会 B 資料3 パラボラ相模原
1 表題: 「すべての障害者と65歳以上の高齢者をパソコン支援」
2 所属・発表者:
パラボラ相模原
代表 古川繁子
3 会の紹介
2001年4月設立、昨年度末の会員数は正会員が193名、メール会員が28名、合計221名。
すべての障害者とその家族、65歳以上の高齢者を対象に、インターネットとメールを中心にパソコンの基本操作に関して支援をしている。対象地域は相模原市とその隣接地域。市内に7つの教室を毎週開催、公民館講習会や市主催視覚障害者講習会を受託。
これまでの過去5年間の活動実績は、支援を受けるすべての人として「受講者」が11,834名、支援する「サポーター」が9,771名で合計21,605名。
2005年度の活動実績は受講者が3,321名、サポーターが2,622名。受講者内訳では障害者が32%、高齢者が41%。その他は27%。障害別では肢体16%、視覚12%、聴覚4%で知的と精神は僅かである。「その他」の人とは、知的障害のない自閉症の方、障害者の家族、サポーター養成講座やレベルアップ講座の受講者、公民館での講座対象者や体験学習の生徒などである。
4 会のURL
http://www.pasobora.jp/sagamihara/
5 活動内容:視覚障害者のパソコンサポートでどんな活動をしているかを中心に
視覚障害者の支援はほぼマンツーマンサポートを行っている。教室では障害の有無や種別を問わず様々な方と混在している。PC-Talkerを使ってのMyEditやMMメール、およびホームページリーダーの操作支援を基本としている。しかし、長く継続している人からはそれ以外のアプリケーションの学習希望があるので、サポーターは「共に学びながらサポート」を心がけている。また、子供へのサポートは個別に2名行っており、小学6年生は3年弱、中学1年生は15ヶ月継続している。
一方、当事者以外に対しての活動としては、ボランティア養成講座で音声ソフトの学習を中心に行っている。中学校高等学校のゆとり教育の時間に市社協が主催する「ハンディキャップ出前体験講座」に参加して、生徒に対し「視覚障害者とパソコン」をテーマに福祉や障害について考える機会を提供している。
6 活動場所の確保や地域とのつながり、また資金などで工夫している点
教室開催の場所については、公共施設の会議室等(有料&無料)や企業の空き部屋(無料、地域への社会貢献として提供)の予約を取り利用している。曜日、時間を固定化しているので、予約が取れない場合は教室を休みにしている。
地域とのつながりは重視している。聴覚障害者が主の教室では筆記通訳グループの協力を得たり、IT企業組合が講習会を開催してくれたり、あるいは、利用施設のフェスタや講習会受託先公民館の「公民館まつり」に参加して、地域住民への情報提供、他団体との連携や交流、を行っている。複数の市民活動団体に属している会員が多いので、口コミで当団体の存在が伝わり参加してくる人も多い。
相模原市は本年3月に神奈川県北部地域3町と合併、1年後には更に2町が加わり広域になる。遠方であっても、特に障害者の支援は出来るように態勢を充実していきたい。
活動資金では、会費(年2,000円)以外に、県や市社協および企業・財団の助成金、事業受託金をより多く得るように努力している。


全体会議:


全体会議要旨
分科会A
「講習・指導にかかわる問題」をテーマに様々な意見交換がなされた。中でも、
SPANが行なった遠隔講座についての発表があり、それにはかなり興味を持たれ
た方が多かった。電話代の問題や、パソコンは不要なソフト(ゴミ)が少ない
ノートPCを推奨したい、などの意見が出た。ほかには、サポート内容をデータ
ベース化して、各団体が情報を共有できる環境作りの可能性について、視覚障
害者の大半を占めるロービジョンに対応した残存視力を活用してのサポートへ
の課題、パソコン指導の評価と指導者のスキルアップについての悩みや質問な
どについて話し合われた。
パソコン選びに関連して、パソコン販売店にスクリーンリーダーや6点入力の
ことをもっと理解してもらうことが必要だが、担当者の移動などで理解者が売
り場に定着しないことが懸念される。その場合、お店としてちゃんと申し送り
をしてもらいたいし、こちらからもそのような働きかけが必要と思う。しかし、
そもそも利用者が少ないなどの指摘がなされ、こうしたことをNHKなどのマス
メディアにももっと取り上げてほしいとの意見も出された。
分科会B
テーマは「団体運営にかかわる問題」について。年間の予算(数十万から数千
万円)、会場(固定した場所が使える団体と予約しても取れずに毎回場所を替
える団体がある)、パソコン(自前のマシンがまだ無い団体もある)、指導環
境(教室に来てもらう、出張で教える)など各団体によって異なる現状とその
解決策が議論された。大切なことは、これで終わりではなく、ここでのつなが
りと問題点を共有していくことが今後をより良いものにしていくとして、各団
体の結束を呼びかけた。
さらに、視覚障害者同士が集まってお互いの支援で相互理解に努める団体、自
治体の担当者に実際の指導状況を見てもらい、そこから自治体との新たな支援
策を模索する団体、かつての生徒たちが指導を受けて、今度は教える側に加わ
るという好循環の中で視覚障害者支援のノウハウの確立を目指す団体など、各
団体がそれぞれの特色を工夫して運営されていることなどが報告された。そし
て、ここでも、視覚障害者とパソコンという立場からもっと社会全体に啓発が
必要で、視覚障害者こそがパソコンで様々な情報を得ているとわかってもらう
必要がある、との課題が提起された。
総括
今日、 このフォーラムに参加された方々とは情報の交換ができた。これから
もこうした意見交換を続けていく必要があり、参加できなかった団体にもその
輪を広げていく目的から、年数回のメールマガジンを発行したい、とSPANから
提案があり、満場一致で了承された。

サポート団体へのアンケート結果:


 このアンケートは、視覚障害者PCサポートフォーラムに先立ち、SPANのパソコンサポートデータベースに登録されている115団体にお願いして実施したもので、26団体から回答をいただきました。
 ご協力いただきました皆様に心からお礼申し上げます。
 内容は団体の形態や規模、また活動などについて幅広く伺っています。
 その結果、多くの団体が相互の連携や情報交換を望んでいることが分かりました。今後この貴重なデータを視覚障害者のサポートを進めるために活かしていきたいと思います。

●アンケート内容
質問1.貴団体の組織形態は?
 A.法人(法人の種類も記入して下さい) 回答:8
NPO法人:4、財団法人:1、社団法人:1、社会福祉法人:1、その他:1
 B.任意団体 回答:16
 C.その他  回答:2
質問2.貴団体の会員(社員)の人数は?
 A.10人以下    回答:4
 B.10人〜30人  回答:9
 C.30〜50人   回答:0
 D.50〜100人  回答:9
 E.100〜200人 回答:2
 F.200人以上   回答:2
質問3.貴団体でパソコンサポートができる会員(社員)は?
 A.10%以下   回答:5
 B.10%〜20% 回答:4
 C.20〜50%  回答:7
 D.50%〜70% 回答:3
 E.70%以上   回答:7
質問4.パソコンサポートができる会員(社員)はどのようにして募集していますか?(複数回答OKです)
 A.チラシ            回答:3
 B.ホームページ         回答:13
 C.行政、点字図書館などの情報誌 回答:9
 D.口込み            回答:15
 E.その他            回答:14
質問5.貴団体の運営資金は?
 A.充分足りている。       回答:2(法人:1、任意団体:1)
 B.どちらかと言うと足りている  回答:5(法人:0、任意団体:5)
 C.どちらかと言うと不足している 回答:10(法人:6、任意団体:4)
 D.不足している         回答:9(法人:1、任意団体:8)
質問6.貴団体の主な収入は?
    多い順に記入してください。
 A.会費収入     回答:20(法人:4 任意団体:16)
 B.補助金、寄付収入 回答:12(法人:4 任意団体:8)
 C.委託事業収入   回答:11(法人:6 任意団体:5)
 D.講習費収入    回答:6(法人:1 任意団体:5)
 E.出版、広告収入  回答:0
 F.チャリティーなどイベント収入 回答:3(法人:1 任意団体:2)
 G.その他(     )     回答:4(法人:3 任意団体:1)
 法人での一位はC(3)、 二位:任意団体・その他での一位はA(12)
質問7 活動拠点はどのような場所ですか?
    複数回答OKです。
 A.自社(団体)が保有する場所 回答:6(法人:6 任意団体:0)
 B.公共の施設         回答:17(法人:2 任意団体:15)
 C.支援企業・団体などの施設  回答:6(法人:1 任意団体:5)
 D.その他(    )     回答:6(法人:1 任意団体:5)
受講者の状況についてお尋ねします。(この場合の「受講者」とは、視覚障害者の受講者のことです)
質問8 貴団体では受講者をどのような方法で募集していますか?
    実施している募集方法をいくつでもご回答ください。
A.口コミ、会員の紹介     回答:12 
B.ホームページ        回答:10
C.行政の情報誌・ホームページ 回答:7
D.チラシ           回答:7
E.行政からの紹介       回答:3
F.メーリングリスト      回答:3
G.会報誌           回答:3
H.新聞広告          回答:1
I.直接勧誘          回答:1
J.視覚障害者団体へのPR   回答:1
K.他団体からの紹介      回答:1
質問9 貴団体では年間何人位の視覚障害者が受講されていますか?
 A.10人以下     回答:8(法人:2 任意団体:6)
 B.10人〜50人   回答:6(法人:2 任意団体:4)
 C.50人〜100人  回答:3(法人:1 任意団体:2)
 D.100人〜200人 回答:4(法人:2 任意団体:2)
 E.200人以上    回答:1(法人:1 任意団体:0)
質問10 受講者は充分集まっていますか?
 A.充分集まっている       回答:2(法人:1 任意団体:1) )
 B.どちらかと言うと集まっている 回答:2(法人:1 任意団体:1)
 C.どちらかと言うと集まらない  回答:11(法人:5 任意団体:6)
 D.集まらずに募集に苦労している 回答:1(法人:1 任意団体:0)
 E.その他(    )      回答:5(法人:1 任意団体:4)
質問11 受講者の比率についてお尋ねします。
スクリーンリーダーと拡大表記の比率は?
A.40%―60% 回答:1
B.50%―50% 回答:2
C.60%―40% 回答:0
D.70%―30% 回答:1
E.80%―20% 回答:2
F.90%―10% 回答:9
G.100%    回答:5
講習テキスト、他団体との情報交換、交流などについてお伺い致します。
質問12 貴団体は講習テキストをお持ちですか?
A.独自に作成したテキストを使用している。         回答:9
B.市販のテキストや他団体で作成したテキストを使用している。回答:6
C.テキストは使用していない。               回答:11
D.その他(    )                   回答:2
質問13 貴団体は他のパソボラ団体と連携、情報交換や交流がありますか?
A.定期的に情報交換や交流を行っている。 回答:2 
B.必要に応じて行っている。       回答:19
C.全く行っていない。          回答:4
D.その他(    )          回答:1
質問14 他団体との連携、情報交換や交流は必要と思いますか?
A.思う       回答:22
B.少し思う     回答:2
C.思わない     回答:1
D.その他(    )回答:0
質問15 貴団体で現在困っていることがあれば簡略に記入してください。
●訪問サポート可能なボランティアの人数不足。
●主任講師として動ける人がなかなか育たない(自分にスキルUP講習の時間が少ないことも大きく原因している)。
●受講者の減少、活動者のレベルUP(特に晴眼者)施設・hard/soft等の量、質の不足。
●視覚障害者の講師不足と国で無料講習の癖を浸透させてしまったこと
●施設にインターネット環境が無いため、ICTサポートができないでいます。
 行政に申し入れはしていますが、なかなか理解してもらえず、苦慮しています。
●近い将来法人化を考えています。そのために経営的に自立できる事業を開発したい。
それを探る努力している最中ですが、なかなか見つからないのが現状です。
●運営資金。
●会に参加されていない方々にパソコンの楽しさをどのように伝え、多くの方々に参加していただけるか・・・  
 多種多様のソフトを勉強すること、リーダーの勉強不足
●視覚障害者向けのソフトが無償で提供受けられれば、もう少しサポーターの要員アップに繋がると思ってます。
●当団体は、回数・期間制限を設けていないので、利用者さんが、指導員に依存しがちになってしまい、また、それに伴い、利用者の数が増える一方で、レッスン数が間に合わない。
(例)
・特にやりたい事がある訳ではないのに、レッスンは受けたい(^_^;)
・メールでのやり取りで問題を解決できる利用者に対し、視覚障害者用のメーリングリストなどを
 紹介しても、なかなか、そちらに入らず、指導員に質問のメール(電話)をするなど。 
・あたらしいソフト・OSを購入する際、やはり、高額なものが多いので買いたくても、なかなか購入
 に踏み切れないことがある。
●当施設の利用者の拡大とサポート人数の不足。
●視覚障害者対応可能なサポーターの不足。
●質問など受けたときに個人のパソコンしかないので試して見るパソコンが無いこと。
●パソコンのosやアプリケーションは次々にバージョンアップされます。
 講習会ではそれらを最新にすることが困難です。
 講習で使用したosやアプリケーションと異なるバージョンの物しか入手出来ない事が
 ほとんどで改めてサポートが必要と成っています。
●メンバーの半分以上が幽霊化しており、ML登録だけの状態になっている。
 メンバーのスキルアップの機会が少ない。
●養成ボランティアのマンネリ化
●全国組織を謳っているが、実際に地方の会員の活躍の場が少ない。
 全国組織を謳っているが、会員の居ない地区が多く、要求への対応困難
●当団体は,特定の障害者を対象としたサポート団体ではありません。
 視覚障害者対応のできる人は,なかなか増えないことが悩みです。
 自分で試す環境がないことが大きな問題です。
 (ソフトを自分で購入するのは高くつくので,ボランティアでそこまで対  
応していただけない)
質問16 他団体への呼びかけなどがありましたら、簡略に記入してください。
●講習というよりはサポートする活動を主にしております。
●色々な団体と情報交換がしたいと思います。
●事業開発にかんしての情報が欲しいところです。
●当施設のPRをお願いしたい。
● 公開サポータースキルアップ講習会のご案内をいただきたい。
●サポート者の教育の為の教材に関しての情報が欲しい。
 また、安価に教育用のテキストが欲しい。
●何らかのかたちで、日常的な交流を図り、技術情報などの情報交換、ユーザーの相互紹介などが出来たら・・ との問題意識をもっています。

フォーラム参加者へのアンケート結果:


 フォーラム当日、参加したみなさんに内容についてのアンケートをお願いしましたが、123名の参加者に対し、58名の方が回答をしていただきました。
 貴重なご意見をいただいた皆様に心からお礼申し上げます。

*アンケートの概要
1.フォーラムの開催時期
 この時期でよい=29 特に気にしていない=25 別の時期がよい=3 未回答=1
2.基調講演の内容は
 よかった=49 まあまあ=5 その他=4
3.分科会の内容は
  よかった=21 まあまあ=30 よくなかった=3 その他=2 未回答=2
4.全体会議の内容は
 よかった=25 まあまあ=25 よくなかった=3 その他=2 未回答=3
5.企業出店、チラシの展示は
 役に立った=31 まあまあ=22 役に立たなかった=1 その他=3 未回答=1
6.フォーラム全体の評価
 よかった=34 まあまあ=23 未回答=1
7.今後のフォーラムの必要性は
 必要と思う=55 思わない=1 その他=2
8.今後、サポート団体・個人間の情報交換の必要性は
 必要と思う=56 その他=1 未回答=1

*コメント
 アンケートの中ではたくさんの貴重なコメントをいただきました。そこにはフォーラムを評価してくださる感想も多くありましたが、運営面などでのご指摘もいただきました。特に分科会や全体会議については、時間配分や内容を含めてこれからの課題となると感じました。
 いただいた一つ一つのご意見を大切にして、今後に活かしてまいりたいと思います。

 本当にありがとうございました。

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